「あけおめ~!」
「カツーン!」
 ビールグラスの音が響きます。
 本日もカレンさんちの小さなバル開店です。
「ていゆうか。のぞみくん。新年も五日もたって、『あけおめ』って、おそすぎない?」
「すみません。カレンさん。大晦日から正月三ヶ日も仕事だったもので、ようやっとの更新なんです」
「ま、しょうがないか。で、今年、一発目のツマミはなにさ?」
「はい。こちらです」

「お、マグロ!のほほ肉?。あと、この前のカレーの残りのルーとヨーグルト?で、どうすんの?」
「はい。まずカレーのルーを細かく刻みまして…」

「ジプロックにマグロほほ肉と刻んだルーとヨーグルトを入れて…」


「よくもみこんで冷蔵庫で3時間ほど漬け込みます」


「取り出したマグロほほ肉をオーブンで…」


「190度で10分ほど焼けば…」


「『マグロほほ肉のタンドリー風』の完成です」
「おー!うまそー!」


「お味はいかがですか?カレンさん」


「うんうん!うまうま!なにこれ、マグロじゃないわ!お肉よ!お肉!それも、そーとーお高いお肉!やわらかくてジューシー!カレーの風味がふうん!と鼻に抜けてビールにあうー!
「それはよかった。実はカレンさん。このブログ、挫折しかけてたんですけど」
「え?ザセツ?て?そうなの?」
「はい。約2ヶ月ぶりの更新なんです。これ」
「へえ、そうだっけ?なんで?ツマミのネタ切れ?」
「まあ、それもありますが、今の仕事になって収入が増えたのはいいんですけど不規則な生活で、休みの日もカレンさんと合わなくなってきて、オリジナルのツマミを開発してカレンさんに食べてもらってブログに書くっていうのが大変になってきたんです」
「えー?そうだったのー?でも、わたしがおそく帰ってくるときは、ちゃんとゴハン作って待ってくれてたじゃない」
「まあ、それは生活の一部ですから、それとは別の、趣味として料理が困難になってきたんです」
「ふうん。そうだったんだー。で、ブログも更新できなくなって、やめようかと思ってたんだねー」
「そうなんです。でも…」
「でも、なにさ?」
「昨日、久しぶりに、ある知り合いから電話をもらって、『最近ブログ更新してないけどだいじょうぶ?』って言われて…」
「あー、それはありがたいねー」
「そうなんです。そうやって少ないながらも楽しみにしてくれてるひともいるから続けなきゃなあって思ったんです」
「そこよ!それ!のぞみくん!結局、『人間』てのは『ひとのあいだ』て書くぐらいで、一人じゃあ『人間』じゃないのよ!二人以上でやっと『人間』ってことなのよ!ね?君も仕事が大変でブログが更新できなくなったりするけど、そこはそれ!ゆっくりでいいのよ!できる範囲でいいんだから!そこらへんのことは読者のみなみなさまもカンガミテくださるんだから!ね?そう思わない?」
「ですね」