激しく予約投稿のシーズンネタSS(笑)
おっはーヾ(@^▽^@)ノ一葉でっす♪…ん?いま?現時点での一葉の時間軸、2月終わりですけど、それが何か?
七夕は一年に一回。しかも一日限りですからー:*:・( ̄∀ ̄)・:*:昨年、UP出来なかったものを持ってきましたです。つまり1年越し(笑)
内容は読んで頂ければ判るとして…一つだけ言わせてもらうと、このSSは童話調パラレルです。
長いので前後編に分けました!楽しんで…いただけるかしら?
■ 七夕様への願いごと ◇前編 ■
いつも、いつも一人ぼっち。
時々しか振り向いてもらえなくても
それでもキョーコはお母さんを慕っていました。
ある日、お母さんが自分に背を向けて歩いていく姿を見つけました。
キョーコは驚いて声を張り上げます。
「 待って!!お母さん、どこにいくの?! 」
叫んだ声で一度、お母さんは振り向いてくれましたが、それでも立ち止まってはくれず、お母さんはあっという間に森の彼方へと消えて行ってしまいました。
お母さん…?どうして…?
追いかけてみたけれど、お母さんの姿はすぐ見えなくなってしまって…。
涙がたくさん溢れて来て、キョーコは一人、草むらの陰で泣き崩れます。
一人ぼっちはとても寂しい。
そのうちに日が暮れてきて、辺りはシンと静まり返り、いつの間にか森の中は真っ暗です。
寂しいよう…
悲しいよう…
見回すと山の裾野に家屋の明かりが見えました。
キョーコは誘われるように山を降り、その微かに瞬く光を目指しました。
たどり着いたそこにはクルクルのウェーブがとても可愛らしい女の子と、そしてその少女を優しく見下ろすとても穏やかな雰囲気の男の人がいました。
どうやらその女の子はお父さんと一緒に七夕飾りをしているようでした。
…いいな…。自分も、あんな風に笑い合えたなら、お母さんは私を置いて行かなかったのかしら…。
キョーコは草葉の陰から二人の様子を見守るように眺めます。
風に乗って二人の会話が耳に届きました。
「 マリア、いいかい?お願い事を書いた短冊をこの竹に飾るんだよ。七夕様にお願いを叶えてもらえるようにね 」
「 はい!お母様の具合が早く良くなりますように… 」
立てかけられた大きな笹竹に、色とりどりの短冊が次々と下げられていきます。
そして少女がそれを飾り付けるたびに願い事を口ずさんでいるのをキョーコはじっと聞いていました。
…そうか。あそこにお願い事を吊るすと、それが叶うんだ。
何をしていたのかを一瞬で理解したキョーコは、踵を返すと森へ一目散に駆け出しました。
暗闇の中、キョーコは月明かりだけを頼りに、なるべく大きな葉っぱがいい、と一生懸命にそれを探しました。
野草の朝顔を見つけて大きめの葉をいくつか千切ると、咲き終わった赤い朝顔を踏みつけてその色をにじませ、自分の手にそれを付けます。
そうして願いを込めて摘み取った葉に、自分の手形を押し付けました。
――――― お願いです。どうか、お母さんを返して下さい。
摘み取った葉は3枚。
一つ目の願い事をそれに込めると、もう一枚の葉にも手を押し付けます。
―――――― もう一人ぼっちじゃなくなりますように…
二つ目の願い事を込めると、最後の一つの葉にも手を押し付けます。
――――― 私の名を呼んで、笑いかけてくれますように…
お願い事をしながら手形をつけたその葉を持って、キョーコはまた来た道を戻りました。
森の中は真っ暗だったので、先ほどと同じように家屋の明かりを目指して一目散に駆け出します。
そのときふと、気付きました。
目指した竹の近くは先ほどよりも明るく、綺麗な光が瞬いていることに。
…なんだろう?
間もなくたどり着いたキョーコの視界に映ったのは、輝く笑顔を湛えた女の子と、一緒に花火をするお父さんの姿。
楽しげに笑い合う二人を見ながら、キョーコは願い事をした葉を握りしめながら、自然と涙をこぼしました。
……私は、あんな風にお母さんと笑った事はない…。
胸に浮かぶ寂しさがキョーコの頬を静かに伝い、一つ、また一つと地面に吸い寄せられてはそのまま静かに大地に滲んでいきます。
こぼれ落ちる涙をそのままに、キョーコは目的を果たすため、ただひたすら草葉の陰に身をひそめて静かに時が過ぎるのを待ちました。
――――― この短冊を飾れば、きっと願いを叶えてもらえるのだから…
二人が居なくなるのを待って、ようやく辺りが月明かりだけになった頃。キョーコはそっと竹に近付き、持ってきた朝顔の葉をそこに飾り付けました。
ひそやかに瞬く夜空の星を仰ぎ、泣きはらした目を神妙に閉じます。
瞼の裏に、自分に背を向けて歩いていくお母さんの後姿が蘇りました。
お願いです。…どうか、どうか、叶えて下さい…。
何度も何度も心の中でそう唱え、幾度も幾度も会釈をして、それからキョーコはそっとその場から離れました。
翌日、太陽が高く上った頃。
キョーコは飾った自分の短冊が気になり、また山を下りました。
強く降り注ぐ太陽が大地を照らし、地面から湿気がほのかに立ち上がっているそこで、昨日、自分が飾った短冊がまだ飾られている事を確認すると、ほっと一息をつきました。
草葉の陰から辺りを一望したとき、家の中から昨日の女の子が出てきました。
するとどうでしょう。その少女の後に続き、優しそうな女の人が家の中から出てきたのです。
…あれ?もしかしてあの人、あの子の…お母さん?
『 …お母さんが良くなりますように… 』
昨夜、女の子が口ずさんだお願い事がキョーコの脳裏に蘇り、少女の願いがかなった事を知って胸が激しく高鳴りました。
自然と口元がほころび、期待感がキョーコの全身を覆います。
すごい!!あの子のお願いは叶ったんだ!!
じゃあ、自分のお願いもきっと叶えてもらえるはず…
そうと知ったらこうしてはいられません。
もしお願いが叶ってお母さんが戻ってきてくれたとしても、自分がこんな所に居てはお母さんはまたどこかに行ってしまうかもしれないのです。
キョーコは急いで山を駆けのぼりました。
急いで!!
急いで!!
胸がどきどきして、弾む呼吸がさらにキョーコの脚を早めます。
帰って来てくれる!
きっと帰って来てくれる!!
辿り着いたそこは、いつもお母さんと過ごした、いつもの場所。
辺りを見回しても誰もいませんでしたが、間に合ったんだとそう思って、キョーコはほっと安堵の溜息をつきました。
その場に腰を下ろすとそのまま体重を大地に預け、キョーコはお母さんが帰ってきてくれるまでじっと待とうと思いました。
風が草や木々を揺らすたびに急いで周囲を見回します。
景色が何も変わっていないことに落胆すると、キョーコはまた大地に体重を預けてただひたすらお母さんの帰りを待ち続けました。
夏の太陽が傾き始め、昼間とは違う気温が森に降り立ち始めます。
それでもキョーコはそこからじっとして動かず、自分を呼んでくれるその人が戻ってきてくれることを固く信じ、じっと、ずっと、待ち続けました。
⇒後編 に続きます
どうして七夕様に短冊を飾るとお願い事が叶うんだろうか…?
そもそも恋に溺れて仕事をさぼった二人が罰を受けて一年に一度しか会えなくなった訳で、そんな二人がマメにお願い事をかなえてくれるとは思い難し(笑)
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