いつもありがと、いちよーです。(。-人-。)
実は先日、過去にメモった覚えのある、某情報を求めて禁断の山をひっくり返してみたのですが、どういう訳だか求める資料が見つからず。それが無いと蓮誕が書けない…。
おかしい。記憶では半年ぐらい前のはずなのに…。
しかし自分的には最近だと思っていても確認したら割と前だったりするのは良くある事。※半年前は最近です
仕方ないから資料はまた調べ直すことにしました。その代わりに発掘したこちらのお話をお届けいたします。
原作沿い両片想い蓮キョです。
■ 無敵の駆逐艦 ■
「 今日もまた一人、蓮に落とされた女性が…… 」
いつもと同じように敦賀さんの撮影を見守っていたマネージャーの社さんが、私の隣で目を細めながらボソリ…とそう呟いた。
決して恋愛メインのドラマではないはずなのに、敦賀さんと向き合っている女優さんがいま間違いなく敦賀さんに墜とされた瞬間を私も見た。
問答無用で乙女のハートを鷲掴み。
それだけでは足らないとばかりに演技力という付加価値を乗せて敦賀さんは華麗に視線を独り占め。
あらゆる意味で圧倒的なパフォーマンスを披露する大先輩を前にして、私、最上キョーコは本当に恐ろしい人だわ…と人知れず背筋を凍らせていた。
なんて強制的な魅力なのかしら。恋愛ものじゃないのに相手役を落とすなんて非常識にもほどがあるわ。
一体、何人の女性を虜にすれば気が済むの?
ねぇ、敦賀さん。あなた、ズルいんじゃないですか?
敦賀さんだけ
芸能界の中で一番カッコよく光り輝いているなんて……
間違いなく、自分もその恐ろしい魔力に囚われてしまった一人なのだ。
こんな理不尽なことがあるだろうか、と思う。
敦賀さんはこの世にたった一人なのに。
どんなに真剣にあの人に恋をしたとしても、泣きを見るのは火を見るよりも明らかなのに……。
チクリ…と胸の奥が痛んだ。
自然と瞼を伏せ、気持ちを切り替えようと体の向きを変えた時、自分のそばに立っていた男性が驚き顔で口を開いた。
「 あ…。京子さん!びっくり、偶然 」
「 え?はい?……あっ! 」
見学中の撮影現場だったから、まさか私のようなペーペーを知っている人が居るとは思っていなかったけど、ドラマや映画の撮影では、表舞台に出る人より出ない人の方が遙かに多い。
カメラマン、照明、技術、美術、衣装、大道具、小道具、現場監督。
マネージャーさんだってもちろんそうで、このとき私に声をかけて下さったのは、以前、お世話になった事のある音声さんだった。
見た目は社さんとそう変わらない年じゃないだろうか、と思えるほっそりとした男の人。
「 わあっ、お久しぶりです。その節はお世話になりました 」
「 ヤだな、顔を上げてよ。僕なんてただの裏方だよ?なのに女優さんに頭を下げられたら照れるよ 」
「 いえいえ、私なんてまだ女優と呼ばれる立場でもないですから 」
私がこの音声さんと言葉を交わすきっかけとなったのは、言うまでもなく音だった。
実はこの男性、ご自分のことをオタクと言い切ってしまうほど音にこだわりを持っていらっしゃる音声さんなのだ。
音は日常生活の至る所に溢れてる。
風の音、水の音、人の声、物の音。雑音ですらそれも音に違いなく
繰り返される日々の中で奏でられている多くの音に耳を傾け、仕事上、常に持ち歩かざるを得ない携帯に音楽アプリをインストールし、空き時間を見つけるたびにご自身で自在に音を作っている人なのだ。
以前の現場で、それまで聞いたことのなかった繊細な音鳴りが聞こえて来たとき私は一瞬で心を奪われてしまった。
『 ……すごいキレイな音ですね。まるで妖精が出てきそう 』
効果音…というのがこの世には存在する。
アニメやドラマにも多くの効果音が使われているけど、音を聞いただけでこれほどまでにイメージを彷彿とさせる音がこの世にあるのか、と私は驚いてしまった。
話しかけられたのが意外だったのか、少し間を置いてから音声さんは思いっきり嬉しそうに笑った。
『 そう!!そう聞こえる?! 』
『 はい、聞こえます。まるでいま目覚めて姿を現す~みたいなイメージです 』
『 うわ、嬉しい!判ってくれる人がいるなんて。……あ、じゃあね、これは?これは? 』
流れて来たのはとてもゴージャスな音で
それでいてすこぶる楽しそうな音だった。
『 わぁっ、これも素敵。まるで天使の運動会みたいですね 』
