最近ひよんなことからある老人とメール交換を始めることになった。
その老人の事は私は良く知らない、相手の老人も私の事は何もわかってない、そんな奇妙な関係でメールは始まった。
相手の老人からは私の家庭について何も聞いてこないので、私もその老人の家庭環境を聞きそびれていた。
他愛もない話でメールを続けていたが、ある時老人が家族の事を話し始めた、その話によると老人は奥さんとは死別し現在は一人住まい、娘が一人いたが結婚し遠くに住んでいる、母親の死後老人とは音沙汰の無い状態との事。
家族の事を話したら急に老人は私に親しみを感じたのかメールの数が多くなった、朝、昼、晩と日に何回も同じような内容のメールを送ってくるようになった。
こちらが毎日続くメール攻撃に辟易して、返信が遅くなったりすると、「どうしました」、「何か気になることを言いましたか」とまるで恋人同士のようなメールがまた帰ってくる。
厄介な老人にひかっかてしまったものだと後悔をしたがしかしよく考えると話し相手の無い孤独な生活、ようやく話ができる同年代の老人を見つけ、メールを送り続けることで心の安らぎ、喜びに繋がるようであるならば、毎日のメール攻撃に付き合おうと思うようになった。
私は年金で細々と暮らす後期高齢者なので時間は持て余すほどある。
今朝もメールが届いている、いつもと同じように「おはようございます、今日も元気で何よりです」と返信した。