どうも♪一葉でーすヾ(@^▽^@)ノ
もうお気づきだと思いますが、このお話は毎週月曜日更新を目安としております。
早めに書き上げても結局のところ推敲に時間がかかることが判っているので、敢えて余裕を見て予定組みです。
さて、魔人sei様のリク罠№160 をお題として頂き連載を開始しましたこのお話。
プロット組んだ時点では6話で完結。これでイケそうな気もするし、そうじゃないような気もする(笑)
どちらにせよ完結までそれほど時間はかからないだろう事だけは明白です。
現代設定に限らずパラレル蓮キョは好みが分かれるかと思いますが、少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです♡
■ 恋する生徒会長 ◇3 ■
それから2週間が過ぎた。
似非恋人契約を結んだことで、LME女学園の生徒会長である最上キョーコの登下校時のお供は武道有段者の天宮千織から俺の役目へと変わり、朝の迎えはもちろん、放課後に彼女を自宅まで送り届けることも俺の責務となった。
それを告げられた時、俺がどんな態度だったのかは想像に易いだろう。
とうぜん承諾は渋々だったが、合同学園祭が終わるまで一ヶ月ちょっとの辛抱だ…と自分に言い聞かせながらそれを受け入れた俺に、予想外の衝撃が走ったのはその直後だった。
「 そういや蓮、俺お前に言っていなかったけどな 」
「 はい、なんですか? 」
「 このカレカノ計画は卒業までだからな。俺たちのためにも頑張れよ 」
「 なっ…!! 」
いまようやく自分を諭したばかりだというのに、よりにもよって卒業までの約半年間、ずっとこの茶番を演じろと言うのか、この人は!
俺の肩をポンと叩いた社さんを信じられない思いで睨みつけた俺に、社さんはさらに衝撃の未来予想図をニヤリとした笑顔で告げた。
「 言っておくけどな、合同学園祭が終わったと同時に別れた…となれば、今度はさらに多くの女子が殺到するだろうってことはお前でも理解できるだろ?
一度でもお前に彼女が出来たとなれば、次は自分が!…って意気込んでお前に飛びついて来る女子もきっと現れるだろうし、その数がどれ程になるかなんてお前、体験したく無いよな?
だから、LME高等学校の平和を維持するためにもお前の平穏な高校生活を維持するためにも卒業まで彼女と付き合え 」
「 !!!! 」
――――― 絶対にこの人、俺に悟られまいとしながらこのタイミングを計っていたに違いない!
このとき、俺はこの契約を結ぶことの重大性と、解除になった時の恐ろしさに初めて気が付いたのだ。
二の句が継げないとは正にこの事で、俺はこのとき本気で人生の泥沼に足を突っ込んだ気分だった。
社さんの口からさらに続いた、彼女なら才女だし可愛いし、お互いに生徒会長だし色々都合もいいだろ…の言葉に反論する意思は折れ、そのセリフは頭を抱えた俺の右耳から左耳へと静かに流れて消えて行った。
そんな訳で俺はいま、人のざわめきと食べ物の匂いに満ちた小料理屋の片隅で、テーブルに広げた書類に視線を落としている。
キリキリと働く似非恋人の姿を何度も視界に映してはまた何事も無かったように手元へと視線を戻し、最上さんのハキハキとしたいらっしゃいませの声が店内に響くたびに俺は幾度も小さく口元を歪ませていた。
「 すみません、敦賀さん 」
「 …ん 」
「 あともう少しであがりですから 」
「 うん、判っているよ。了解 」
ここ、だるまやは彼女のバイト先である。
契約開始初日、指示通りに彼女を自宅まで送り届けようとした俺は、二人きりになってから彼女がさり気なく告白してきたその内容に自分の耳を疑った。
放課後はほぼバイトをしている…と。
それを聞いた途端、俺の頭に浮かんだのは、冗談だろ?…の一言だった。
LMEは、この辺りでも有名な私立の進学校である。
無論それは俺が在籍しているLME高等学校のみならず、兄妹校であるLME女学園も同じだった。
この両校の歴史はかなり古く、女子に限った事ではなく男子であっても進学することが珍しかった時代にまでさかのぼる。
男女の学び舎がきっぱりと分かれているのは歴史上の名残と言っても過言ではなく、名門校であるLMEに通う事が出来た生徒たちの大半は裕福層、もしくはそれなりに地位があった名家の子女、子息だったのだ。
