...居ない...。
【あの男は逃げたわ】
...花葉様...?
俺の後ろに立った花葉様が
龍白翆の居た場所をじっと見ながら
そう言った。
【智...翔...怪我はありませんか?】
...俺は...大丈夫です...月影様。
俺も大丈夫...。
...月影様...今の光は...
【あれは...花葉の鈴蘭です。
流石に...三つ同時だと凄い光に
なりますねぇ...苦笑】
【あの男を追い払うには...
あれ位しないと駄目でしょ?お兄様】
【それはそうだけど...
何も言わずいきなりだと驚くだろう?苦笑】
【不意を突かないと意味がないわ。
智と翔を守る為だもの】
【咄嗟に智と翔に結界を張れたけれど...
結界が間に合わなければ...
二人も危なかっただろう?】
【それは...
ちゃんと結界を張るつもりだったもの】
【つもりじゃ駄目でしょう。
もしもの事があったらどうするのですか】
【お兄様煩い!!
私が智に怪我させる訳ないでしょ!!】
目の前で月影様と花葉様が
言い合いを始めた。苦笑
俺と翔は口を挟めず...
ただ...苦笑いしながら見てるしかなかった。
翔...アイツが龍白翆...本人で間違いないか?
...間違いない。アイツが龍白翆本人だ。
アイツ...アヤカシになってたんだな...。
まぁ...人間がアヤカシになるのは...
あり得る事だからな...。
やっぱり...銀細工の鬼灯型の提灯は...
アイツが造ったモノだった...。
あの提灯を持ってると言う事は...
龍白翆が...百鬼夜行の総大将で間違いない。
この一連の出来事は...全て...
龍白翆の仕業って事だな...。
...アイツは...また...
人を不幸にする事をしようとしてるのか...。
アヤカシに身を堕として尚...
人々を苦しめようとしてるのか...。
...翔...。
翔が苦し気な顔でそう呟いた。
To be continued.