古い戸籍の確認作業を行う時があります。
戸籍は人の出生、結婚、死亡などの身分関係を記録した証明書。
古い戸籍はタイプライターや手書きで縦書きされており、特に筆文字は癖があったり達筆過ぎたりして、判読に苦労することも暫し
昔の人はこぞって達筆のイメージですが、中にはそうでない方もおられたようで。
悪筆の私は非常に親近感を覚える…
古い戸籍を眺めていると、単に人の生き死にの記録と言うにとどまらず、そこからその方の人生が垣間見れるようで、とても感慨深いものがあります。
例えば、
手書きの戸籍の中にいきなり海外の方の名前が。
昭和一桁代にこの家の息子さんがヨーロッパの女性と結婚されていました。この時代、海外に渡ること自体とても珍しかったのでは?更には国際結婚なんて!お子さんも何人かおられ、きっと幸せな結婚だったのでしょう。
ものすごいロマンスを想像してみたり
出産と婚姻時期が合わない、所謂できちゃった婚をした方を見つけると、お堅い時代、周りの反応はどうだったんだろうと余計なお世話で心配してみたり
姉妹が揃って同じ家の兄弟に嫁いでいたりすると、両家の親が決めた結婚だったのだろうか、それともきょうだいの結婚をキッカケに見初められた恋物語だろうかと妄想してみたり…。
いや、はよ仕事しろ!
昔はきょうだいが多くても、そのうち一人二人は幼いうちに亡くなっていることが多く、まさに「七歳までは神のうち」。簡単に栄養が摂れ、当たり前に医療が受けられる今の時代に感謝したい。
昭和19年、20年代に亡くなられた男性にみられるのは「戦死」の文字。
昭和20年6月⚪︎日〇〇島に於いて戦死第⚪︎部隊報告
婚姻後程なく、妻と二歳の子を遺して戦死された方、
あるいは、現代であれば大学で自由を謳歌しているであろう年齢で、フィリピンにて戦死した若者。
今と違い子だくさんが珍しくなかった時代。
中には同じ戸籍の中に「戦死」の文字が複数出てくることもあります。ああ…。この時の母親の気持ちは如何ばかりか。無機質な文字の中に引きずり込まれるような気分に。
改めて平和の尊さに気付かされます。
新しい戸籍は全てコンピューター化されており、パソコンで打ち込まれた文字、横書きで作成。
とても読みやすいです
そして、新しい戸籍でしばしば見られるのが、
「推定⚪︎年⚪︎月⚪︎日死亡」の記載。
いつ亡くなったかわからない場合、死亡日は「推定」あるいは「⚪︎日頃」と戸籍に記載されます。この推定死亡日の記載があるうち、大半は孤独死と言われる状況で亡くなられたケースです。
中には推定日が「1日から10日の間」などと、かなり幅を持たせてある場合も。
時代ですかねぇ。