人様の蓮キョを読んで勢い妄想短編アップとか…。
すごくない?ねぇすごくない?とか。
秘かに自慢も出来るんじゃないか、と間違った方向で自分を褒めてしまう一葉梨紗です。
(ちなみに予約投稿でっす)
職場でのB6メモは当たり前になってきました。
やたらと仕事熱心だと思われているかもとか、いや、それは無いでしょうけど。
このSSは、職場に飾られた写真にインスパイアされて出来たものです。
なにか捻ろうかとも思ったのですが、そんな事をしたらむしろ妄想が一気に腐敗の道を歩むのではないかと危惧し、勢いアップにすることにいたしました。
多分…4月後半位の話。(←今思った。)
楽しんでいただけたら幸いです~。
最近めっきり1人称が苦手になって来たので3人称にトライ!
■ お花見見学 ■
小川のせせらぎを眺めながら、先程の現場でのやり取りを思い出して蓮は溜息を吐いた。
撮影の間中、一定の女性が持ち得る独特の甘ったれた声に追いかけまわされ、正直いい加減にして欲しいと辟易していた。だから昼食の時間になったのをこれ幸いと、マネージャーの社にだけ断りを入れて、他には行き先も告げずに半ば逃げるようにして一人、ドラマ撮影の群れから離れた。
( 冗談じゃない・・・ )
芸能界に入ってそれなりに時が過ぎた。
いい加減、対応の仕方は嫌というほど身についてはいたものの、気を許した相手ならともかく、今日が初共演の女優にこうも激しくアタックをされると、流石の温厚さも眉をひそめる。
トラジックマーカーの撮影が終わり、いつもの世界が流れている。
敦賀蓮として。
また当たり前の様な日々が戻って来たと云うのに、セツカとして自分の隣に居たキョーコの事が蓮には忘れられなかった。
自分の手の届く所に彼女が居て。
逢いたいと考えなくても当たり前の様に自分の視界の中にキョーコは居たのに、それが今は失われている。
その喪失感が、いつのまにか自分の中で大きくなっていた事に気づく。
判っていたこととはいえ、覚悟が足りなかったのかと。
蓮は深いため息を景色に落とし、周囲のそれに意識を移した。
土手には野花が凛と咲き乱れている。
春の訪れを喜ぶように青々とした草が生え揃い、吹き抜ける風と戯れるようにそれらはさわさわと揺れていた。
ポカポカとした陽気が降り注ぎ、川面に反射する太陽の光がきらきらと輝いている。
気を取り直して土手に腰をおろし、何となく視線を左から右へと走らせた。
右手が上流だろう事は川の流れから判る。
きらめく水面には、ピンク色の小さな花びらが幾つも見えた。
恐らく今回の撮影でも目当てにしている遅咲き種の桜の木から、花びらが風にさらわれて流されたんだろう。
蓮がいる土手に桜の木は見当たらないが、その代わりに少し離れた所に手入れの行き届いた花壇が見えた。
花壇はさほどの大きさでもない。しかしそこに植えられたチューリップたちは、揃いも揃って自慢げに胸を張って美しく咲き誇っている。
その景色に何となく見入っていると、見つけた微笑ましい光景に自然と蓮は穏やかな笑顔をこぼした。
同時に瞼の裏に浮かんだのは愛らしい笑顔を咲かせる恋しい少女、キョーコの顔。
( 最上さんが見たら、喜びそうだ… )
些細な事でもついキョーコを連想してしまうのは、恋心故だろうか。
のんびりとその様を眺めていると、聞き覚えのある声が耳に届いて蓮は驚いて振り向いた。
「 敦賀さん?」
「 え?あれ?最上さん?・・・どうして・・・?」
腰を下ろしていた蓮の目線に合わせるように、キョーコは両手を膝にあてて、上体を屈めるように覗きこんでいた。その距離の近さにいつ近づいていたのかと驚きはしたものの、逢いたいと思っていた彼女が目の前にいるという幸福に、知らずとろけるような笑顔がこぼれる。
キョーコは自分の後ろの方を指さしながら、蓮の質問に答えるべく口を開いた。
「たまたまこの近くで撮影があって…」
近くを通りかかったら社さんが居たのでお声をおかけしたんですよ、と言い募ったキョーコの表情は何だか段々と眉間にしわが寄る。
そうしたら敦賀さんがお昼も召し上がらないでどこかに逃げたって伺って、探しに来たんですよ!と強い口調で責められるように言われ、蓮は右手で頭を抱えた。
