~吉野家 某店舗~

殺伐とした中にも秩序を保った店内に一人の男性(30歳代半ば、以下A男)の怒声が響き渡ります。
「てめー、このやろー」
「ふざけんな、ばかやろー」

どうやら店員に対して激怒しているようですが、前振りもなく食事中だったA男が怒りだしたので、状況がわかりません。


しばらく聞き耳を立ててみましょう。

「水持って来いっていっただろー」
「お持ちしましたよ」
「順番がちがうんだよ。俺が先に頼んだのにー」
「いえ、こちらのお客様が先でしたから、順番にお持ちしました」
「ちげーよ。俺が先だったんだよ」

と、ここまでは水の提供の順番が間違っていることに文句を言っていたのに、いきなり話の筋に変化が起こります。

「金をここにおいたのに、いつまで待たせるんだよー」
と、チラ見すると確かにテーブルに千円札が置いてあります。
でも、事が起こる数分前に記憶を遡っても、A男が支払いに関して店員に話しかけてはいません。
店内中ハテナで一杯です。「???(なんの話?)」

いそいそと店員は支払いの計算をし、お釣りを渡します。

すでに何に対して激怒したのかも忘れてしまったようなA男は、
「くそまじーなー。こんなもん食えるかよ」
と、捨て台詞を吐き、半分以上牛丼を残して去っていきました。