夜の寝覚め (集英社文庫)/小池 真理子
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【あらすじ】


結婚10年目、小夜子は初めて恋を知った。

それから15年。夫の友人との秘密の恋が、結ばれることもないまま終ろうとしている。

行き着く果ての見えない愛を描く「たんぽぽ」。

真夜中に父と睦み合う叔母の姿を目撃して30年。

秘めたる思いを胸に抱いたまま、今、その叔母の命が尽きようとしている。

表題作「夜の寝覚め」。

人生の残り時間を数えはじめる季節を迎えた6人の女たち。寄る辺なき恋の短編集。


【感想】


大人の女性だからこそ書ける、大人の恋愛事情が満載。どれもが涙が溢れそうなほど、純粋で、描写も美しい。不倫を純愛に変える髙樹のぶ子さんとはまた違う、独特な世界観を読ませてくれた。

僕が一番好きなのは、死にたがりの主人公が色んな男と寝てきたときに、ふとした瞬間に出会った画家に恋をする「旅の続き」と、夫と離れて姉の嫁ぎ先に転がり込んだ先で出会った青年と恋に落ちる「雪の残り香」が面白かったかな。