もしも、どんな会社でも入れるとしたら、どこがいい?(2)
なんだよ! 結局、そういう話になるのかよ! わかったけど、いまは、本読んでる、暇がないんだよ。
ははは、そうだろうな。女ばかり追いかけて、気がついたら、就活の時期だからな。まあ、おれも大差なかったから、責める気はないよ。
オヤジは、そもそも、なんで、百貨店なんかに就職したんだ?
だからさ、女がたくさんいそうだったからだよ(笑)
なんだ、なんだ、おれよりひでえじゃん!
うるさい!
まあ、マジな話、さっきの、「さきのことは誰にもわからない」ってことを前提に、それでも、あえて言うなら、そうだなあ・・・たとえば、環境関連の技術をもってる会社なんかは、いいと思うなあ。もちろん、バイオもいいと思うけど、将来、独立の道があるかどうか、ということを考えると、とくに、バイオなんかは、難しいじゃないかな。あまりに、必要な投資資金が大きいから・・・
車とかは、駄目かい?
どうかな、意見がわかれるところだなあ。たとえば、すでに、パソコンなんて、中国、インドなんかに移っちゃっただろ。車も、そうなる運命のような気がするなあ。
製造業は、最先端のもの以外は、どんどん、労働コストの低い国に移っていくだろう。で、何が残るか、っていう話だよ。製造業のための装置をつくる産業、ほら、ロボットとか、そういうものは、比較的長いあいだ、日本に残りそうだけど・・
でもな・・
?
最初から、会社にいっしょうしがみつく気なら、そういう視点だけで探してもいいけど、さっき、言ったように、「やがて独立する」っていうなら、独立の可能性のある業種のほうがおすすめだ。
大規模な投資の必要となる製造業なんかは、ほとんど、独立の目がなくなるぜ。
じゃあ、どんなところがいいんだ?
それより、ちょっと、訊くが、希望の会社に就職したとして、どんな、部署に行きたい?
企画とか宣伝かな。
なぜ、営業じゃないんだ?
自分の考えたことを、現実にしていく、っていう意味で、やっぱり、企画がダイナミックだと思うんだ。
宣伝も、自分のアイディアをいかせそうだ。
だめだ、だめだ。
営業を志願しろって。なにはともあれ、会社に入ったら、営業で一番をとるんだ!
なぜ、営業じゃなきゃだめなんだ?
たしかに、企画こそが、価値を生み出すんだ。しかしな、勝てる企画のできる人間っていうのは、この世の中、ほんの一握りしかいないのさ。
おれはそうじゃないって?
いや、そうは言ってない。そうかもしれんし、そうでないかもしれん。
しかし、はっきりしてるのは、世の中には、「企画のできる人間」と「企画のできない人間」の2種類がいるってことだ。おまえがどっちだかわからないが、かりに、できないほうの人間だったら、企画に配属されたって、何年たっても何にもできない。まあ、はっきりいって、社内でのおまえは、あっさり終わっちまう。
「企画のできる人間」だったら、どちらにせよ、いい企画ができるだろう。そうなったら、企画で重宝がられ、でられなくなり、若い時期に、営業の一線にでるチャンスを失ってしまうだろう。
どんな会社でも、「すばらしい製品やサービスをつくる、企画する人間」 と 「それをがんがん売ってくる人間」、この2種類の社員にささえられている。それ以外の社員も必要だが、はっきりいって、そのひとたちは、置き換え可能な人員だ。
だから、ともかく、「売ること」「とてつもなく売ること」「売ることの難しさ」「お客様の機微」を学ぶことが、一番大事で、それさえあれば、極端な話、二流三流のモノだって軽々と売ることができるんだ。
つまり、「企画力」は生来の素質だが、「営業力」は、磨かれるものなんだ。 「企画力」をもって生まれたかどうかにかかわらず、若いうちに「営業力」を磨けば、とにかく、組織の役にたち、また、自分の生き残り、独立にも大切な力となるんだよ。「営業力」を身につければ、少なくとも、生きてはいけるし、さらに、もし、企画の才能があれば、鬼に金棒となる。
わかりました、わかりましたよ。
ははは、わかっちゃいないとは思うけど。
まあ、お前の心に届かないかもしれないけど、言っておいてやるよ。
営業っていうのは、ほんとうに、人間力、ひととしての総合力の勝負なんだよ。こんなにおもしろい仕事、成長のできる仕事はないんだ。
はい、はい。まあ、こういう説教を、訊かされそうだから、ちょっと、気がすすまなかったんだよな。オヤジに聞くの。
おれも嫌だったんだよな、お前に話すの ( 笑 )
で、まあ、おまえが、営業の一線に飛び込む覚悟ができたとして、だ。 最終的には、自立、独立した人生を志すとして、だ。どんな、業種や仕事がいいかというと・・
もしも、どんな会社にでもはいれるとしたら、どこがいい?
