フロストハート/桐生 祐狩
¥1,890
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【あらすじ】


長男の腎臓移植手術を待ちわびる、型破りで個性的な家族の面々、

彼らの周囲で蠢く謎の臓器ブローカー、

カルト宗教の信者とその教祖、

常軌を逸した行動に出る奇岩マニア、

圧倒的な精度を誇る事故予測ソフト“トリンキュロー”、

そして誰もが必死の形相で追い求める「フロストハート」とは。

日本ホラー小説大賞長編賞受賞第一作。



【感想】


一作目の「夏の滴」を中学生のときに読んだ。読後感は最高で、そのときはまだ禍々しいというか、おどろおどろしさがある小説に免疫がなかったからかもしれないけど、自室で読み終わったあと、僕以外に誰もいない家の中、夏の午後、僕は現実の世界と小説の世界が区別できなくなるほどの前後不覚に陥った。それくらい衝撃的だったから、この「フロストハート」にも期待したけれど、「夏の滴」ほど主人公が偏角的じゃなかったというところと、ネタを詰め込みすぎて不発した感が拭えなかった。文体や言葉の使い方も一作目より落ちている気がするのは、気のせいだと思いたいけど、でも、最後はいい感じにどんでん返しがあったから、とりあえずよしとする。笑