おはようございます。一葉です。
突然ですが、本誌が来る前に原作続き妄想です。ふと思いついちゃったのでお届けします。
なんつーか、進みも戻りもしない二人なのですけど(笑)
お楽しみいただけたら嬉しいです。
■ 寝言でいいから ■
「 美味しいもの食べられる期待してたんじゃないのかな・・・ 。だって多分、社長知ってるし。お前の本当の相手 」
社長から意味不明な質問をぶつけられ
社さんからそんなことを呟かれ
・・・たから、という訳じゃないけれど
この日の夜、俺より数時間も早く現場から上がって、映究の宿泊施設に向かったはずの最上さんのもとを訪ねた。
施設に入ってすぐ、琴南さんが自動販売機の前にいるのを見つけて彼女の方に近づくと、俺が声をかける前に琴南さんも俺に気付いた。
「 あら? 」
「 琴南さん、こんばんは 」
「 こんばんは。どうしたんですか、珍しいですね、敦賀さんがいらっしゃるなんて。あ、もしかしたら 」
「 うん、そのもしかして、なんだけど。最上さん、って居るよね?いまどこにいるか分かるかな?電話をかけたんだけど出なくて 」
「 でしょうね 」
「 ? 」
「 こちらです。どうぞ 」
彼女が俺たちのことを知っているってことは、最上さんから聞いて知っていた。
だからそれに関して何か言われるかも、と一瞬考えたけれど、何も言わずに普通に俺を案内してくれる琴南さんのそれが、らしいと言えばらしかった。
「 ここです 」
そう言って琴南さんがポケットからルームキーを取り出す。
まさか同室なのか?と意外に思った俺のそれに気付いたのか気づかなかったのか、ドアが開いて、一足先に眠りについていた最上さんに視線を注いだ俺に、琴南さんは小さな声で囁いた。
「 普通に考えるなら当然別室なんですけどね。この子と一緒だと起きているあいだじゅう英語のトレーニングが出来るので 」
「 ああ・・ 」
なるほど、それで。
なんだかいろいろ合点がいった。
最上さんが俺の電話に出なかった理由も、琴南さんと同室している理由についても。
琴南さんからどうぞと促されて部屋に入った。
最上さんの傍らに立ち尽くして彼女の寝顔を眺め見る。
「 ふ・・・ 」
こんな無防備な顔を、俺以外の人間にさらさないで欲しいよ。
なんて考えてしまうのは、俺の独占欲が強すぎるからなのだろうか。
本音だけど最上さんには聞かせられない。
なぜなら琴南さんはこの子にとって唯一無二の親友なのだから。
「 ・・・・かわいい寝顔だな 」
「 ・・うぅ、むにゃ・・・・つぅるが、さぁん・・・ 」
「 ・・っっっ??! 」
瞬間ドキッとしたのは決してタイミングが良かったからじゃなくて
俺の名を呼んだ君の声がとにかく甘ったるかったから。
戸惑いながら自分の顔を最上さんに近づける。するとやっぱりどうひいき目に見ても寝言のようだった。
「 ・・・寝言? 」
「 みたいですね。クス。もしかしたら敦賀さんの夢でも見ているのかしら 」
琴南さんが意味ありげにクスリと笑った。
少しだけからかうようなニュアンスが含まれている気がするのは気のせいだろうか。
「 一体、どんな夢やら 」
「 さぁ?すぐ思いつくのは、ちゃんとご飯食べなきゃダメですよ!ってセリフかしら 」
「 なるほど 」
そんなことまで話している、と。
「 では私は15分後に戻りますのでそれまでに退出をお願いします。部屋はオートロックがかかりますので鍵の心配はいりませんので 」
「 え? 」
「 心配なさらずとも大丈夫ですよ。15分程度なら 」
「 ・・・けれど、こんなにぐっすり眠っているのに起こすのは忍びないし・・・ 」
「 そこはお好きにしてください。起こすも自由。寝かせたままも自由、すぐお帰りになるのも自由、です。では 」
買ったドリンクを冷蔵庫に入れ、琴南さんはそう言って出て行った。
二人きりになった部屋の中
結局俺は最上さんを起こすことは出来なくて
ちなみにそれ以上の寝言を聞くことも出来なかった。
彼女の隣に腰を掛け
この子の頭を梳きながらふとこんなことを考える。
ラブミー部員一号の君にこんなことを願うのは我ながら高望みな気もするけれど
俺の名前だけじゃなくて
いつか寝言で構わないから
愛してるって、つぶやいて。
E N D
だから、進みも戻りもしない二人(笑)
ちなみに、これをもし漫画で描くとしたら、蓮くんが部屋を出ていくときにキョーコちゃんが「愛してる」って呟いているのに蓮くんがそれ気付かない、っていう王道のパターンか、「モー子さん大好きィ」を蓮くんが聞いちゃって寂しくなるかの2パターンですね。
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