野田政権は、社会保障と税の一体改革で、消費税を今の5%から2014年4月に8%に、2015年10月に10%に上げることを提案しています。そして、6月15日、民主・自民・公明の3党が社会保障と税の一体改革を巡る修正協議で合意しました。今年1月24日に召集された第180国会の山場と言えるでしょう。しかし、消費税増税に関しての政局的な観点からの報道が相次ぎ、一体改革が国民生活にどのような意味を持つか、きちんとした説明がされていないような気がします。
一言で言えば、政府の一体改革では、消費税増税のみに力が入り、将来の財政危機回避のために必要な社会保障制度の改革に向けた努力が不足しています。一般会計予算の社会保障関係費は、2000年に16.7兆円で一般会計予算の19.7%でしたが、2011年には28.7兆円で27.9%を占めるようになり、一段と財政を圧迫するようになりました。この社会保障費の伸びに何らかの手を打たなければいけないのは明白です。
国民は、政府が「社会保障と税の一体改革」と言っているのだから社会保障の将来が安定的なものになることを期待しています。しかし、政府案は無年金者・低所得者への対応は盛り込んでいるものの、さらなる高齢化の進展に伴う、受給者数の増加、負担者の減少にどのように対応したらいいかという根本的な問題に対しては手をつけていません。
それでは、自民・公明との修正協議でどう変わったのか。基本的には変わっていません。さらに高齢化が進展する中でどうやって若者が高齢者層を支えるのか、という問題については、将来の「国民会議」なるものに先送りされています。そして、年金では従来の社会保険方式にお墨付きまで与えるという負のオマケ付きです。これで「一体改革」と呼べるのでしょうか。野田総理の「不退転の決意」や、自公の「大人の対応」で消費税5%アップと引き換えに生み出されたのはこの程度のものだ、ということを我々は認識する必要があるでしょう。(いちぞう)