SS 本命の証明 | 有限実践組-skipbeat-

有限実践組-skipbeat-

こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


※出版社様、著作者様とは一切関係がありません。
※無断での転載、二次加工、二次利用は拒断致します。
※二次創作に嫌悪感がある方はご遠慮ください。

 おはようございます、一葉です。

 原作ACT.306の続き妄想をお届け・・・と予告していたのですが、よく考えたら原作の引きの続きではないので派生妄想だったな、と後で気付いてしまいました。なのでテーマを派生にしました。


 間違えちゃった。ま、いっか。


 いつもの事ですがネタバレが含まれております。ネタバレ回避お嬢様は回れ右を推奨です。


■ 本命の証明 ■





 なにやら雲行きが怪しくなってきたな、と感じたのは、本日の模擬撮影が終了し、スーパーマネージャー社さんが運転する車からモー子さんが下車した直後のことだった。



「 社さん、送ってくださってありがとうございました。敦賀さん、お先に失礼します。お疲れ様でした 」


「 お疲れ様、琴南さん 」


「 モー子さん、お疲れ!また明日ね 」


「 ええ、明日もよろしく 」


「 もちろんよ!! 」



 振り向きもせず去ってゆく美しき親友の背に向かい、思いっきり両手を振って別れを惜しんだ私はそのとき後部座席にいた。さっきまでモー子さんが私の隣にいたのだ。


 ちなみに敦賀さんは助手席にいて、モー子さんが降りた後に敦賀さんは社さんに話しかけ、直後、私に向かって微笑んだ。



「 社さん 」


「 うん? 」


「 今日、最上さんは俺の家に来ることになっているので、このままお願いします 」


「 ・・・了解 」


「 え? 」


「 だよね、最上さん? 」


「 う・・・・ハイ 」



 その笑顔。


 いま


 否定したら許さないよ?


 って、優しく言われた気がする。




 なにやら雲行きが怪しい気がする。

 だってそんな約束、一つもしていないのに。

 ですよね?敦賀さん。



 なんてことは当然口にすることは出来ず

 あっという間に敦賀さんのマンションに着いてしまって、私は当然のように敦賀さんと一緒に車を降りた。



「 お疲れ、蓮。キョーコちゃん 」


「 お疲れサマでした 」


「 お疲れ様でした、社さん。今日もありがとうございました 」


「 ちなみにキョーコちゃんは・・・ 」


「 俺が送っていきますんで大丈夫です 」


「 だよな。じゃあ明日な、蓮 」


「 はい、ありがとうございました 」


「 キョーコちゃん。こんなこと言うの野暮かもしれないけど、遅くなる前に帰るんだよ? 」


「 あーはははは・・・、はい 」



 って、つい笑って誤魔化しちゃったけど

 この場合、私が私の意志でおいとますることは出来るものでしょうか。



「 行こうか、最上さん 」


「 はいっ 」



 促されて歩き出した私は、さりげなく神経を尖らせた。

 けれど特に敦賀さん側から怒りの波動は感じられず。


 ロビーを通ってエレベーターに乗り込んだときも

 敦賀さんは至っていつもの敦賀さんだった。



 けれどやはりそのままで過ごせるはずもなく。

 敦賀さん宅に到着し、敦賀さんが淹れてくれたコーヒーを間にリビングで向かい合った瞬間に変化は突然訪れた。



「 どうぞ、最上さん 」


「 いただきます 」


「 ところで、ちょっと確認してもいいかな? 」


「 はい? 」



 って!!ちょっとだけ近いですよ、敦賀さん。


 二人キリなんですし、そんなに近づかなくてもいいと思いますけど、私は。


 そんな

 ソファに座った私の隣から、私を囲い込もうとでもするように全身で近づいてくるのは心臓に悪いので止めて欲し・・



「 俺、本当は君に軽蔑されているんだろうか 」


「 ブッフオッッッ!!!な、な、な・・・してませんっっ!!! 」


「 でも今日、君、現場でそう言っただろう。まあ、そうですね。失望しました、って、俺に 」


「 あ、あ、あ、あれはですね 」



 うそでしょ、なんで?!

 香凪さん絡みなら私が本気で言ってないって

 敦賀さんにはちゃんと伝わると思ったのに!!



