(旧) 文月五日 処暑

 

 
 
 
コロナ禍に 神も自粛を 決め込んで
神輿に乗らず 船にも乗らず
 
雲端
 
 
大阪天満宮は、菅原道真公が太宰府で憤死した後、村上天皇の勅命によって、
大将軍神社のあった場所に祀られた。天暦3(949)年のことである。以降この地は、
天満の天神さんとして、大阪人の心の拠り所となっている。江戸期以前は、
火災や戦火で度々焼失したが、その都度、庶民の努力によって再建されてきた。
先の大戦中には有名な話がある。大阪は何度も米軍による空襲にさらされた。
けれど、この地の人々は、自分の家が焼けるのを横目に
「家は焼けても、天神さんは焼いたらあかん」
といって、この社殿を守った。それほど、地域に根差した「神さま」なのである。
その神さまでさえ、この新型コロナの中では、自粛を余儀なくされている。
今回の歌の「神輿に乗らず、船にも乗らず」は、天神祭りの陸渡御、船渡御のことである。