私の骨 (角川文庫)/高橋 克彦
¥580
Amazon.co.jp


あらすじ


盛岡の実家の床下から発見された古びた壷。中に入っていたのは、朽ち果てた人骨だった。
そして、壷には何故か私の生年月日が……。
警察に呼び出され、故郷へと向かった私。
いったい誰の骨なのか?
哀しいまでの親心が胸を打つ表題作「私の骨」をはじめ、
「ゆきどまり」
「醜骨宿」
「髪の森」
「ささやき」
「おそれ」
「奇縁」の計七編を収録。
さえわたる恐怖の中に人間の本質を問いかける、珠玉の小説集。




感想

高橋先生の作品はやつぱり面白い。そして、面白いだけじゃなく、じわじわと鳥肌を立たせるような怖さもある。
この短編集を読んだ中で、僕が一番怖いと思ったのは、「髪の森」と「奇縁」だった。
「髪の森」はおどろおどろしく、一人の男が、蟻地獄のような恐怖にはまっていく様を描いている。髪の森という恐怖の地で、得体の知れないものに襲われる恐怖だ。
「奇縁」は、それまでの短編の中でも一番現実味があった。だからこそ怖いと言えた。「奇縁」はオカルトではなく、人間そのものの怖さを描いている。これを読んでしまうと、もう周りの人間が信じられなくなると言ってもいいかもしれない。
とにかく、暗いところで読んでいると、後ろになにかいるような気配というか、怖さを感じる。作品の雰囲気を味わい人は暗闇で。ちょっと怖いという人は、明るいところで読みましょう。