智に手を引かれて部屋を出る。
智は廊下をズンズン歩いてく。
一度...斗真さんに連れられて...いや...
拉致されて(苦笑)四宮の本家に来た事は
あったけど...今歩いてる場所は
見た事がなかった。
廊下で人とすれ違う度に皆立ち止まり
智に頭を下げる。
...やっぱり...智って...四宮の偉い人なんだ。
そんな事を考えながら...
手を引かれてるのをいい事に
周りをキョロキョロ見回してた。
そう言えば...何で四宮の本家に居るんだ?
京都のフィールドワークから
帰って来てからの記憶が...曖昧なんだよね。
...智の事を...忘れてしまってたのは...
覚えてる。
雅紀や潤や翔の事が...視えなくなったのも...
覚えてる。
でも...何故智の事を忘れてしまったのかは...
よく覚えてない。
ねぇ...智。
俺...智の事を忘れてた頃の記憶が
ちょっと曖昧なんだよね...。
今の状況...教えてくれる?
手を引かれながらそう聞くと...
智はピタリと立ち止まり俺の方を見た。
...心底...嫌そうな顔で。苦笑
え~...今それ聞く?(*˘-ω-˘*)
今じゃなくていつ聞く?
...エ ロい事した後。笑
...っ...どんだけシ たいんだよ...///
カズが明日動けなくなる位。笑
...っ...///
はぁ...エ ロ大魔王降臨中かよ...///
でもまぁそれは...俺が記憶なくしたせいでも
あるんだよな...。
智に握られてる左手の...薬指を見る。
今...俺の左手薬指に...智との『伴侶の証』は
...ない。記憶と共に消されてしまった...。
あれって...もう一度儀式をする事って
出来るのかな...。
つーか...俺の記憶が戻って...
ちゃんと全部...元通りになってるよ...ね?
ふと...もし...暖簾の印が視えなかったら...
と思ってしまった。
だって...いつも近くに居た...
雅紀や潤や翔の姿が...ない。
ホントはすぐ近くに居るのに...
俺が視えてないだけなのかも...。
ねぇ智...。
雅紀達は...何処に居る.....
そう聞こうとした時。
あっ!!カズ~♡♡
あっ!!カズ~♡♡
廊下の先に...雅紀と潤の姿が見えた。
嬉しそうにこっちに向かって来る。
...雅紀...潤.....良かった...視えた...。
雅紀と潤の姿が視えてホッとした。
俺は...また此方側に関わる事が出来る。
このまま雅紀と潤の所に行くと思ってたら。
チッ...雅紀と潤に見つかったか...。
舌打ちした智はクルリと向きを変え
雅紀と潤から遠ざかろうとする。
えっ?カズ?どこ行くの?
...えっと...
もう!!智!!
カズをどこに連れてくんだよ!!
俺達の後ろを雅紀と潤が追いかけて来る。
智は二人から逃げる様に廊下を進んでく。
...智...もう諦めたら?笑
チッ...翔まで邪魔しに来たのかよ...。
進んだ先に...翔が待ち構えていた。
良かった...翔の姿もちゃんと視えた...。
今は無理すんなよ。
...翔...どう言う事?
智は動ける状態じゃねぇんだよ。
翔...。(*˘-ω-˘*)
...え...まさか...智...怪我してるの?
してないしてない。
大丈夫だから早く帰ろ?カズ。
『してない』じゃねぇだろ。
...大怪我してんだろうが...。苦笑
翔の後ろに居た斗真さんが
呆れた顔で智を見ていた。
To be continued.