もし、もし、どんな会社でも入れるとしたら、おやじだったら、どこにする?
うーーん。会社に就職なんてしたくねえからなあ。難しい質問だな。
でも、どーしてもいくなら?
R かな。
みなが独立を目指してるからか?
そのほうが健全じゃないか。 社長目指して、トップ以外は、総負けの会社に比べたら、「現実に」全員が社長になる道がある。
オヤジはRと関係あんの?
いや、いや。おれは、某有名国立大学だったけど、卒業のときは、まだ新興の会社で、R事件もおきてなかったし、みなが独立を目指すような風土も伝えられてなかった。それでも、急成長の元気な会社ということで、体育会バリバリの、しかも、法経の優秀なのが、何人かいってた - ちょっと、物好きな、あたらしもん好きがいったな、ってかんじだった。
でも、厳しそうだよな、Rって
ははは。そもそも、お前は、何のために就職すんだ?
まだ、なにか、わからないけど、ひとのためにたつ、大きな仕事をするため、かな。
ふーん。となると、どんな会社にいきたいわけ?
たとえば、メガバンクTとか、電機のSとか、自動車のTとか。いやもちろん、そんな超大手じゃなくても、ネット関連のDとかRなんかもおもしろそうだと思うんだよな。
メガバンクでひとの役にたつ仕事ね。なるほど。
出資してる消費者ローンから、パチンコ代を無担保高金利で貸しつける、とか、トラの子の退職金で新興国の外貨や投信を買わせて大損をさせる、とか、地上げのための資金を迂回融資してやるとか、そんなことかな?
なんか、おやじ、シニカル! そんなことはない、とは言い張るほど、おれもウブじゃないけど、新しい産業を育てる資金を提供するっていう、本来の銀行の業務だってあるし、それが本来の業務でしょ。
そうかな。それが儲からないから、メガバンクは困ってるんじゃないかな。優良企業は、カネはあまって借りてくれない。借りてくれても、最低レベルの金利。かといって、中小のなかから将来の有望企業を選別する目もなく、貸せば貸したで、不良債権のやま。サラ金に本格的に出て行こうとしたら、貸し金業の法律改正でニッチもサッチもいかなくなり、欧米をまねて、投資銀行になろうとしたら、今回の世界不況で、タッチの差で、投資銀行は全滅。
そもそも、連中は、返すあてもない連中によってたかって貸し込んで、自殺させてまで、回収しようってしてた、消費者金融の連中を取り込んでまで、儲けようとしてたんだぜ。
「ひとのために」なんて甘っちょろいこというまえに、「自分たちの生き延びる道をみつけろ!」っていうのが、メガバンクの現状じゃないかな。
おまえは、70過ぎのひとりもののばあちゃんが、100万か200万の全財産をもって、「ブラジルの投信が儲かるって聞いたんで、かいたいんだよ」ってきたら、どうすんだ? 「おばあちゃんのために」、窓口でお引取り願うのか? それとも、はいはいって買ってもらって、自分の成績にするのか?
もういいよ。でも、そんな会社ばかりじゃないだろ? たとえば、Sなら?
