プール/松久淳+田中渉
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【あらすじ】


七通の手紙が彼女のもとに届いた。差出人はすべて不明。

手紙は決まって、縦書きの便せんに水性のボールペンで書かれ、最後のページがきれいに一部切り取られていた。

やがて、八通目の手紙が託された。

そして、それが最後の手紙だった。

80年代前半・長野。90年代後半・東京、そしてアメリカ西部。

ふたつの時代が出会い、そして、今、静かに響きあう。

『天国の本屋』シリーズの著者が描く、絶対零度の最新恋愛小説。



【感想】


中学生のときに読んで、とってもとっても印象に残った作品だった。プールっていうタイトルだからかもしれない。それだけじゃないと思うけど、僕の中でこの作品は全体的に青みがかかっていて、クールで、ひんやりしている感じがする。読み終えたとき、本を読んではじめて寂寥感というのを感じた。感動ではない。寂寥だ。寂しくなった。大切な人に会いたくなった。

今読み返すと、文章的に少しダサさが窺えるが、当時はそれでも深く自分の心が吸い込まれた作品だった。心を吸い込むような作品。これは一種の催眠術だと思う。だから、読み終わってそれが解き放たれると、もっと読みたかたと寂しくなるんだ。