SS 秘密の両片想い | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 いつもですけど、本日もタイトル通り両片想い蓮キョをお届けいたします、一葉です。


 そして申し訳ありませんが、ACT.237以降のネタバレが含まれておりますのでコミックス派及びネタバレ回避のお嬢様はこちらより回れ右をお勧めいたします。


 ほんの少しのネタバレなのに、派生ではないという不思議。

 そちらは読み進めて頂ければお判り頂けるかと思います。


 それでは、少しでも楽しんで頂けましたら幸いです。





■ 秘密の両片想い ■






 モー子さんとの共演を現実にすべく、張り切ってオーディションを受ける少し前。

 自分が目指している紅葉が持つ、くノ一の技をはっきりと理解したくて私は漫画化されているそれを読んだ。


 ついでに別の目的を持って、他のマンガにも目を通す。



 活字の世界にはいつも、王道とされるストーリーがある。



 たとえば最近の少女漫画の傾向では

 顔ヨシ、頭ヨシ、性格ヨシ…の、いわゆる敦賀さんばりにカッコいい男の子が登場し


 その男の子が、言うなれば私のような十人並み、もしくはそれ以下の女の子をあれよ、あれよという間に見初め、なかなかに激しい恋に落ちる…というのが王道中の王道になっているらしい。


 それに気付いた途端、私の口から息が漏れた。



「 ……はっ。夢見すぎでしょ。こんなのある訳ないじゃない 」



 こぼれたセリフと共に浮かぶのはもちろん冷え切った笑い。



 マンガは道楽である、ということに理解はあった。

 例えばそれはワンクールごとに提供されるドラマと同じで、一人でも多くの人がイイと思ってくれることに意味があるのだということも。



「 だ・け・ど。それにしたってあるわけ無いでしょ。

 だいたい、なぜこの男の子がこの女の子を好きになるのか、読者が納得できる理由が描かれていないじゃないの!だから夢物語って言われちゃうのよ! 」



 そうよ。こんなんじゃ、これっぽっちも参考になんてならないわ。




 これを現実に即すとするなら

 芸能界一カッコいいと言われているあの敦賀さんが、あろうことか私を見初めちゃうってストーリーになるわけよ?

 そして私と敦賀さんが物凄く激しい恋に落ちていくっていう、誰がどう考えても有り得ない展開に見舞われるってことなのよ?!!


 ほら、無いって思ったでしょ?

 誰がどう考えても現実的じゃナイって思うでしょ?!