そして、その事実は今日にまで影響を及ぼしている。
現在在籍している生徒たちの大半は父母のどちらかが、あるいはそのどちらともがLMEの卒業生であることは珍しい事でも何でもなく、もちろん俺もその一人だった。
だから、当然の如く彼女もお嬢様なのだろう…と俺は勝手に思っていたのだ。
「 敦賀さん、お待たせしました…って、やだ!もしかしたらずっと書類とにらめっこしていたんですか?お料理、冷めちゃっているじゃないですか 」
「 ん?いや、これはわざとだよ。仕事が終わってから君も食べるって知っていたから。どうぞ、席に座って。一緒に食べた方が効率がいいと思ってのこと 」
「 効率って…。じゃあせめて言ってくれたら良かったのに… 」
「 別に味に変わりはないし、君が来たらすぐに食べられていいと思ったんだよ。じゃあ、いただきます 」
「 …いただきます… 」
天宮千織が彼女の送り迎えを担当していた間、さすがにバイト上がりまで待つことはしなかった…と最上さんから聞いて、最初の3日間は彼女をここに送り届けて終了としていた。
けれど、合同学園祭を仕切るにあたっては彼女と長く行動を共にしていた方が俺にとっては都合が良く、結局のところ俺は放課後からの長い時間を最上さんのそばで過ごしていた。
何しろ、目を通さなければならない資料は山ほどあって、彼女と意思疎通をしなければならないこともまた多量にあり、同様に手配しなければならない事柄も以下同文だったのだ。
従ってこれは二度手間、三度手間を省くためには致し方なくだ…と時間を惜しむ自分が自分に言い聞かせての行動だった。
「 …この、嘘つき 」
「 …何か言った? 」
「 敦賀さん。本当は、一度箸をつけたけど書類に夢中になって食べるのを忘れていたんじゃないですか?だって良く見たらサバの味噌煮、食べ途中じゃないですか。もっともらしいことを言っていま私を煙に巻こうとしましたね? 」
「 ……いいじゃないか、過程はどうであっても。それが合同学園祭の書類を片付けながら君を待っていた彼氏に言うセリフかな? 」
「 む。敦賀さん、その言い方はズルいですよ 」
結局は逆らえないと判っていたから腹をくくって彼女と付き合う事に同意してはみたものの、けれど驚いた事に、俺は最上さんと行動を共にしている間、それを苦痛に感じたことは一度も無かった。
理由の一つは彼女の態度にある。
卒業まで、と割り切っているからというのもあるのかも知れない。
けれどきっと彼女の性格によるところが大きいだろうと判っていた。
歯に衣を着せない彼女の物言いは俺には随分と居心地がよく、また彼女が俺を特別な目で見ないことで気楽でいられた。
「 そう? 」
「 そうですよ!言ったでしょう?私も一緒にやりますからって。なのに敦賀さん、私の希望を無視して勝手にどんどん進めちゃって…。それなのにそんな事を言うなんてズルいです。私、お願いしたじゃないですか。私を待っている間はテスト勉強でもしていて下さいって… 」
「 ―――――― する訳ないだろ。君が働いている横で… 」
彼女が放課後の時間をバイトに費やしていると知って驚いた俺は、その理由を知ったときにはさすがに驚愕を隠せなかった。
最上さんは、特待奨学金を使って女学園に入学していたのだ。
成績を維持するための日々の勉強に加え、生徒会長としての仕事もあるだろうに、さらにバイトをしているなど俄かには信じがたいと誰もがそう思うだろう。
俺だって、この子と行動を共にしなければきっとそれを疑ったままだった。
「 えー?そんな余裕でいいんですか?じゃあ私、次のテストでは敦賀さんよりいい成績を残せるかも! 」
「 ふ…。君は本当に負けず嫌いだな 」
「 そりゃそうですよ。やるからには全力で!が私のモットーですから 」
そして噂通り、彼女は本当に才女だったのだ。
プライベートな時間をバイトに費やしている事で、机に向かう時間などもしかしたら学校だけじゃないのか、と思えるほど忙しい毎日を送っているくせに、前回の全国統一テストの順位が俺より20番下だったことを知って本気で悔しがっている顔を見た時は思わず苦笑が浮かんだ。
たった20番だぞ?