お前が、オーディオ製品の部品を調達する担当だとするぜ。その部品は、汎用品に近いもので、国内のサプライヤの商品は、中国製品にかなわない。国内の製造業のことを考えると、できれば、国内から買いたいけど、そうもいかない。おまえは、お客様という「ひと」のために、国内のつくっている「ひと」の生活を犠牲にする決断をする。
でも、それだけじゃないぜ。
中国のふたつのメーカーが候補にあがるとする。製品の質が同等なので、より安い価格を提示しているほうを選んだとする。しかし、よくよく調べたら、その会社は、重金属などを垂れ流して、すさまじい環境破壊をしていて、周辺住民の健康に、重大な問題を引き起こしていた・・・
さあ、どうする?
高いほうの製品に切り替えるように、会社を説得するか?
ライバルのメーカーは、そんなこと、かまわずに、安いほうを使ってるぜ。
会社を説得する。できるって・・・いまは、環境にも配慮する会社しか生き残れない時代だって。
そうか。そうだといいが・・・
お前が、下手な正義感を振りかざして、飛ばされなきゃいいが。
そりゃ、会社を変えさせる方法もあるだろう。でも、そのためには、おまえは、自分のクビをひきかえに差し出さなきゃならなくなると思うよ。
そうかなあ・・信じられないよ、そんな話。
まあ、いいよ。じゃあ、話を変えよう。
Dという会社の仕事は、お前には、すばらしく、「おおきな」仕事なの?
時価総額だって凄いぜ。
ははは、時価総額ね。おまえのいう、「おおきさ」の基準は、株式総額なんだ。
おれは、Dの会社の提供するサービスが、時価総額に見合う価値があるとは思えんな。
この小さな島国のなかで、中高生に時間つぶしの携帯ゲームや出会いサイトを提供することが、「おおきな」仕事なの?
オヤジは、わかんないんだって。いまの事業はそうかもしれないけど、可能性があるんだよ、Dには。
じゃあ、Rはいいのかよ。後ろめたいようなことは、いっさい、やってないのか?
いや、そんなことは言ってないさ。
たとえば、Aというフランチャイズ雑誌なんかは、少数の成功者以上に、多数の悲惨な失敗者を生む手伝いをしているような気はするなあ。
だけど、おれが言いたかったのは、そういう話じゃないんだ。
会社にはいるということは、「ひとのためになる」という以上に、「その会社のためになる」ことをするために、身をささげるということなのさ。
その覚悟がなけりゃ、組織のなかの競争で勝ち抜くことはできないし、おまえのいう「おおきな仕事」に手をかけることすらできない。
だから、どちらにせよ、おれはいまさら、会社に就職したいなんて思わない。でも、どうしても、どこがいいか答えるとしたら、べつの意味で、Rがいいと言っただけなんだ。
真に、正義に潔癖でいたけりゃ、就職するな、てことだな、オヤジが言いいたいのは。
まあ、それもある。
社会正義を貫きたいなら、ジャーナリスト、教師や医者なんかのほうが向いている。
でも、おまえは、そうでもないんだろ?
うん。正直に言って、汚いことはしたくないけど、GTRとか乗ってみたいし、きれいな嫁さん欲しい。
ははは、そりゃ、正直でいい。
おまえのなかの、遺伝子が、お前をそう駆り立てているんだ。いいじゃないか、いまは、それで。
でも、それでも、メガバンクなのか?
だって、給料だっていいし、女の子の受けも抜群にいいぜ。
まあ、女の子受けのするバッジみたいなものか?
しかしなあ、万一、二流大学のお前に、入社できたところで、ほんとに、お前は幸せになるのかな?
出世できないっていうんだろ?
できると思ってるのか?
できないってきまったわけじゃないだろ! そもそも、それがおやじが、いま社会に入っていこうとする息子にいうセリフか?
おやじだからこそ、そこまで言うんじゃないか。
だいたい、おまえは、「実力主義」の真の意味がわかってないぜ。
じゃあ、どういう意味なんだよ。実力のあるものこそ、組織の中で目立って、押し上げられるように出世するもんじゃないのか?
