SS 最弱魔王と最強剣士◇中編 | 有限実践組-skipbeat-

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こちらは蓮キョ中心、スキビの二次創作ブログです。


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 はーいヾ(@^▽^@)ノ最弱魔王シリーズ(←また勝手に…)続きこちらで~す。


 マリモ様がお書きになったお話からまた、モヤモヤ妄想を膨らませたものをUPしております一葉。

 楽しんで頂けましたらそれだけで嬉しいのです。お付き合い頂けましたら幸いです♪


 前のお話はこちら↓

 ①已むに已まれぬ魔王事情 (マリモ様作)

 ②最弱魔王と最強剣士◇前編


已むに已まれぬ魔王事情~その後~

■ 最弱魔王と最強剣士◇中編 ■






 ――――― 力のある者が力を振るわないでどうする!!




 魔王選定の試合が行われる日取りが発表になった日、割と気が合って頻繁に顔を合わせていたヤシロが自分に向かってそう叫んだのを思い出す。


 自分の魔力が割とある方だ、と気付いたのは幼い時分だった。


 限りなく魔王の座に近い、と他人から言われるようになったのは物心がついた頃で、ちょうどその頃、魔王が崩御するのではないかと噂されていた時だった。

 魔王の存在は魔界の安定を意味し、その存在が怪しくなることは魔界を不安定に導く。


 早く辞すればいいものを、病に伏した魔王の執着心はそれは大きかったに違いない。いつの間にかレンは成人を迎え、魔界の雰囲気はますます険悪になっていた。(※魔界の成人は人間と同じ20歳)

 だが正直な事を言えば、レンは周囲の期待とは裏腹にその座に魅力を感じたことは一度も無かった。


 ようやく魔王が崩御した、という報が流れた時はやっとか…という感想が出て来たものの、変わらずレンは周囲の期待に耳を貸すことはしなかった。



 ――――― たとえば、鳥には生まれた時から翼がある。



 空を飛ぶのに躊躇はなく、飛翔する己に優越感を持つこともない。

 恐らくは地を行く生き物を目にしたところで、己が翼を持った形であることに疑問を抱く事すらしないだろう。



 レンの、自身が持つ力に対する認識はそれと全く同じだった。



 いま澱みなく体内で揺らめいている魔力は生まれ持ったそれである。

 力を持っている、という自覚はあってもそれは当たり前のものとしてしか捉えることが出来ない。


 剣を通して腕を振るうようになったのは自分の魔力をセーブするためだったが、腕を振るえば大抵の者は自分の足元にひれ伏し首を垂れるのもいつもの事。それに疑問を抱いた事すらないのだ。



