蘭とバスに乗り帰るとき、蘭はまた方向音痴を発揮して真緒を笑わせた。
そんな時の蘭は面白いを通り越してかわいい。
バスに乗っても蘭は何かしら天然なことを言って、二人で笑っていた。
物凄い真面目な子から遊んでそうな子まで、誰とでも自然に仲良くなれる天才で、責任感が強く、天然な蘭はギャップの凄さで、いつもみんなを惹きつけていた。
蘭の家に時々行くけど、母親は真面目な人で、天然な性格とは遠い感じだ。
父親もお堅い職業で、妹が一人いる。
一見、何の問題もない家庭だけど、いろいろある様で、蘭は原因不明の腹痛などに、いつも悩まされていた。
ずっと心配してきた真緒は、心の病というものが何なのかわかっていない。
どうして、蘭はこんなに辛い思いをしなければいけないのか、治療方法は本当にないのだろうかと、いつも思っていた。
蘭はよく病院に行き、学校を休むことも多いので学校のお知らせなど、蘭の担任に頼まれて家に持って行った。
いつかの時、玄関にいると、聞こえてくる親子の会話に殺伐とした雰囲気が漂っていたときがある。
真緒の家では感じたことのない、息の詰まる様な感じだった。
蘭が言うには、母親は気分屋で、外面がいいのだそう。
真緒の両親は、常に意見が合う仲の良さを毎日の生活で家中に満たしていた。
劣等感はすごいものの真緒が、真面目に家族の後を追っていけるのは、この雰囲気の違いかと、感じた。
そんな蘭を守ってあげたいと思うけど、反対に傷つけていると、自分が嫌になる。
高校に行けば、真緒は姉と比べられず、安泰な日々が待っていると思っていた。
そして蘭は、きっと、もっと体が丈夫になると思っていた。でも、もっと悪くなっていって一週間学校に来れないこともあった。
自分のことも原因のひとつになったのでないかと落ち込む。
どうしようもないことで悩み続けて、どこか、いびつになってしまう心を誰も助けてくれない状態。二人ともそんな同じ悩みの中にいた。
クラスの数人の女子や蘭を好きな4人の女子らの真緒への悪意の感情は、蘭とのことをはなれて、一人歩きしている様に思えた。
4人の女子たちが真緒の彼氏のところにわざわざ行って何か言ったらしい。彼氏は無視に近い態度をとったみたいに言っていた。彼氏には、いつも心配をかけるけど、いつも優しいところは変わらない。
深く考えない様しても、何も悪いことをしてないのにこんなことになるなんて、本当に嫌になる。
真緒は自分でかわいいと思ったことは一度もない。他にたくさんいるかわいい女子たちや本当にアイドルの様に可愛い子もいて男女からにチヤホヤされているのに、不平等を感じる。
自分には、隠せない傷が顔にあるのにかわいい訳がないと思う真緒と、周りからの評価の違いが、何か悪い方向へ向かわせていた。
かわいい子はかわいいと自認しているからこそ周囲と調和していると思う。
褒められ慣れているので、対応が完璧に出来る。謙虚感がちゃんと出せるというか、嫌味ない感じだ。
真緒は、正反対な感じしか出来ない。
仲良くしてる子以外には偉そうに見えているなんて、相当後になってから知った。