そうだな、たとえばだ。
同期で入社したもののなかに、総合職の女がいて、それが、めちゃくちゃいい女だとするぜ。仕事もまずまず、周囲のうけもいい。そいつが、いつの間にか、とんとん拍子に出世して、やがて、お前の直属の部長さんになったとする。
で、だ。その女は、ある取締役の愛人になっている、という噂がながれてくる。
そんなん、やっかみ、噂だろ。その女に実力があっただけだろ。
いや、いまの例では、それがほんとうかどうかは、とりあえず、わからないんだ。
だけど、厳然たる事実は、おまえが会社のなかでの出世競争で負けて、その女のまえにひざまづかなきゃならない、ってことだ。
うーーん、でも、仕事で負けたんなら仕方がないか。
ははは。でも、たいていの場合、当事者になったら、仕事で負けたなんて思わないぜ。
仕事でどちらがすぐれているかは、誰が判断するんだ?
上司とか会社とか。
そうだな。問題は、上司も、取締役も、経営者も、神の目をもっているわけじゃなく、たいてい、欠陥だらけだってことだ。おれも若いころは、だれかがどこかで、神様のような公平な目で、自分のことを見ていてくれて、昇進や異動もそうやっておこなわれるって感じてたんだ。そもそも、それが間違ってる。
さっきの話じゃ、現実には、やっぱり、取締役の愛人だった、なんてことが、しょっちゅうおきるのさ。でも、それが、卑怯な手だと非難しても、ルール違反だから、退場!というふうには、いかないのが現実社会なのさ。
つまり、女を武器と使おうが、どんなことをしようが、法に触れない限り、なんでもありが、競争のルールで、審判がまた、欠陥だらけ。そのなかでの戦いに勝ち抜けるヤツこそが、真の実力者なんだ。
この話は、けっして、誇張やおどしじゃないぜ。
そうかなあ・・・嫌な話だなあ・・・
そもそも、二流大学のおまえが、メガバンクに、なんていっていることこそ、実力がない証拠になってるぜ。超一流大学のバリバリの連中と、OBや大学の友人たちのネットワークなしに戦える、はずがないじゃないか。
そうかなあ、そうかもなあ。
ところで、さっきの話だけど、おまえは、その女部長の前に、ひざまずく覚悟はあるかい?
・・・・
おれはね、それができないんだよ。だから会社を去るはめになった。
でも、若い頃はわからなかったんだ。会社で働くということは、社長にならないかぎり、いつかかならず、自分の同期の人間か、後輩のまえにひざまずき、忠誠を誓って、相手に自分の将来をあずけることになる、っていうことなんだ。
会社にはいって、サラリーマンで人生を終えるつもりなら、最初から覚悟しておいたほうがいい。おれは、それがどういうことか、就職のときはわからなかったよ。
社長になりゃいいんだろ!
ははは、たしかに!
それで、どうしてもっていうなら、Rがいいって言ったのさ。皆が社長をめざして、つぎつぎに独立していく会社なんて、ほんとに、痛快だ。まあ、Rで働いたことがないから、ほんとのところはわからないけどな。
でも、Rだって、すっげえ人気企業だぜ。おれには、無理じゃないかなあ。
おれが言いたいのは、「自分が勝負になる土俵」を慎重に探せよってことだ。つまり、社長になれそうな会社を選べってことだ。
かりに、メガバンクなんて入れたところで、ありがたがっていれるのは、就活仲間に自慢できること、ぐらいだ。メガバンクにいるからって、きれいな嫁さんが来てくれたって、中年ごろに社外に出されるころには、こんなはずじゃなかったって、責められるのがオチさ。
じゃあ、Rのほかじゃ、どんなところがいいんだよ?
まだ、名前の売れてない中小企業で、ビビッとくるところを探せよ。
おれが就職活動したのは、もう、30年近く昔だけど、いま話題になっているネット関連企業なんて、そもそも存在もしてなかったぞ。
その、ビビっていうのが、難しいんだよ!
おまえは、これがしたいとか、こんなことは得意だとか、そういうのは、ないのか?
悪かったね、夢がなくて!
