生首に聞いてみろ/法月 綸太郎
¥1,890
Amazon.co.jp


あらすじ


首を切り取られた石膏像が、殺人を予告する―。

著名な彫刻家・川島伊作が病死した。

彼が倒れる直前に完成させた、娘の江知佳をモデルにした石膏像の首が切り取られ、持ち去られてしまう。

悪質ないたずらなのか、それとも江知佳への殺人予告か。

三転四転する謎に迫る名探偵・法月綸太郎の推理の行方は―。

幾重にも絡んだ悲劇の幕が、いま、開く。



感想


序盤の川島伊作の死から、どんどん読ませます。石膏像の知識がなにもなかったので、専門用語が出てくるたびに辞書引いて読み進めるのが大変でした。だけど、それすらも苦にならない出来栄えの作品だったんじゃないだろうか。中盤の推理合戦では頭が追いつかずにイライラもしたけど、あとになって、「あれはそういうことだったのか……」と目を見張る。ただ、タイトルに生首とついているだけあって、生首がとんでもないことになるのだが、その動機がちょっと薄い気がした。推理論にページをとられ、肝心の被害者の遺族側の心理が欠けたことも残念な気がする。でも最後のどんでん返しには驚かされた。読み終わった読後感もすばらしい。「法月綸太郎」シリーズをもっと読みたくなった。あ、あと、「アンダルシアの犬」っていうグロ映画のことがでてきて、ちょっと興奮した。笑