一葉です!!
いつでも両片想い萌え見参っ!о(ж>▽<)y ☆
本日のは原作沿いです…と言いたいところですが、若干、蓮君がおかしいです(笑)
お楽しみいただけたら幸いです。
■ みつうぐいす ■
思い出すだけでも腹立たしい愚かで浅はかな過去の経験。
幼なじみのバカ男に捨てられアイツに絶対復讐すると心に誓った私は、過去を切り捨てるように伸びていた髪をカットし、純粋培養だった自分自身を塗り替えるように黒のそれを茶髪に染めた。
あれから色々なことがあったけど、この恨みは決して忘れやしない。その意気込みのもと、この髪型を維持する為に2~3ヶ月に一度は必ず髪をカットしていた。
そう。
どんなに寒さが弾けようとも……
「 ふぃぃぃぃぃ~~~~~っっ!!! 」
……とはいえやはり北風吹きすさぶ季節のカットはとにかく寒さが身に染みる。
短い短い冬休みが終わりいつもの日常が舞い戻った。
恨みがましいこの思いを少しでも早く雪辱するには仕事を頑張る以外に方法はなく、つまるところ私は一日でも早くその日が来るように…と、今日もLMEに足を向けていた。
すっかり慣れ親しんだ所属事務所の自動ドアをくぐると温かい空気に気持ちが緩む。
同時にコートのポケットに手袋を突っ込み、犬のようにぶるぶると顔を振った。
巻いていたマフラーを静かにほどいたとき、何より私の心を和ませてくれる優しい声が耳に届いた。
私の、後ろから…。
「 ……あ、やっぱり最上さんだった 」
「 ははっ!ホントにキョーコちゃんだ、おはよう 」
「 わぁっ!敦賀さん、社さん、おはようございます!えっと?まさか私、どこかですれ違っていました? 」
「 いや、元気いっぱいでビルに駆け込む姿がさっき一瞬、見えたんだ。たぶん君だろうなって思ってね 」
「 え?…え、へへ…… 」
「 …でも、駆け込んだ割にはずいぶん入り口から近い場所にいるね。どうした? 」
「 すっ、すみません、通りを塞いだりして。あまりに寒かったものですからビル内に入った途端のこの暖かさについ和んでしまいまして…… 」
「 あー、確かにねー。俺、キョーコちゃんの気持ち判るなー。つい立ち止まっちゃうんだよね 」
「 そうそう、それです 」
話しながら徐々に中ほどに進み、ほどいたマフラーを首から外した。
さすがに肌寒さを感じはしたけど風が無い分やはり屋内は温かい。
数歩進んだところで自然と立ち止まった私たちは、何となく3人で円形を作り、それから当たり前のように私は敦賀さんを見上げた。
「 ……ん?あれ?最上さん、もしかして…… 」
「 え? 」
私を見て不思議そうに小首を傾げた敦賀さんが、軽く握った右手を口元に寄せる。
つられて私も小首を傾げてみせると敦賀さんは少しだけ瞳に明るい光を宿した。
「 ああ、うん。君、髪の毛切っただろ? 」
「 へ? 」
「 この前会った時より全体的にボリュームがあっさりしている気がするし、毛先が短くなってる。…よね?ほら、ここ。この首筋、前は見えなかった 」
「 ひ?ゃぁああああぁぁぁぁぁっっっ!!! 」
口元に寄せていた右手を緩やかに開き、敦賀さんの指先が私の首に触れた瞬間、予想外にヒヤリとしていたそれに驚き、私はかなり大袈裟に悲鳴を飛ばしてしまった。
だって!!本当に冷たいんだもの。
「 なっ…なんですか、この冷たさは!! 」
「 あっ…と、ごめん。冷たかったか 」
「 逃げちゃダメですっ!!! 」
私の首から大急ぎで逃げ出した敦賀さんの右手をがっちりと捉え、手袋で防寒していた私の両手で恋する相手の右手を包む。
寒さで赤くなっていないのが不思議なくらい、敦賀さんの手は冷たかった。
「 …っ…最上さん、手、あったか… 」
「 でしょう!?もう!なんなんですか、敦賀さんったら。どうしてこんな冷たい手に。まるでゾンビみたいですよ。本物のゾンビには触った事ありませんけどね 」
「 クス。……今日は仕方なかったんだよ。手袋をしながら運転する気にはなれないし。加えて今日は移動時間がそれほどじゃなかったから車内が温まる前に車から降りてしまったんだ 」
「 あ、そっか。ごめんな?蓮。俺、気付いてやれなくて 」
「 やだな。こんな事くらいで謝らないで下さいよ、社さん。仕事に支障はありませんから大丈夫ですよ 」
「 もう!!じゃあ、左手も出して下さい! 」
「 ……はい。それにさ、どんなに体を鍛えても末端まで鍛える事って出来ないだろ。全体的には寒くないから大丈夫なんだけど…って、最上さん、聞いてる? 」
「 …っ……っ… 聞いてます…っ…っ……・ 」
……と一応答えてみせた私は、けれど頭には入っていなかったかもしれない。
素直に差し出された敦賀さんの両手は本当に冷たくて、自分の両手で抱き締めながら一生懸命自分の息をはぁ…と吹きかけている最中だった。
それにしても冷たいわ!