ははは、それこそ、DNAのなせる業だな。
おれもそうだった。
夢なんかなくったって、やりたいことがみつからなくたって、それで普通だぜ!
ちっこい玉を、棒切れでひっぱたいて、遠くのちっこい穴に入れるのが、自分の天職だ、それをだれよりもうまくやることが俺の夢だなんて、青二才のころに考えるほうが、どうかしてるのさ!
じゃあ、どうやって、ビビってのを探せばいいんだよ?
どうやら、ビビっていう言い方が悪かったようだな。
まあ、はっきり言ってしまえば、絶対正解っていう中小企業なんて、みつかるはずないんだよ。
おれのころは、ある本に、これからは、海洋開発だって書いてあって、おれはそれをうのみにして、ある小さな会社を受けに入ったぜ。幸い、そこは採用してくれなかったけど、なんのことはない、その会社自身が、数年後、社会から「採用」されなくなって、倒産しちまった。
まだ、豆みたいだったころの、GoogleやAmazonにはいったやつは、自分たちの先見の明を自慢してるだろうが、いいか、そいつはせいぜい、比較的に目端が利いたということで、もっとも大きな要素は、「運」なのさ。
オヤジの話は、まったく、意味不明だぜ。じゃあ、どうすりゃいいのさ?
まあ、ともかく、おもしろそうなことをやってる小さな会社を探すんだよ。
ただし、その会社は、五分五分以上の確率で、将来倒産する、って覚悟しなきゃ。でも、ほら、将来倒産するかもてって思ったら、必死でがんばるだろ(笑)
いまじゃ、大きな会社だって、ばたーーーん、っていくんだ。大きな会社で安心してたら、ばたんといった日にゃ、お前の人生も、同時倒産だ。
それはわかるけど、親なら、もうちょっと、具体的なアドバイスくれよ!
そうだなあーーー中小企業のなかには、よくないものを売ったり、客を騙したり、法律すれすれの営業活動をしているところも多い。そういう会社は、こころある営業マンたちは、売るたびに、暗い気持ちになって、やがて、良心を麻痺させてると思うな。だから、何を、どんな風に売っているのか、ということは、十分研究したほうがいい。
そういった会社は、おまえが想像してるより、ずっと多いぜ。
あと、そうだなあ、将来、その会社の提供しているモノやサービスが、社会から必要とされ続けるか、もっと、需要が伸びるのか、っていうことをじっくり考えるべきだな。
製品によっては、社会・技術の革新で、永遠と思われた需要が、1,2年で霧消してしまう場合もある。いい例が、ほら、ブリタニカ。何十巻ていう百科事典を出版して、もちろんその分野では、圧倒的なNo1の商品力で、セールス部隊を組織して、がんがん売ってたのに、インターネットのおかげで、あっというまに、息の根をとめられちまった。近い例じゃ、世界を支配するのはわれわれだとばかりに、鼻息のあらかった投資銀行が、軒並み、沈没しちまった!
で、これからは、どうなんだよ? どういうところがいいのさ?
だからさ、日経とか、本を読めよ。 経済、経営だけじゃなくて、歴史、哲学の本とか。
でも、オヤジも言ってたじゃないか、経済学者のいうことは、あてにならないって!
そうだよ。
連中のいうことは、嘘ばっかりだ。
結局のところ、将来のことは、誰にもわからない、のさ。
百人の経済学者が、未来のことを好き勝手にいったら、「偶然」ってやつが、どいつかの頭に、「たまたま的中」っていう冠をのせるのさ。だからって、まったく無意味ってわけじゃないぜ。どの本にも、それなりに、真実は含まれてるはずだ。問題は、だれかの言うことを鵜呑みに信じてしまう、また、そのとき、「常識」とされていることを、疑いなく信じてしまうっていうことが問題なんだ。
全能の神の目が、人事考課をしていないのと同じことで、たったひとつの真実を書かれた書物なんて、存在しないのさ。
なんだ、なんだ、結局、自分で考えろ、ってことか?
まさに!
自分で考えるために、本を読めってことだ。
