絵本出版賞 最優秀賞受賞作の
 
 絵 はらふう  作 はらひで
 
 
この不思議な絵本を、いえ、この絵本の原作を、
初めて見せてもらったのは、
ちょうど1年前の2月のことでした。
 
はらふうさんのお母さんであり、
はらひでさんの奥様である
原陽子さんに、お目にかかる機会があり
 
「こんな絵本を、うちのだんなと娘が作ってるんだけど・・・
どうおもう?」
と、見せていただいたのです。
 
そのときの感想は、
あー、心をぐりぐりえぐられて、ちょっとつらくて
そのあと、妙にいとしくなる。
でした。
 
 
「ローリーはおそろしくへんな子。
みんなと同じことができない。
かんたんなことができない。
歩くことだって、けっこう下手くそ。
リズムの悪いツーステップ。
おまけに、少し右にかたむいている。
だから、ちょっと気味が悪いって、
あっちに行けって、のけものにされる。
みんなと同じことをしろって、ぎゅっとつねられる。
ほぼ毎日、なにかしら意地悪される。
だけど、ローリーは、
いつも、あっかんべーし、すたこらさ。」
 
  ー『おそろしくへんなローリー』より。ー
 
 
子どもの頃から、「人といっしょ」がとっても苦手だった私は
ローリーはまるで自分。
そして、大人になるにつれて、
「みんなと同じ」もできるようになった私は
今は、自分がぎゅっとつねっている側にいる気がする。
 
笑顔で読み進む、という絵本ではないけれど、
どんどん引き込まれていく世界が広がっていました。
 
そして、画用紙に描かれた原画を手に、
私は、ただただ「すごい」を連発していたのです。
 
あれから1年。
その「すごいなぁ、これは絶対、たくさんの人に読んで欲しい」は、
私の一人の感想や思いではなく、
見事に賞を取り、書店に並び始め、
今、どんどんその「すごい」が広がっています。
 
 
 
それにしても、
この絵本のことを、大人の哲学絵本と名付けたのは
どなたなのでしょうか?
唸ってしまいました。
 
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