 どんなに他者より優れた魔力を持ち得ようと、それを使って何かをどうこうしたいとも思わない。


 大体、自分以外にも力を持っている奴は多くいるのだ。ヤシロだってその一人なのである。

 魔界をどうにかしたい、とそう思うのなら、ヤシロがそれをやればいい。


 レンはそう言うと自分に向かって声を荒げたヤシロに背を向け、自身の根城を後にした。


 さした思惑も無く、ただ何となく選定場を目指して意気揚々と歩いている多くの人波に逆らうように逆行していく。

 しかし歩いていたのはほんのわずかな時間だけで、小競り合いがあちこちで発生し出したのに気付くと今度は大木から大木へと飛翔する鳥のように魔力を使って空を渡り始めた。


 もともと、魔力が強い者ほど魔王の城に近い地に住まう事になる。

 したがって、いま選定場に向かっている多くの魔界人達はただの雑魚ということである。




 絡まれても時間の無駄だし何より有益な事は一つも無い。



 レンは気まぐれに空を横行し、ときおり飛び移った枝から大地を歩く人の群れを眺めた。



 自身が住む大きな城に居た頃には気づかなかったが、いま視界に入る魔界の様相は大した有様だった。魔王不在がこれほどまで荒れた国を作れるのかと目を見張るものがある。

 まるで焦土のような大地を我が物顔で闊歩する多くの男達の間から、たびたび下卑た笑い声が高らかにあがっていた。



「 がーっはっはっはっは… 」


「 俺様、腕には自信があるんだぜ… 」


「 やるか?貴様!? 」


「 おいおい、やめておけよ… 」



 過ぎ行く魔界人たちのざわめきが聞こえても、レンの足を止める材料には決してならない。

 フン…と鼻をならして口端を歪めたレンは、幾度目かの移動を繰り返したのち、まるで羽を休める鳥のように巨木の枝の上で横になった。


 どうせ、どこに向かうとも知れずただ何となく気まぐれで出て来ただけなのだ。

 時間はそれこそ無限にある。



「 おい、お前、邪魔だ!どけ! 」


「 貴様こそどきやがれ!! 」



 腕っぷしの強さを自慢したいのか

 なけなしの魔力を見せつけたいのか


 とにかくそんな声があちこちから聞こえて来て、レンはせめてと思いその場で瞼を閉じた。



 その時…


 何かに、優しく囁きかける声が聞こえて閉じた視界をすぐに開いた。

 まさかこんな屈強…と評するには褒めすぎとも言える野郎たちしか見えない光景の中、姿も見えない少女の声が自分に聞こえるはずもない。


 半信半疑で上体を起こしたレンは、けれど自分が居る巨木の近く、荒れた芝生の上で背中を丸め気味にうずくまる少女の姿を見つけて思わず瞠目した。



 大地はもう、見るも無残な荒れ野原状態である。


 なのにさらに追い打ちをかける様に傍若無人な暴漢たちがその場で争ったのだろうか。白いものがまばらに大地に散っているのが見えた。


 よくよく目を凝らせばそれは花びらのようで、乱暴に踏みつぶされたのだろう白い花の花弁を、一つ、また一つと少女が丁寧に拾い上げている。


 場所を変えて少し離れた木枝に移動すると、その少女の目にいっぱいの涙が浮かんでいるのが見えた。

 そして人知れずポツリ、と呟いた少女の声がレンの耳に細く届く。



「 ひどい…。このお花はたった1日しか咲くことが出来ない種類のものなのに…。こんなぐちゃぐちゃになっちゃったらもう、種を残すことも出来ないじゃない… 」



 両膝をなけなしの芝に預け、ふわりと持ち上げた小さな手の平には見るも無残な花の山。


 それを自分の鼻先に近づけると、花の香りを嗅いでいるのか少しのあいだ目をつむり、そして少女はまた小さく言葉をこぼした。



 「 ごめんね、私、何も出来なくて… 」


 つぶらな瞳には涙が浮かび、それがポツリ…と大地に染み入る。


 面倒事は避けるに限る、と木の上に逃げたレンは、心に衝撃が走るのを感じていた。



 …こんなに殺伐とした世の中になったのに

 まさか道端の雑草に気を配る者がいるなんて…。



 余裕があるんだな、と皮肉なセリフを思い浮かべてよくよく少女に視線を配れば、少女の恰好はとても裕福そうには見えなかった。それどころか、その細い身体からは良くここまで生きてこられた、と驚いてしまうほど微弱な魔力しか感じられない。


 こんな力しか持たないのなら、魔界のかなり奥地の方で生きて来たに違いない。では、何故いまこの子はここに居るのか。


 過ぎった予感に首を横に振り、まさかな、と自嘲する。

 いくらなんでもそれは有り得ないだろう…と、そう思いはしたのだが。


 土に穴を掘り、そこに拾い集めた花を入れると、少女は丁寧に土をかぶせた。

 ポンポン…と確認するように埋めた場所を叩くと、ポツン…ともう一粒涙を落とし、それから彼女は静かに顔をあげた。



 睨んでいるのは選定場に用意された聳え立つ半旗。

 それは魔王の崩御を知らせるとともに、次代の魔王を求める信号旗でもある。



 少女を見、半旗を見上げ、また少女に視線を落としたレンは口を真一文字に引き結んだ。




 ――――― ウソ…だろ…?



 恐らく、魔界中にいる誰が見ても同じ事を思ったに違いない。

 キョーコはそれほどまでに弱々しい存在にしか見えなかった。



 まさか、この細腰で?

 いや、腰が細いとか腕が細いとかの前に…!!

 誰かが守ってやらなきゃならないタイプだろう。




 後日、レンはこの少女の名がキョーコだと、選定場で本人の口から教えてもらう事になるのだが、この時点でキョーコがいたこの場所は、そこからだいぶ離れた荒れ地だった。



 もちろん、レンにとってはそうではない。



 魔力を使って飛翔して来たレンには2~3時間程度の距離でしかなくても、微弱な魔力しか持たない者が選定場まで歩いていく…というのであれば、まだそれなりの日数が必要な距離だった。

 ましてやこんなにか細い少女なのだ。恐らくはここにたどり着くまでも相当前から歩いて来たに違いない。



 身なりのみすぼらしさはただ単に、彼女がそういう類の服を身に着けているからだけではないことはその汚れ具合からも推測できた。




 ……一体、どんな覚悟を持って…。




 強く、強くその少女に惹きつけられた。

 これほどまでに興味を惹きつけられた事がかつて自分にあっただろうか、と思えるほど強烈に…





 ―――――― 一見の価値あり!!!




背筋がぶるり…と震えた。

レンは静かに口元を緩め、このまま彼女の後を付けてみよう、とそう思った。






 ⇒後編 へ続く


・・・・( ̄▽+ ̄*)・・・・あ、れ?

どうして蓮さまはレンなのに、社さんはヤシロなんだろー?ユキヒトじゃねぇのか一葉!!


……ま、いっか♡深く考えな~い(*⌒▽⌒ノノ゛☆



⇒最弱魔王と最強剣士◇中編・拍手

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