「 せめて…せめて十人並みの女の子のどこに、このカッコいい3ヨシ男が激しく惹かれるのか、その重要点を私にもちゃんと理解できるようにして欲しいわ 」




 だけど、判る部分ももちろんあった。


 それは、女の子が男の子に惹かれる理由。


 たとえば敦賀さんのように、3つ、もしくはそれ以上のヨシを兼ね備えた男性になら、誰だって心惹かれて当たり前だろうというところ。




 事実、自分はそれに該当していた。





 私は、敦賀さんと出逢った当初

 敦賀さんのことが好きではなかった。



 なぜなら敦賀さんは

 今では己の記憶すら信じられないほど、ひどく意地悪な人だったから。



 敦賀さんがカッコいい人だって事実は、最初から否定のしようもない。

 同時に私はあの人がとても頭のいい人だと云うことを、芝居を通して感じ取っていた。


 敦賀さんは本当にすごい役者で


 役の心情だけじゃなく、人物像やその背景、生い立ちまでもを簡単に見抜き、芝居に活かす技術を有している。

 その実力を目の当たりにしたとき、私は身震いするほどの感動を覚えた。



 芝居にかける情熱は私の想像をはるかに超え

 反発心から始めた代マネのとき、私はその真剣さに触れたことで敦賀さんのことをあっさりと受け入れ、この人の助けになりたいと本心から強く思った。




「 顔ヨシ、頭ヨシ… 」



 敦賀さんに限っては、3つ所の話じゃないわ。



 この人の笑顔は女性を腰砕けにさせるほど魅力あふれるそれだし


 温厚紳士の愛称に相応しく、誰にでも柔和に対応して

 加えて周りの人に細かい気配りが出来る男性だし


 仕事に対しては実直で

 それになにより敦賀さんは誰にでも優しく出来る人だから……




「 でも私は、だから敦賀さんを好きになった訳じゃないわ 」



 私は、敦賀さんが持っている別の顔を知っている。

 私は目撃者なのだ。



 あの人の過去には何かがある。



 セツカのときに垣間見た、敦賀さんの激しい葛藤。



 自分が敦賀さんのどこに惹かれたのだろう…なんて

 改めて考えたことはなかったけれど


 私は、敦賀さんが持つ強さと脆さに、心惹かれているのかも知れない。




「 ……少女漫画の主人公みたいに、強い人はとても魅力的だと思うけど

 でも私は、自分の弱さに向き合う心の強い人がいいわ。

 そしたら自分も、そう出来そうな気がするから 」




 心の奥底に住まう、もう一人の自分。

 時折どうしようもなく吼え叫ぶ負のエネルギーから生まれた獣を、敦賀さんも飼っている。


 私と同じように。

 けれど私よりもっと激しい野獣をきっと……




 不意にラブミー部室の扉がノックされ、次いで敦賀さんが顔を出した。




「 失礼…っと。最上さん、こんにちは。社さんが来るまでの間、ちょっと休憩させてもらえる? 」


「 敦賀さん、こんにちは。もちろんです、どうぞ 」


「 あれ、なに?凄い本の数だね。こっちは……泥中の蓮のコミックスで…こっちは?? 」


「 そちらは昨今の恋愛事情をマンガから読み取ろうと思い立ち、参考にレンタルして来たものです 」


「 へえ。相変わらず面白いことするね、最上さん 」


「 面白いですかぁ?紅葉の参考になれば、と思っただけですよ 」


「 それで?参考にはなったの? 」


「 特に何かを得たわけではありませんが、少なくとも敦賀さんのようにヨシをたくさん持つ男性は、間違いなく女性に好かれるのだ…ということだけは理解できたように思います 」


「 ふっ。なに、それ。もしかしたら俺、いま君に褒められたのかな? 」


「 え?褒めたように聞こえませんでした? 」


「 ははは。じゃあ一応、有難うって言っておく。

 ……だけど、恋愛色のあるドラマに出演するたびに思うけど、現実はそう上手くはいかないよな。

 作られた物語みたいに自分が好きな人に好いてもらえるなら苦労も苦悩もないのにな 」



 敦賀さんからの意外な言葉に目を見開いた私は

 割とすぐ、その意図するものを読み解いた。





 ――――――― あ、そうか。

 敦賀さんって、そうだった。


 このことは坊しか知らないことだけど



 この人も

 私と同じで片想い中の人だった。




 大切な人は作れない…。


 つらそうな表情で、虚偽なく語ってくれたあなたの誓い。



 そんなものさえなければ

 あなたが想いの通じない恋に苦しむ…なんてそんなこと


 まずあり得ない現実でしょうに。



「 敦賀さん 」


「 ……ッ!……えっと、なに? 」


「 ……… 」



 もしかして

 いまあなたが息を飲んだのは


 余計なことを口走ったっていう、焦り心からですか?



 だとしたらそれ、心配は要らないですよ。

 だって私、誰にも言いませんから。



 頼まれたって言うもんですか。

 敦賀さんが片想いをしているなんて。


 自分から失恋を早めるような真似だけは、どんなに卑怯だと判っていても絶対にしない。



「 私もそう思います 」


「 え? 」


「 ですから、作られた物語みたいに自分が好きな人に好いてもらえるなら…ってやつです 」


「 あ…ああ……うん。そうだろう?君もそう思う? 」


「 はい。でも、否定もさせていただきますよ。

 だって、少なくとも私の目から見た敦賀さんは、少女漫画に出て来る男の子キャラそのものですから 」


「 …え、俺?男の…子、キャラ? 」


「 いえ、男の子に固執しなくていいんですよ。そこは男性キャラで。

 ただ、出逢った頃、あんなにいっぱい意地悪されたのに、私ってばいま、敦賀さんが大好きなんです。それが何よりの証拠です 」



 私の言葉に目を見開いて

 無表情で固まった敦賀さんは普段と違って面白くて



 やがて私の言葉を飲み込んで

 ゆっくりと目を細めた敦賀さんは


 それ反則でしょってほど嬉しそうに

 芝居以外で初めて見せる特上の破顔を満面に浮かべた。



「 俺、いま世界で一番幸せな男の気分を味わった… 」


「 そっ…なんでそんな気分になるんですかっ!!それに、そのセリフを言うのは私の方です 」



 だって私、予想もしていなかったもの。



「 え? 」


「 もう!!驚かさないで下さいよねっ 」



 まさか敦賀さんが

 私の言葉でそんな嬉しそうな顔をしてくれるなんて




 夢にも思っていなかったから。










     E N D


お互い恋心を打ち明ければすぐ両想いだっていうのに、どうしても勇気が出せない片想い。

だけど時々こんな風に自分の本音を口にしちゃうのって、すんごく可愛いですよね♡



⇒秘密の両片想い・拍手

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