「 そんな焦らなくても。あ、最上さん、額に冷や汗 」


「 汗ってません!!違います!あれはその場のノリって言うか 」


「 聖らガールを自負しているので大人の世界は理解りかねますって真顔で俺に言ったよね。それってもしかしたら、俺も楠さんもどちらも噂を否定していないことに対して言っているとか? 」


「 違いますってば!敦賀さんがどういうつもりでいるのか、ちゃんと分かっていますから大丈夫です!! 」



 むしろ、現時点で香凪さんと敦賀さんが噂になっていることにホッとしている私がいるんですから。

 敦賀さんの相手が私だって知れ渡ったら、それこそ敦賀さんにどんな悪影響があるか判らないじゃないですか!



「 …本当に? 」


「 もちろんです! 」


「 そう。じゃ、別の件を確認させてもらっても? 」



 別の件?

 特にあとはヘマしていないはずだけど。

 ハイ、ハイ、今度は何ですか!?



「 君は、俺に誓ったあの約束を覚えているだろうか。その純潔を命にかえても守り抜くって言った・・・ 」


「 ああ、はい 」


「 それ。そもそも純潔を守るって言うのは、男とキスしない事だけを言うんじゃないって分かってる? 」


「 もちろんちゃんと分かってます!!お付き合いをするという事は、それに伴う(邪悪な)気持ちが発生する訳で、そんな(毒なる)感情に侵された時点で既に純潔では・・・ 」



 なくなっていて・・・って、なにこれ?!

 かつてのデジャヴ?



「 俺たちは、つい先日、両想いであることが判明した訳だよな? 」


「 そうですねっ 」


「 互いに事情があってまだ正式に付き合っている訳じゃないけど、間違いなく両想いになった。けど、君の純潔を守るっていうそれはつまり、俺に対しても有効扱いってことなのだろうか? 」


「 そっ・・・そんなわけないじゃないですか 」



 確かにかつての私はそう思っていたんだけど。



 でも今は

 敦賀さんと私は夢みたいな展開だけど、両想いになった訳で!!


 だからこの恋心は邪悪ではありませんから!


 なんて

 胸を張って言いきれないかも・・・・ッッ


 だって私、セツカのふりして何度となく嫉妬心を抱いた自分を知っているんだもの。



「 ・・・どうした、聖らガールちゃん? 」


「 そんな風に呼ばないでください。すみませんでした。私はもう本当は聖らガールなどではありませんでした。そうだった。敦賀さんを好きになってしまったあの瞬間から私は・・・ 」


「 きゅん♡ 」


「 ・・・って、なに言わせるんですか!! 」


「 くす。頬、赤くなっちゃってる理由を聞いても? 」


「 イヤです、お察しください! 」


「 だめ、聞かせて?君にとって俺って? 」


「 す・・・好きなひと・・・です 」


「 本当に?俺を軽蔑していない?俺に失望していない? 」


「 していないですよ!どうして私が敦賀さんにそんな大失礼な感情を抱くと思うんですか!! 」


「 だったら、それを証明してくれる? 」


「 はいっ?! 」


「 証明して欲しい 」



 このときドキッとしてしまった。



 敦賀さんの声が

 顔が、とても真面目だったから。


 私を見つめるまなざしが、とても真剣だったのだ。



「 え・・・えと・・・それは、証明って、いったいなんの? 」


「 俺が君の本命だっていう 」


「 え?えっと、それは具体的にはどうすれば・・・ 」


「 君からのキスが欲しい 」




 無理ぃ---------っ!!!




「 君のキスに関しては、過去、アイツから無理やりされたことがあっただろう 」



 うっっっ。そんな古傷ッッッ。あれはカウントされていないんですよ!あなたがそう言ったんじゃないですか。だからデリートしてあるんですよ?!



「 あれが不慮の事故だってことはわかってる。判っているからこそ、その状況と同じなんて嫌なんだ。だから、俺からするのではなくて、君から俺へのキスが欲しい。俺が君の本命だという証として。君から俺にキスして欲しい 」



 そっっっ

 そんな、キス、キス言わないでもらえますか?!



 私は恋愛初心者で、そういうことにはもう本当に一ミリだって慣れていないんですから!!

 ホントーに本当なんですよっっっ!!!

 あなたそれ知っていらっしゃるでしょうに!!



