「おつ~!」
「カツーン!」
 ビールグラスの音が響きます。
 本日もカレンさんちの小さなバル開店です。
「いやー!のぞみくん!アツいねー!夏!来ちゃったねー!こりゃ!ビールがうまい季節になったねー!」
「そうですね。カレンさん。まあ、うちは一年中飲んでますけど。やっぱり夏が一番ですよね。で、今回はこちらを用意しました」


「ら?じゅーそー?くいもんではない?な?」
「で、次にこちらです」


「はあ?今度はパスタあ?フィジリよね?これ?なじょして?」
「実はパスタを重曹を入れた湯でゆでると中華麺になるんです」
「んえ?ほんとお?」
「と、思う方はこちらをどうぞ」


「ふうん。はるほろねー。中華パスタかー」
「あとは豚挽き肉と麻婆豆腐の素を用意します」


「材料的には簡単ね」
「沸騰した湯に重曹を入れます」


「あれ?塩?入れないの?」
「まあ、そのあたりはお好みで」


「あわわわわ!すごいあわ!」
「はい。重曹水で茹でると泡が大量に出るので吹きこぼれないように気をつけます」
「て、きみ!冷静な感じで2回も吹きこぼれてるじゃないのよさ!」
「すみません。で、湯で上がったフィジリがこちらです」


「おお!きいろい!しかも、なんかにおいも中華ぽいよね!ふっしぎー!
「はい。で、次にフライパンで豚挽き肉を炒めて麻婆豆腐の素をまぜます」


「そしてここに中華フィジリを入れて、からめると…」


「『麻婆フィジリ』の完成です。お味はいかがですか?カレンさん」


「うんうん!うまいね!マーボーがピリッとカラうま!フィジリのヒダヒダにマーボーがからんでイイカンジになってるし、重曹のせいで中華麺みたくなってるし、見た目はイタリアンなのに味は中華なのよね。こんな形の中華麺てないから、ここでしか食べられない味よね!これ!」
「それはよかった」
「しかし!これおもしろいよね!この方法だったら、マカロニやコンキリエも中華麺にできるし、リングイネやタリアテッレのロングパスタもおもしろいと思うわ!あと重曹だから鍋もピカピカになっていいよね!一石に二鳥で!
「ですね」