『 すごい!!そうそう。そういう無邪気なカンジを表現したんだ 』
すっかりその場で意気投合。
リクエストをすると簡単に音色を生んでくれる音声さんの不思議マジックに魅了され、つい私も夢中になってしまって、とにかくその撮影の休憩時間は半端なく楽しかった…という記憶しかない。
いつかアニメやドラマで自分が生んだ音を使って音響編集をしてみたい…と言っていたことを思い出す。そこでふと、妙な違和感に気が付いた。
もし音声としてこの人が現場にいるのだとしたら、撮影真っ只中のいま、間違いなく録音機器の周りにいるはずなのに…。
「 あれ?もしかして敦賀さん主演のこのドラマの音を…? 」
「 そう。僕が編集を担当することになったんだ。初めてだからとにかく嬉しくてね。音声収録の担当者はあの通り、別にいるから僕が現場に居る必要はないんだけどね。けど敢えてずーっと現場に入り浸ってるんだ。時間がある時は…だけど 」
「 わぁ、凄い!!良かったですね!夢を実現するなんてカッコいいです! 」
「 ……いや、照れるな…そんな風に褒められた事ないから 」
本当に照れくさそうに音声さんは頭をかいた。
「 あの音、素敵でした。妖精が出てきそうな音。実はもう一度聞きたいと思っていたんです 」
私が心からの笑顔を浮かべて自分の胸の前で柏手を打ったとき、世にも恐ろしい冷ややかな声が私の背中にグサッと刺さった。
「 最上さん。何をやっているのかな、君は 」
……そうです。言わずと知れた事務所の大先輩。私が神の寵児とあがめる敦賀さんのお声。
敦賀さんが発したその冷んやりとした声が何を物語っているかは一声ならぬひと聞きで理解でき、その異様なまでの怒り様は振り向かずとも感じ取れた。
敢えて私は振り向かず、自分より数歩離れた所で腕組みをしている社さんに助けを求めてそちらへと視線を動かした。
……けれど……
やっ…やっぱり。判ってましたけど、判ってましたけど。
でもひどいっ!嘘でしょ、社さん、その手っ!!
手を横に振ることはないでしょう?!
その手の動きがムリムリ…って言ってます。
何も言ってないはずなのにそう言ってるのが聞こえます。
助けて下さったっていいじゃないですかぁっ!!
だって私、本当に少しですよ?
ほんの少し撮影から目を離していただけですよ?
「 あ…の…敦賀さん、私は別にその…… 」
「 別に…なに?君は演技の勉強をするために俺の仕事を見学に来ていたはずだと思っていたけど?俺のそれを見てないだけじゃなく、音声さんの仕事の邪魔までしているとはどういう所業? 」
「 いえ、邪魔をしているつもりは… 」
いたずらを叱られた小さい子みたいに肩を縮こませた私を音声さんは擁護して下さったけど、それは功を奏さなかった。
「 大丈夫だよ、敦賀君。別に京子さんは邪魔なんてしてないから 」
「 いえ。口を出さないで下さい。事務所の人間としてやはり見過ごすことは出来ませんから 」
「 ……… 」
「 ね、最上さん? 」
「 ……は……至らない後輩で本当にすみません 」
このとき私の脳裏をよぎったのはダークムーンの打ち上げパーティ。
私が粗相しないように…と敦賀さんは私と一緒にインタビューすることになったのだ。その直前に二人きりになったあの時のことが鮮明によみがえる。
表面上は穏やかだけどやはり大魔王の如く怒りをあらわにした敦賀さんの後ろで、全く真逆な雰囲気を醸した社さんが苦笑を浮かべている。
大人げないな…と小声でツッこんだ社さんの声は敦賀さんには聞こえていないようだった。
「 最上さん、おいで。君には俺が直々に教育的指導をしてあげるから 」
大きな手に掴まれ引っ張られた私は、まるでバランスを失った凧のように弱々しく敦賀さんに連れられた。
「 あの、あのっ!!本当にすみませんでした! 」
「 謝って済む問題じゃないから指導をするんだよ 」
「 でもいま敦賀さんはお仕事中でいらっしゃいますから、そんな私のために時間を割くのは… 」
「 そこは心配する必要ない。いま休憩に入ったから 」
私の言葉で肩越しに振り向きニーッコリと微笑んでくれた敦賀さんのそれは本当に恐ろしくて、なのにその恐怖が理解できないのか先ほど敦賀さんに撃ち落とされたばかりの女優さんが羨ましそうな顔で私を見ているのが視界の端に映った。
違いますから!絶対、違いますから!