「 ・・・・・・ダメ?最上さん 」




 そっっっ!!そんな

 耳を垂らして聞いて来ないでください!

 胸キュンしちゃうじゃないですか。



 ああああ、でもでも、キスでしょ?キスっ?!

 そんな、私から敦賀さんにスルなんて

 そんな大それたことをしなきゃいけない日がまさか今日こんないきなり訪れてくるなんて!



 でも。




 チラリ・・・と敦賀さんの方に視線を動かしてしまった。

 敦賀さんは不安そうな顔つきで私の答えを待っていて、やっぱり耳は垂れていた。




 やめて、そんな顔をしないでください、敦賀さん。

 私は本当にあなたのことが・・・。




 悩んでいる場合じゃないわ、キョーコ。

 私が敦賀さんにそんな顔をさせちゃダメよ。

 意を決して頑張るの!

 それで敦賀さんが私を信じてくれるなら安いもんだわっ。



 大丈夫、出来るわよ!!

 ほら、思い出して。


 前にグアムでコーンにキスしたことがあったじゃない。

 あの要領でやれば平気よ。

 あれはお芝居だったけれども!!!



「 あの、本当に私からしたら証明したことに・・・ 」


「 なるよ。ああ、でもごめん。一秒キスはキスした事にならないから。最低でも5分は欲しいかな 」


「 え 」



 冗談じゃない。

 この期に及んでグアムの時みたいな一秒キスなんて絶対にさせるものか。




 ・・・と。

 いうようなことを、このとき敦賀さんが考えていたなんて、私が気づけるはずもなく。




「 えええええっっっ?????!! 」


「 その反応。まさか、一秒で終わらせるつもりだったとか? 」


「 そんなっっっ、めっそーもゴザイマセン!! 」


「 だよな。キスの長さっていうのは想いの深さを表すものだから、 まさか秒で終了なんてことはありえないよな? 」



 うっっっ。釘を刺されてしまった。


 っていうか

 キスの長さが想いの深さを表すのだとしたら

 私からのキスなんて、一時間や二時間じゃ終わらないものになっちゃうんですけど?



「 あ・・・あの、敦賀さん 」


「 うん? 」


「 一つ提案なんですけど、お互いに、というのはいかがですか? 」


「 え? 」


「 私の方から一方的に敦賀さんにスルのではなくて、敦賀さんの方からもする方向で、互いに一緒に、というのは・・・ 」


「 ああ、いいね、そんな感じも 」


「 本当ですか?!じゃあそ・・・ 」


「 でもその場合、確実に濃厚なものを提供することになっちゃうけど構わない? 」


「 え・・・ 」


「 それに、もしかしたらキスで終わらないかもしれないな。ああ、でもいいんだっけ?君はもう聖らガールを卒業したんだから 」


「 ・・・・・・・・っっっっ 」



 そんな、敦賀さん!

 自主キスより更に高いハードルを掲げるなんて、初心者には無理ですよ!!!


 無理!

 ムリ、ムリ、絶対無理。



 ・・・ということは。

 ここはやっぱり私の方から敦賀さんの唇にドストライクするシかっっっ



「 つ・・・つるガさンっ!!! 」


「 ・・・・ん?くす 」


「 モがみキょーコ!!!一世一代の大勝負にイかせテいたダきマスっ!! 」


「 うん、いいよ。いらっしゃい 」



 この直後

 僭越ながら

 私の方から、させていただきましたとも!!



 携帯のタイマー機能を使ってきっちり5分。




 満了時間を知らせるメロディが鳴り響いた後

 敦賀さんと目が合っちゃった瞬間に心臓が止まった、と一瞬本気で思えたほどメチャクチャ恥ずかしかったですっっっ!!!






     E N D


二人をイチャイチャさせたかっただけ、という、いつもの一葉願望パターン。



最近、また眼精疲労が顔を出してくるようになりました。

どうやら夏に近づくにつれ、日差しが強くなっているのが原因の一つらしいです。・・・が、そんなことで挫けていたら二次なんてやっていられません。


ACT.306の本誌考察は後日お届けする予定です。



⇒ACT.306派生◇本命の証明・拍手

Please do not redistribute without my permission.無断転載禁止



◇有限実践組・主要リンク◇


有限実践組・総目次案内   

有限実践組アメンバー申請要項