そこは自分を褒めてしかるべきところだろう。
初めて顔を合わせたLME女学園の生徒会室で、彼女の瞳の中に強烈な輝きを見たような気がした俺は、あれは見間違いじゃなかったのだ…と強い確信を抱いた。
とにかく根性が半端ない。
そして俺は、彼女を見る目をすんなりと変えた。
最上キョーコという個人と向き合い、自分の心に響くままに彼女を等身大で見つめてみれば、判る事は色々あった。
彼女は利発で決断が早く、人の意見を素直に聞き入れる柔軟さを兼ね備えた、疑いようもない俊秀な女性だったのだ。
「 ところでさ、いい? 」
「 え?はい、どうぞ? 」
「 君の所のここ3年間の手配書を見ている限り、予想通りウチと重複しているところがあるんだ。君、放課後バイトがあるから注文先に顔を出すのはムリだろ?手配は下にやらせるつもりだった? 」
「 いえ。実は今日、みんなに取りまとめてもらっているんです。おおよその注文先と概算の注文数が出ているはずなので、それをチェックして頭に入れておいて、過去の資料と照らし合わせた上で来週、正式な数字が出たら、次の日曜日にでも回ろうかな、と思っていたんですけど… 」
「 なるほどね。仕入れ先はほぼサービス業だから確かにそれで可能だよな。ちなみに俺の所も今日、注文数の概算が出ているはずなんだ。…ってことは取り敢えずこれ、今夜中に去年までの手配書に一通り目を通して今年の取りまとめ分と比較検討すればだいぶ楽になりそうだな 」
「 敦賀さん、それ私もやります。女学園の分は私の仕事ですし 」
「 いいよ。二手に分かれたら却って手間が増えるだろ。俺がやっておく…ってことで、君の所の取りまとめ書類を今夜、俺の所にメールかFAXで… 」
「 嫌です!!敦賀さん、言ってましたよね?お互いがお互いの利害の為に手を結んだ以上、立場は対等のはずだって。二手に分かれるのが嫌なら一緒にやりましょう。明日は土曜日ですし、どこかで二人でやりませんか? 」
食事途中で箸を握りしめたまま
俺の意見に食い下がる彼女を見返し、俺はまた口元を緩める。
「 …まったく、君は… 」
素直に甘えておけば楽だろうに…。
彼女と行動を共にして2週間。
彼女の人となりを知るには十分な時間だった。
心の中ではもうとっくに脱帽している。
特に俺は、最上さんの責任感の強さに強烈な好感を抱いていた。
負けず嫌いで多少意地っ張りな所がある彼女のことを、以前と同じ冷めた目で見る事はもう出来ない。
実際、俺が作り笑いじゃない笑顔を浮かべるのにそう大した時間はかからなかった。
「 俺、明日は長くお世話になっている所を中心に各店舗の責任者にあいさつ回りをしようと思っていたんだ。それが終わってからで構わないなら俺の家を提供するけど? 」
「 あいさつ回り…? 」
「 そう。さっきも言った概算の注文数を相手に知らせておけば向こうにも都合がいいだろ?
高校生相手に何度も時間を取られるのは嫌だろうし、事前に仕入れ数の目安が判るなら向こうにとって都合がいい。それで正式な注文の時は注文書を郵送もしくはFAXで…と伝えておいて、電話で注文書の到着確認をすればミスも防げるし行き来の手間も省けるだろ。
こっちとしてもその分、校内に目を向ける時間が取れるからベストかな、と思ってね 」
「 …なるほど。既存の方法があったのでやり方を変えようとは思っていませんでしたけど、いいですね、それ 」
「 だろ?君もそうする?重なっている手配先もあることだし 」
「 そうします!それで、重複している注文先には合算で注文しませんか?もしかしたら値引き率が多少変わるかも知れませんよ 」
「 …そうだね。一理ある。どうせ一緒にチェックするならそうするか 」
俺はたぶん、心のどこかでこの似非恋人契約を楽しんでいたと思う。
なにしろ、苦痛を伴わない女の子に出逢ったのはこれが人生初だったのだから。
「 はい!じゃあ明日、お願いします 」
「 うん。…最上さん? 」
「 はい? 」
「 俺が迎えに行くよ。君の送り迎えが俺の役目だから 」
そして俺は実感していた。
社さんが立案したこの似非恋人契約が、俺に多くのメリットを与えたことを。
「 敦賀さん…休みの日まで気を使わなくても大丈夫ですよ? 」
「 そんなんじゃないよ。別に大した遠回りでもないしね 」
同時に、頭を悩ませてもいた。
俺と付き合い始めた噂が拡がったことで、逆に彼女にはデメリットが生まれ始めていた。
どうしてなのかその理由に気が付いていた俺は、この局面をどう乗り越えようか、と…。
むしろ合同学園祭よりもそちらの方に意識を大きく傾けていた。
⇒4話 に続く
書くたびに長くなってしまうのを何とかせんといかんな…( ̄ー ̄;)
しかし、蓮の平穏な日常生活維持は高校卒業まででいいや…って考えたヤッシーの思考が我ながらウケる。
そして女学園生徒会室内で繰り広げられたその一部始終を目撃していたキョーコを筆頭とした女子3名はきっと…
(LME高等学校トップに君臨しているはずの生徒会長が打ちひしがれてる…。副会長の方が権力上って、本気で面白いんですけど…)
…と思ったのかもしれないです(笑)
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