SS 雨上がりの負け星 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 どうしてまたSSなんてUPしているのかなぁ…って声が聞こえてきそうだ…と思っております、一葉でございます。


 うーん。実はねぇ、本日のこのお話、先日(正確に言うと8/3に)UP致しました「雨の日のお姫様」 の蓮君sideなのです。


 ほんわかと蓮君sideも思い浮かんでますよー…との独り言に、読みたいです、と反応を返して下さった方が何人かいらっしゃったので、張り切って書きますね♪と断言したくせに、なぜに2ヶ月以上も放置したのだろうか、自分。いま10月後半だよ…?

 その間にUPになった短編が14本って、正気かお前…。 ←タイトル思い浮かばなかったっていうのは言い訳未満だよね(苦笑)


 最近めっきり両片想い蓮キョと告白成立蓮キョを行ったり来たりしているような気がしておりますが、それは原作が微妙な頃合いだ(…と一葉が思っている)からなのですよ。

 ちなみに一葉は両片想い萌え(笑)ですけれど、二人が成立したらそれはそれで(///∇//)♡♡

 溢れるようなラブラブビームを発射させる日を待ち望んでいるのも事実なのです!!そしてそんな二次も書いてみたい…♡♡


 それまでは両片想い量産体制に変わりありませんです。なので呆れず変わらずお付き合い頂けましたら嬉しいです。


■ 雨上がりの負け星 ■





 たとえ梅雨が終わったとはいえ、雨が降る日が無いわけじゃない。


 最上さんの次の仕事場が自分と同じだと知って

 困り顔の彼女にそっと手を差し伸べた。



「 最上さん、おいで?行き先が同じなら一緒に行こう 」



 物憂げに躊躇う眼差しが、俺の方へ振り向いて瞳を揺らした。


 一度俺から視線を逸らして逡巡する様子を見せた君は

 そのとき一体、何を考えていたんだろう…



「 じゃあ蓮、俺は別件で足を延ばさなきゃならないから、あとで合流するからな 」


「 はい。お願いします 」



 なぜだかほんの少しだけ、いつもの彼女とは違う気がした。

 イエスにしろノーにしろ、この子ならすぐ返事を口にしてもおかしくはないのに。


 じゃあねと手を振り、踵を返した社さんに綺麗なお辞儀を捧げた最上さんの表情は酷く感情を押し殺しているように見えた。

 だけど俺の方へ振り向いてよろしくお願いします…と頭を下げたときは、いつものキュートな満面の笑顔で…。



 ねぇ…?もしかしたら君、いま悩みでも持っているの?

 どうしたらいいのか戸惑っているから表情がコロコロ変わるんじゃないの?



「 最上さん、行こうか? 」


「 …はい、ありがとうございます 」


「 そんなに強い降りじゃないけど、車の方が楽だしね 」



 君とふたりだけのシチュエーションは、甘酸っぱくて心地いい。


 そんな俺の声掛けに触発されて少しだけ表情を曇らせた最上さんの口から続いたセリフは、やっぱりいつもの彼女だったけれど…



「 確かにそんなに降っていないですよね。なのにお言葉に甘えてスミマセン 」


 浮かんだ微笑はとても儚く


「 なに?謝る必要はどこにも無いよ。せっかく久しぶりに行き先が同じテレビ局なんだし、一人より二人の方が楽しいだろ?少なくとも俺は嬉しいよ? 」


「 そうですか?私如きでも楽しんで頂けるのであれば光栄です 」



 投げ返された俺への言葉はとてつもなく堅苦しいセリフだった。


 …せっかくふたりきりなのだから、何かあるなら俺に話してくれればいいのに。


 俺では君の力になれないのかな?

 俺って頼りない先輩なのかな?




 赤信号で車を停めて

 前を見据えたままの彼女に倣ってフロントガラスに焦点を当てた。


 まるでそれが合図だったかのように雨粒が踊り始めて、息をのんで彼女へと振り向く。


 眼前で弾ける水しぶきは容赦なく勢いを増し、滝音のようにけたたましく存在を響かせ始めていた。


 突然の大音に驚いた最上さんも思わず目を見開いていて、手加減なしに勢いを増し続ける滝壺を連想させる激雨音にそそのかされ、俺たちは申し合せたように二人で顔を見合わせ、そしてぷっと吹き出した。



