先週、8月4日(土)

音楽朗読劇「戦争と、恋文」が終了し

なんだか腑抜けになっています。


(「あなたは、観に来ただけでしょ」

と、方々から突っ込まれそうですが^ ^)

 

(女優 原洋子さんの語りに誘われて)

 

2時間にも及ぶ朗読劇。

まったく飽きることなく、心揺さぶれ続けた濃密な時。

 

 

嶋崎雄斗さん奏でるマリンバ。

大正期〜昭和期のヒット曲に合わせて、

山田藤栄氏の人生と時代背景を丹念に追い

物語は進んで行きます。

 

(マリンバ奏者 嶋崎雄斗さん)

 

音楽は、時代の空気・人々の情緒を的確に表します。

この劇がなぜ、朗読劇でなく「音楽朗読劇」でなければ

ならなかったのか・・・。

 

よくわかりました。

 

(しづゑさんを演じられた 和田光沙さん)

 

演者さんの迫真の演技に引き込まれ、

観客はタイムスリップ。

あの時代を追体験していくことになります。

 

(藤栄氏の苦悩を見事に表現してくださった 九良野喜一さん)

 

2時間はあっという間に過ぎて行きました。

そして、見終えたあと

静かに涙が流れたのでした。

 

 

劇終了後、

一緒に伺った『115通の恋文』に登場する
喜久代さん(80歳)が、

 

「これまでのことが一気に押し寄せてきて、胸がいっぱいです。

父ちゃん母ちゃんの苦しみ、戦後の壮絶な貧乏暮らし、

遺族会に出席したときの、我々親子に向けられた

刺さるような視線・・・

でも、今、こうして・・・よかった。ありがとうございます」


と脚本家、演者の方々に深々と頭を下げられました。

 

最後の「ありがとうございます」の一言が

この劇の成功を何よりも物語っていたと思います。

 

 

また、ご覧いただいた方からこんなメッセージが届きました。

 

「本当に凄い芝居だった。
何が凄いかって、それはこの芝居に嘘がないからだと思う」

 

(作・演出の嶋崎靖さん)

 

この手紙が綴られてちょうど80年になります。


まさか、ご自身が書かれた恋文をこんな風に
他人様に晒されることになるとは、
しづゑさんも、藤栄氏も思いも寄らなかったことでしょう。

 

 

けれど、本という形になり、
そして、こうして劇にしていただき、
多くの方にご覧いただく機会を得ているのには

きっと意味がある、

いや、大きな意志が働いている、

と私は思っています。

 

 

この手紙が南方戦線をくぐり抜け、
実存しているのは、
山田藤栄氏が自分の人生を高らかに
語ってもらうためではなく、
南方に残してきた部下たちの存在を
今を生きる我々に
忘れないでくれ、
知らせてくれ、
と伝えるためなのではないかと
思うからです。

 

 

まさにその通りのメッセージを
嶋崎靖さんが形にしてくださいました。

 

 

嶋崎靖さん
原洋子さん
和田光沙さん
九良野喜一さん
柿崎勝行さん
嶋崎雄斗さん
斎藤美佐男さん
村上智子さん

 

経王寺のご住職

 

本当にありがとうございました。
再演を心から願っています。

 

もうすぐ、終戦記念日。

 

 

写真:吉田奈美さん