( …社さん。あなたね… )
いい加減、大人げない理由を正直に彼女に密告するのは止めて欲しいと思うが、それでもキョーコがそんな理由でも自分を探しに来てくれるのは嬉しいと思う。なんて考える事自体がそもそも我ながら重症だなと思った。
「 …で、お弁当を預かって来ました!」
「 え?そうなんだ。わざわざありがとう…」
はいどうぞと差し出された袋を覗き込むと、なるほどお弁当が入っていた。
でもこれは・・・。
「 お昼も召し上がらないで、何を…していらしたんですか?」
そう尋ねられて蓮は顔をあげて口を開いた。
「 うん。優雅にお花見をしているのを見て、羨ましいなって思っていた所 」
そう言っておもむろに立ち上がると、流れるようにキョーコの後ろに回りその細い肩に大きな手を乗せて、彼女を2~3歩土手へと誘う。
そうして少し力を入れると、キョーコはそれに従いその場にしゃがみこんだ。
「・・・・お花見?ですか?」
桜なんてないのに?と不思議そうな顔をするキョーコをくすりと眺め見て、蓮はあそこだよ、と言って少し離れた花壇に咲いているチューリップを指差す。
そのまま座りこんだ愛しい彼女の隣に腰をおろし、キョーコに見て欲しい方向を正しく示そうと自分の指先を彼女の目の高さに合わせる。
自分の顔も近付けて、ほら見える?とつぶやくと、それに気づいたキョーコが目を細めて微笑んだ。
「 わ…本当。お花見していますね 」
「 だろう?優雅だなって思って…」
二人して顔を見合わせ、お互いにほんわかとしながら笑顔を作る。
はにかんだ笑顔のキョーコに、相変わらずダイナマイトキューティハニーだな…と思いながらも笑顔を崩さない蓮と、そんな蓮のとろけるような笑顔に、そもそもそれが女性の敵の顔ですと心の中で赤い顔で叫ぶキョーコはいい勝負の両片思いなのだが、それは二人が知る由もない。
はたから見れば十分カップルですかと突っ込みたくなる雰囲気を醸し出したまま、二人は蓮が見つけたその光景にしばし見入った。
「あ、最上さん。せっかくだからお弁当、食べない?」
「え?いえいえ。私はいいですよ 」
キョーコは勢いよく手を振ってそう断るが、蓮はでもね、と言って袋からお弁当とペットボトルのお茶を出した。
「2つずつ入ってるよ?これ…」
「え?あれ。本当ですね」
「社さんが…持たせてくれた?」
「え、はい。そうですけど…」
なるほど…と思った蓮は、相変わらず気配りだけは忘れない社のマネージャーとしての有能さに心の中で感謝する。
「お花見している姿を見ながら (君と) お弁当を食べるなんて。ちょっと粋だね?」
でもロケ弁だけど、と悪戯っぽく笑った蓮の笑顔に、キョーコもそうですねと頬を赤らめて笑う。
二人のやり取りもなんのそので、そもそも二人に見守られているのは体長3cmにも満たないだろう小さなカエル。
チューリップ特有の細長い葉がしなだれた場所に陣を取り、どういう訳かピンク色のチューリップの花を見上げたまま、じっとして動かない。
置物の様にちょこんと居座り、じっと花を凝視する理由は判らないが、花見を行事にしてしまうこの国ではこれも風流かも、と蓮は思った。
そよぐ風が2人を包み、草花が囁くように笑い合う。
傍に居るキョーコの香りが蓮の鼻孔をくすぐるのと、キョーコが蓮に向って笑顔で口を開いたのはほぼ同時だった。
「敦賀さん。微笑ましいほどかわいい光景ですね 」
「 …そうだね 」
春の陽射しが降り注ぐ土手で。
誰にも邪魔をされずに二人きりでお弁当をひろげて。
微笑ましいほど可愛いのはあなた達の光景ですと、ここに社がいたら3秒で突っ込まれそうな状況に身を置いた二人に、声を掛ける勇者が来るのは、それから40分後の事です。
E N D
おいおい…。今1月だぜぇ?…ですね。うん。知ってます。だいじょぶ。
でも本誌では4月だから良いですよね?
二人ともグアムに居るけどっ( ̄∇ ̄+)気にしな~い♪
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