(行政書士-コラム22)国庫賠償法 | 技術士を目指す人の会

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勉学を通じて成長をナビゲートする講師。
2008年に技術士合格後、「技術士を目指す人の会」を立ち上げ、多数の技術士を輩出。自身も勉学ノウハウを活かして行政書士、世界史検定2級、電験三種に合格。

国家賠償法は6条しかないです。


条文のポイントは1条と2条ですね。


1条は、公権力性、公務員の故意・過失、損害の発生が成立要件になっています。

公権力性は、国、地方公共団体による一方的な行為です。

行政行為や処分よりも範囲が広いです。

例えば、立法権の行使、不行使まで含みます。

国、地方公共団体ではなく、公務員の故意・過失ってところがポイントですね。


2条は、公の営造物の設置・管理に瑕疵によって損害が生じたことが成立要件になります。

1条と異なり、公権力性、公務員の故意・過失を問いません。

無過失責任です。ここがポイントですね。


国家賠償法はわずか6条。

だから、判例を勉強しておく必要がありますね。

似たような内容だけど、こっちはOKで、こっちはダメって判例に注意が必要です。


過去問でいうと、次のような問題が出題ポイントですね。


Q1 国家公務員の定期健康診断における国嘱託の保健所勤務医師による検診は、医師の一般的診断行為と異ならない行為なので、「公権力の行使」には該当しない。

正?誤?


Q2 国による国民健康保険法上の被保険者資格の基準に関する通知の発出は、行政組織内部の行為なので、「公権力の行使」には該当しない。

正?誤?


 Q1は正で、Q2は誤です。2008年問20です。これら判例があります。



Q3 医薬品の副作用による被害が発生した場合であっても、監督権者が当該被害の発生を防止するために監督権限を行使しなかった不作為は、不作為当時の医学的・薬学的知見の下で当該医薬品の有用性が否定されるまでに至っていない場合には、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。

正?誤?


Q4 鉱山労働者を保護するための省令が後に科学的知見に適合しない不十分な内容となったとしても、制定当時の科学的知見に従った適切なものである場合には、省令を改正しないことが、被害を受けた者との関係において国家賠償法1条1項の適用上違法となるものではない。

正?誤?


 Q3は正で、Q4は誤です。2009年問20です。これら判例があります。



Q5 道路の欠陥を原因とする事故による被害についても、道路管理者は、それを原状に戻すことが時間的に不可能であった場合には、賠償責任を負わない。

正?誤?


Q6 道路上に放置された故障車に追突して損害を被った者がいたとしても、道路自体に暇疵があったわけではないから、道路管理者が賠償責任を負うことはない。

正?誤?


 Q5は正で、Q6は誤です。2010年問20です。これら判例があります。



あとは、大東水害訴訟(S59.1.26)は棄却判決、多摩川水害訴訟(H2.12.13)は認容判決ってのも重要ですね。未整備の河川での水害は国に責任なし。既整備で改修待ちの河川での水害は国の責任ありです。この対比は、まだ出題されていないのではないのでしょうか。要チェックですね。



条文は以下のとおりです。


第一条
 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

第二条
 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。

 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。

第三条
 前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。


 前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。

第四条
 国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法 の規定による。


第五条
 国又は公共団体の損害賠償の責任について民法 以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。


第六条
 この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。




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