(旧)文月二十四日

 

 
悲し気な音にも聞こえて蝉の声
御霊神社の鳥居の向こう
 
雲端
 
 
奈良県五條市
無人の栄山寺の敷地の中に
御霊神社がある。
栄山寺は藤原氏によって創建されたゆえ
藤原の氏寺、興福寺の傘下にあった。
その当時は藤原の神社である
春日社と称されていた社である。
安土桃山時代に興福寺の傘下を外れると
人々はここを「御霊神社」とした。
祭神は井上皇后と他戸親王。
井上皇后は聖武天皇の第一皇女
他戸親王はその息子である。
 
奈良時代の終わり
光仁天皇の皇后であった井上皇后は
天皇を呪詛したとして皇太子の
他戸親王とともに捕えられ
この地に幽閉された。
もちろん、その罪をでっち上げたのは
当時の権力者藤原一派(後の藤原北家)
の藤原良継、百川である。
 
宝亀6(775)年4月27日
2人は揃って病死したと記録される。