「 …敦賀さんのおかげで私、雨に濡れずに済んじゃいました。お誘いいただきまして本当にありがとうございます 」


「 いえいえ。お役に立てたのなら光栄です 」



 そういう所は、まるで普段の君なのにね…。



 雨音で和んだ車内で、俺の耳に届く彼女のクスクス笑いに安堵の溜息をふっと漏らし、元気よく跳ねまわる水音をBGMにしながら心の緊張がほどけた俺はつい本音を口にした。



「 …良かったよ 」


 こんな些細の事でも君が、そうして少しでも元気を取り戻してくれるなら。


「 思い切って君を誘って… 」


 本当に良かったと思う。



 俺の言葉をどう受け止めてくれたのかは判らないけれど


 俺の隣で小さく頭を横に振り続ける最上さんの気配に耳を澄ませながら、やがて変わらず口を閉ざしたままの彼女が前を向いて顎を引く姿を黙ったまま見守った。



 変わらず視界は不良全開で

 車の屋根と言わず、ボディというボディを叩きつける雨音が、途切れることを知らずに車内に響き渡っている。


 小さく唇をかみしめ、素知らぬ顔で俺は前を見続けた。




 ――――― 君が自分から打ち明けてくれるまで、ムリに聞き出そうとは思わない。


 でも、感じ取って欲しいとは思うんだ。



 自然と口をつぐんだ、会話の続かない車中であっても

 君と二人でいるこの世界を、愛おしいと思う俺がいるってことを…。



 そのときふと口元に笑いが浮かんだ。


 たとえばこの場に社さんがいたら

 相変わらずヘタレだなって、もしかしたら頭の中で溜息をついたのかもしれないな。


 こんな事を考えるだけ考えて、決して口には出さない俺に気付いたりしたら、きっと社さんはそうしただろう…と。



 それからも車内はずっと沈黙を保ったまま。

 やがて駐車場にたどり着いても最上さんは前を見据え続けていた。


 ただ、チラチラと俺の方を見ている事に気が付いてはいたから

 彼女が口を開きやすいように、タイミングを見計らってそっと最上さんに声をかけた。



「 最上さん? 」


「 へ?はいっ?? 」


「 これだけ凄い雨だと、つい車の中でまったりしたくなるよね? 」


「 え?…はい、そうですね?? 」


「 ん。そうだと思った。所で、なんでずっと俺の方を見ているの? 」


「 へ?ずっと??ずっとなんて私… 」


「 だけど君、いま気付いていないだろう? 」



 エンジンはとうに止まっていた。

 雨は変わらず降り注いだままで、わざと屋根のついていない駐車場に車を停めた俺と、俺の傍らにいる最上さんを世界から切り離す様に雨足が激しく地団駄を踏み続けている。


 俺の言葉でキョロキョロと辺りに視線を向けた彼女が

 俺が言わんとしている事に気付いてアッと小さく声を漏らした。


 真っ赤な顔になって肩をすくめ、俯いたその仕草がどうしようもないほど可愛らしい。



「 大丈夫。まだ時間があるから、もう少し一緒にいよう? 」



 ハンドルから手を離し、気持ち彼女の方に身体を向けて

 心のままに浮かんだ笑顔を隠しもせずに彼女を見つめる。



 交わす言葉も足らず

 雨音だけが響く車内で

 君と二人きりでいられるこの贅沢な時間が嬉しい。



 俺の言葉で少し目を細めて微笑を浮かべた最上さんは


 先ほどと同じように唇を柔らかく結んだまま

 ただコックリと首を縦に振ってくれた。



 …いいよ?それだけでも充分。

 だけど、本当は言いたいことがあるなら何でも俺に言って欲しい。


 それがどんなに小さなわだかまりであったとしても


 君の中にある色々なことを

 俺だけに打ち明けてくれたらって、そう思うのは驕奢な願いなのかな…?



「 ね、最上さん? 」


「 はい 」


「 仕事終わりが俺とそう変わらないなら、帰りもこっちにおいで? 」


「 ええっ!??い…いいですよ、そんな。さすがにその頃はもう雨も上がっていると思いますし、それに敦賀さんにそんな… 」



 俺に対する遠慮がちな態度は相変わらず。


 けれど勢いよくブンブンと振られる両手の隙間からこぼれた、俺にアッシーみたいなことをさせるわけにはいかない…と口ごもった最上さんのセリフに自嘲気味な笑みがこぼれた。



 俺は、それでもいいんだよ。

 それで君のそばにいられるのなら…。



「 そんなこと言わずに。一緒になったのは久しぶりなんだし、こんな時ぐらい、可愛い後輩の面倒を見るいい先輩でいさせてもらえると助かるんだけど。…ダメ? 」



 きっと君は、俺の本心に気付いたわけじゃないのだろうね?


 だから可愛い笑顔を浮かべて俺の言葉を飲み込んでくれた、君のその優しさを足掛かりにさせてもらうよ?



「 じゃあ私、終ったあと敦賀さんのお仕事を見学させていただいてもいいですか? 」


「 もちろん、大歓迎だよ。気兼ねせずに気楽においで? 」


「 はい。ありがとうございます 」



 夏の暑さを掻き消して


 雨粒がまるで、数珠つなぎのパールのようにフロントガラスを流れ落ちたその日



「 そうだ。俺が先に終わったら、俺が君の仕事を見学しよう 」


「 えっ?そんなの嫌です。私が敦賀さんのお仕事の見学をしたいんですから 」


「 そう?そう言われると何だか余計、頑張りたくなるな。じゃあ、俺が君を迎えに行くのが早いか、君が俺の所に来るのが早いか、お互い腕の見せ所だね 」


「 そんなぁ~…。敦賀さんと競うなんて私には分不相応ですぅ~ 」



 俺の隣で、少し甘えるように頬を膨らませた最上さんを迎えに行きたい一心で、予定よりずいぶん巻いて仕事を片付けた俺は



「 最上さん。約束通り迎えにきたよ 」


「 やっぱり…。敦賀さんに敵わなかったですー! 」



 そう言って俺の姿を認めるなり眩しい笑顔をこぼしてくれた君を、俺の助手席へと導いた



「 お邪魔します 」


「 はい、どうぞ 」



 地面はまだ濡れたままだったけれど

 空に瞬く星を見上げて


 本当に負け続きなのは俺の方だよな、と

 一人隠れて苦笑をもらす。



 気を使って先に帰ってくれた社さんに感謝の意を捧げつつ


 すっかり笑顔を取り戻していた最上さんとまた二人きりになるために


 俺は帰宅の途に就く運転席へと乗り込んだ。





     E N D


作中の「夏の暑さ」に違和感を覚える一葉(笑)

10月も終わろうとしているのに、今になって夏のSSを上げるって…。

うん、でも仕方ないよ、パトラッシュ。だってこうなっちゃったんだもの。


お話注釈:日常的に使う言葉じゃないよな…って思いながら使う一葉でスミマセン(笑)

「驕奢」(きょうしゃ)…大変奢っていて贅沢なこと。


⇒雨上がりの負け星・拍手

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