彼女が髪を指で 分けただけ

それが シビれるしぐさ


栞のテーマ/サザンオールスターズ



あんぐり開いた口を、力づくで閉めてはみたものの。



なにがあった?

なにがあった??



一体何が起こったのーっ!?



久々に一緒に歩く、朝の通学路。

見慣れた景色に、見慣れた横顔。



・・・のはずが。



数日見ない間に、彼女が見慣れない姿になっていた。


明るく色を抜いた、セミロング。

時折髪の間から覗く、片耳ピアス。


一体何が起こったのーっ!?



確かに校則はゆるい。


パーマもカラーも可(暗黙の了解)

ピアスも可(暗黙の了解)


どれひとつとっても不都合はない。



ただ、びっくりしただけ。


理由もなく、そんなことする彼女じゃないから

気になって気になって、仕方がないだけ。


そして、怖くて理由を訊けないだけ。



会話がむなしく頭の上を滑って行く。


何度目かの視線を投げかける。

そこで思わず息を飲んだ。



彼女が髪をかき上げる


指から零れ落ちたそれが、さらさらと宙を舞う

あらわになったピアスが、光をキラリと反射する


思わず、見とれた。



似合ってるんだから、いいじゃん。



さっきまでぐるぐるしていた思考は

一気にそれで片が付いてしまった。




ねぇ、もう片方は開けないの?



その時に、単純な疑問を投げかけたのを思い出す。

はぐらかした彼女に、『その方が”らしい”よ』と言ったことも。



それから、20年近く経って。



相変わらず、彼女は片耳ピアスのままで

『”らしい”って褒められたから』って笑ってくれる。


あの時と同じようにかき上げられた髪は

ブリーチもカラーもされていない黒だけれど


やっぱり、その仕草を眩しく見つめる自分がいる。