そりゃ、好きな人と二人きりになれるのは嬉しい事かも知れないけど、このやり取りからそんな素敵なシチュエーションになる訳ないって気付くでしょ!?
ああ、もう私、この人がここまで怒るようなことを何かしでかしていましたか~~~?
そもそも音声さんとは少しばかり会話をしていただけですよ~~???
このあと
鍵を掛けられ完璧に閉ざされた楽屋の中で
逃げられるはずのない私を楽屋の奥に追い詰めた敦賀さんは、更に私の逃げ道を塞ぐように私を壁際に追いやったあげく
その手の長さを活かさない壁ドンを堂々と放って私を腕の中に閉じ込め、身長差を無視して私の顔に顔を近づけたあと、5センチと離れていないその距離から強烈な眼力で私を見つめ
見事、私のハートを打ち抜いた。
E N D
ちなみに蓮君的教育的指導及びキョーコちゃんのハートを打ち抜くまでのやりとりがコレ↓もちろん、壁ドン後(笑)
「 最上さん。仕事中の異性におねだり宜しくお願い事をするもんじゃないよ 」
「 お願い事? 」
「 していただろう?もう一度聞きたいって。何をもう一度聞きたいと? 」
「 あ、それはコーンBGMです♡ 」
「 なに? 」
「 その音楽を聞いた途端、グアムでコーンと出逢ったことを思い出したんです。海の中からまるで人魚のように姿を現して…そのくせ光からいま生まれたかのような輝きを放っていたあのコーンの姿を思い出せる素敵な音楽で、それをもう一度聞きたいなぁって… 」
「 ………ゴホッ。判った、それはいい 」 ←照れた
「 はっ!ご理解いただけて光栄です 」
「 でも、じゃあさっきあの音声さんにカッコいいって言ったのは?それは俺の聞き間違い? 」
「 いえ、確かに言いましたけど…。そう!そうなんですよ!敦賀さん、聞いてください。あの人、自分の夢を実現させたんですよ!すごくないですか?そういうの、カッコいいですよね! 」
「 ……そう。俺は? 」
「 はい? 」
「 俺、君に言ったことあると思うけど。役者になるのは子供の頃からの夢だったんだ。俺いま夢を実現させているけど? 」
「 はい、凄いですね。さすが敦賀さんです 」
「 なんで?なんで俺のことは褒めない? 」
「 えっ??だって敦賀さんはもう出逢ったときには役者さんでいらしたので… 」
「 なぜ?そんな理由?だから俺の事は褒められない?それってズルくないかな?俺だって夢を実現させているのに俺はカッコよくない? 」
「 何にこだわっていらっしゃるんですか。敦賀さんは以前から世間的にそう評価されていらっしゃるし、それでいいじゃないですか 」
「 でも俺は君の口から聞きたいんだ。最上さん。最上さん的には出逢った時すでに役者だった俺はカッコよくない?じゃあ俺、どういう風にしたらカッコ良いって君に褒めてもらえるんだろう?それを教えてくれる? 」
「 かっ…!!!不用意にこれ以上、近寄らないで下さいっ!それに、そんな意味のないことに悩まないで下さいよっ! 」
「 意味が無いとか勝手に決めつけないでくれる?頼むから教えて。俺、どういう風にすればカッコよくなるかな? 」
「 敦賀さんはもう充分カッコいいですよ!いやーっ、その端正なお顔を近づけ過ぎないで下さいーっ!! 」
「 それ具体的に教えて。どういう所がカッコいい? 」
「 全部っ!全部ですー!!やめて下さい、心臓が止まっちゃうー!! 」
「 判らないよ、それだけじゃ。もっと具体的に、最上さん… 」
「 あっ…あなたに心を奪われるほどですっ!もう、それで許して下さい! 」
※キョーコちゃんって面と向かって蓮君を褒めたこと無いよね~って考えて思い浮かんだお話※
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