一葉です。本日お届けのSSは原作沿い両片想い蓮キョ、季節ものです!
蓮くんsideでお届け。
お楽しみ頂けたら嬉しいです。
■ 24時間、守りましょう ■
役者の仕事は意外と過酷。
要求されれば真冬でも海に飛び込まなければならないし、あるいは吹雪の中、極寒に耐えつつそれを越えた演技力を要求されることもある。
衣装は基本的に用意されているものを着用するが、それはあくまでも見える範囲での話。
シーンによっては衣装を脱ぐこともあるから下着まで衣装のこともあるけれど、そんなことはごく稀で、つまり大抵は自前の下着が普通となる。
従って防寒も自助努力をしなければならない。
だから事前に最上さんに確認してみた。共演することになった連ドラ撮影前に。
あの子が心配だったから。
「 最上さん、準備は済んだ? 」
「 はい、バッチリです! 」
「 防寒もバッチリ?まさかとは思うけど一応確認させて。寒さ対策で何を着てる? 」
「 え?……あの、いま巷で流行っているなんちゃらテックってやつを…… 」
「 ああ、やっぱりか。ダメだよ、それじゃ。良かった、待ち合わせ場所をラブミー部室にしておいて。はい、これ。急いでインナーをコレに着替え直して 」
「 え? え? 」
「 ほら、早く!!時間がないから!! 」
「 うわっ、はい!! 」
冬のインナーの代名詞と言えば今はヒートなんちゃらが主流だが、これには避けた方が良い環境条件、というのが実はある。
気温が低い環境下で発汗する場合、このインナーは向いていないのだ。
このインナーの特徴は、肌から自然に吐き出されている汗を吸収することで発熱する仕組みなのだが、この機能を発揮しているのがレーヨンという化学繊維。
レーヨンは人工繊維であり、植物繊維から作り出された天然素材を原料にしている素材で、そもそも水分の吸収性が高いという特性があり、逆に言えば乾くのが遅いという特徴を持ち合わせている。
そのため汗をかいたりした場合、外気温の影響で冷えを起こして体温低下に繋がってしまうこともあるのだ。
屋内と屋外を行き来したり、静と動の動きを繰り返して汗をかきやすい役者の仕事には注意が必要なインナーと言える。
また、このレーヨンには水分を吸いすぎるという特性もある。
もともと汗などを吸収することで発熱する吸湿繊維であるため、肌の水分が必要以上に奪われやすく、乾燥肌に陥って肌荒れやじんましんの原因となると謳われている。
以上のことを説明している間に着替えを済ませてきた最上さんは、それは知りませんでした、と言って俺と社さんの前に再び姿を現した。
外見上は先ほどと全く変わりない。
それもそうだ。俺はインナーだけを用意したのだから。
「 そうなんですか。知らなかったです 」
「 すごいな、蓮。そうだったのか。俺も知らなかった 」
「 肌着なんて完全に自前が当たり前ですからね。推奨出来ないインナーを着ている役者は案外多いですよ。幸い俺はモデルの仕事もさせていただいているので、そういうのも色々勉強させてもらえて有り難いです 」
「 ああ、そうか。なるほどな。へー、でもさすがだねぇ、蓮くん 」
「 なんですか 」
「 優しいね~。他の役者には教えないのに、キョーコちゃんには親切に教えてあげるだけじゃなくて、ちゃっかりインナーまで用意してあげちゃったんだ? 」
「 ちゃっかりって何ですか 」
にんまりと口元を緩めながら目を細めた社さんが俺の脇腹を肘でつつく。
こういうことをしたら何か言われるだろうことは予想していたので素っ気なくあしらった。
「 だってわざわざキョーコちゃんのために買っておいたってことだろ?ふっふっふ。紳士だねぇ、蓮くんは 」
「 ええ、そうですね。最上さんのためにしたことに違いはありませんよ。共演してくれる最上さんが風邪をひいて体調を崩したら可哀想ですからね 」
「 あっ、あのっ、敦賀さん。わざわざありがとうござました!私、あとでこのインナー、買い取りますので! 」
「 いいよ、別に。社さんが言うようにそれは俺が勝手に用意したんだ。君の助けになればと思って…。あ、そうだ。何ならもう何着か買い揃えてあげるよ。あればあるほど安心出来るだろうし 」
「 ええっ?!いいですよ、そこまでしていただかなくても… 」
「 そこまでって言うほどのレベルじゃないだろ。それね、スーパーメリノウールって言って、メリノ種と呼ばれている羊の毛から作られた天然素材なんだ。だから抗菌、防臭効果もあるし肌に優しいから、出来れば着続けて欲しいし 」
「 へー、そうなんですかあ 」
「 そう。それだけじゃないよ。特徴としては冬温かく夏でも涼しい。だからね、真夏を除いたオールシーズン着られるんだ、それ 」
「 ええっ?!すごいですね!! 」
「 すごいだろう?でもデメリットもあるんだ。実は生地が弱くて摩耗しやすい。だからね、穴があきやすかったりする。そんな訳で時々チェックさせてくれる?ダメになったなと思ったらまたすぐ俺が新しいのを買ってあげるから。君を守るために 」
「 ふえぇぇぇいっ?! 」
「 お前はホームセキュリティか! 」
はい、はい、はい。
こう言ったらきっと社さんから突っ込まれるんだろうな、と予想していたから動じません。
そして俺はにっこり笑った。
無駄にキラびらかに。
「 最上さん 」
「 はい…… 」
「 なんだったら俺が24時間、君の警備をしてあげるよ 」
「 お前、それが言いたかっただけじゃないのか?! 」
そう。それが俺の本心でした。
だって俺は24時間、君を守りたいのだから。
E N D
そして24時間、戦いましょう!!
今年ヒートなんちゃら(←わざとです)を着用して私は背中を血だらけにしました…。すっごい乾燥肌になって、ものすごくかゆくて大変でしたっっっ!!
そしてメリノウール100%に買い換えました♡ちょっとお高めだけどいいっ!(〃∇〃)
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※セーちゃんが書いてくれた「続・24時間、守りましょう」 に続く
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