戦場のニーナ/なかにし 礼
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あらすじ


確かめたい、私はきっと日本人です。

六十年の歳月を経て、ついに自分のルーツを解き明かす機会がニーナに訪れる。

旧日本兵の遺骨集集団と接触できるのだ。

ロシアで見つかった、ただ一人の日本人残留孤児。

満州、ソ連、日本…六十年の時を経て、戦争で損なわれた「私」を探す旅がはじまる。

圧倒的なスケールで描かれる魂の救済、そして究極の愛。感動の超大作。





感想


ただただ脱帽するばかりだった。残留孤児のニーナが辿ってきた運命に泣かされた。

けれどニーナと関わりを持った男の心理がいまいち掴めず、そのことに関してはすっきりしない感じがあった。
文体は改行が多くて読みやすかったし、ニーナが住むロシアの描写もとてもいい。

ニーナを取り巻く人々の心理や性格も、ニーナに活かされていて、ページを進む手は鈍らなかった。

昔の戦争なんて今を生きている僕には関係ないって思いが心のどこかにはあった。
けれど、この本は、その思いを打ち消してくれる力があると思う。