神の寵児の手だというのにこんなに冷たくなるなんて有り得ない!!
もし万が一この人に何かあったらどうしてくれるっていうの、神様。
「 キョーコちゃん…… 」
「 はいっ? 」
「 あのね、言いにくいんだけど、俺の前でそれをされると俺、困るんだ… 」
「 はい? 」
「 もっとも、キョーコちゃんがそれを気にしないって言うなら黙っていようかな、とも思うけど…… 」
「 はい? 」
「 傍から見たら、蓮とキョーコちゃんって怪しい関係なのかな~とか?思われること請け合いだと思うんだよね。それを判ってて黙っているのはマネージャーとしてどうだろうって…… 」
「 はっ?!すみませんっ、私ったら、つい!! 」
社さんからの指摘でパッと両手を離して敦賀さんを見上げると、そこに居たのは温厚紳士な笑顔の敦賀さんではなく、まるで感情を殺したように能面な顔をした敦賀さんだった。
もしかしたら敦賀さんも内心は困っていたのかも知れない。けど、言ってくれたセリフはいつもの敦賀さんだったのだけど…。
「 気の回しすぎですよ、社さん。そんな風に思う人なんていませんよ。それに、最上さんのせっかくの好意を無にするような事、言わないで下さい 」
「 でもお前のその顔を見てる限り…あ、キョーコちゃん 」
「 はいっ、本当にすみませんでした! 」
「 謝らなくていいってば。でもこういう接触はね、出来るなら人目のない所でお願いしたいんだ。ついでに言うなら俺も居ない所で…とか? 」
「 はいっ、すみません!今度からそういう風にします! 」
その方が俺もコイツから要らん恨みを買わずに済むから…と続いた言葉にちょっと不思議なカンジもしたけど、社さんがそう言った途端、敦賀さんの顔に表情が戻った。
なぜか夜の帝王な顔が……。
「 そうだね。つまらない噂が流れても困るしね。
……じゃあ、社さんの指示に従って今夜はどうかな? 」
「 はいっ? 」
「 夜、俺の家で俺を温めてくれる? 」
「 え?え?……でも、私がいま敦賀さんの手を温めようとしたのはこれからのお仕事に支障があったら大変だと思ったからですよ? 」
「 うん、ありがとう。おかげでちょっと温かくなった。でもまだだいぶ冷たいから夜にも温めて欲しいんだ 」
「 でっ、ですが、いま冷えている指先を夜、温めることにどんな意味があるのでしょう?お風呂にでも入られた方が絶対いいと思うのですけど 」
「 意味ならあるよ。指先だけじゃなくてね、寒さを感じる所全部を君に温めて欲し…… 」
「 はい、蓮、ストーップ!!この問答はここでおしまーいっ!仕事、仕事!事務所に行ってまたすぐ出なきゃいけないんだから! 」
「 あっ!ちょっと待ってくださいよ、社さん。俺まだ最上さんと約束できてな… 」
溜息をついた社さんに、敦賀さんが連行されてゆく姿を見たのは初めてのことで思わず笑いが浮かんだけど。
仕方ないと諦めたのか自主的に歩き出した敦賀さんは、私から十数歩離れた所で立ち止まり軽快なステップで私の方へと振り向いた。
「 最上さん 」
「 はい? 」
「 その切りたてほやほやの髪、新鮮でイイよ 」
「 ……っっ!?! 」
もう、なんで……
なんでこんな単純なことでこんなに嬉しくなっちゃうのかな、自分。
ただいつもの様に髪をカットしてきただけなのに
それを好きな人に気付いてもらえて、まさか褒めてもらえるなんて。
ううん、それだけじゃない。
敦賀さん、ちらっと見ただけの私を、私と気が付いてくれたのよ。
「 ……ありがとうございます!敦賀さん、お仕事頑張ってくださいね 」
「 君もね 」
「 はい、がんばります! 」
ちなみに数分後。
ラブミー部室にいた親友に、敦賀さんとのやり取りのあと、社さんに連行された敦賀さんのコトを面白おかしく話したら……
「 アンタはほんとにニブチンねっ 」
…――――――― と、モー子さんにひどく呆れた顔をされた。
え?私、そんなにニブかったですか?
えーっと、具体的にはどの辺が????
E N D
いつも内容のどこかしこにタイトルを彷彿とさせるそれが入っているのが一葉流…と認識しているお嬢様ですと、ちょっと不思議に思われたかもですね、このタイトル。
漢字表記すると『三つ鶯』。うぐいすはもちろん鳥名です。
ところで好きな男性に気付いてもらうと嬉しいことって人によって様々だと思いますが、上位に位置するのは主に三つらしいです。
髪型の変化と自分の香り(気配)と元気の有無。
特に髪型は上位に位置しているそうなのですが、現実的にはそれに気付ける男性って少ないですよね。
けど一葉、キョーコちゃんに対してその三つともを蓮君が敏感に察してくれたら超萌えだな♡と妄想。
そして、冬から春に向かう季節の流れの中で、ふと鶯の声が聞こえてきたら『もうすぐ春だなぁ』って思って嬉しくなりませんか?
気付いてもらえたら嬉しい気持ちを表現するのに少しだけ情緒を加え、それをタイトルにしてみたのです。ハイ。
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