人は漠然とした不安に直面すると、

負のスパイラルにはまってしまい、
ますます深みにはまって行くものです。

 

そこから脱出するには、不安を細分化すること。


細分化するという作業は「言葉にする」ことで進んで行きます。
そして、そのプロセスに欠かせないのが「対話」です。

 

拙著『人生でほんとうに大切なこと』を

そんな風に読み解いてくださった方がいらっしゃいました。

 

 

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この本は精神腫瘍科を広めるための本、と思っていましたが、

実はそれは「一面の真実」でしかないことが、

読み進めてゆく中で見えてきました。

 

清水先生は、癌患者が抱える漠然とした不安を、

以下の3つに細分化・見える化することで、

対処可能な不安へと変えてゆきます。


1.死に至るまでの過程の恐怖
2.自分がいなくなることによって生じる現実的な問題
3.自分が消滅するという恐怖

 

最近の自殺願望を持つ若者に起きた事件にもある通り、

誰にでも、時には自死を求める漠然とした不安はあるのだと思います。

(癌患者の自死率は平均の24倍なので、一般の人よりも高いストレスに

曝されているのも事実です。)

 

人は漠然とした不安に直面すると『負のスパイラル』にはまってしまい、

「ますます深みにはまって行く」と清水先生は語ります。

 

誰もが心の底に沈めている姿の見えない不安に対し、

清水先生の「不安に対する対処方法」は、

実は非常に汎用性の高いものだと思います。

 

この本は

「癌の人はこんなに大変な思いをしている。

だから健康な私達はつまらない事でクヨクヨ悩むべきでない!」

と読み解かれてしまうと、真実には至りません。

 

不安を細分化し、言葉にすることで対処可能な不安に変えてゆく、

これは自分自身との対話でしか実現できない。
 

そして、人は自分一人では正しい対話方法が見つけられないことが多いため、

専門家による手助けが必要になります。

人は知らず知らずの内に、暗黙の前提条件の下で対話を進めてしまいますが、

清水先生は、その前提条件が沢山ある仮定の一つでしかないことを

気付かせてくれます。

 

 

見えていなかった選択肢を見つけることで、

自己の対話はより広がりを見せ、深化してゆく。


全ての人にとって、自己との対話の重要性を伝えることも、

著者がこの本にこめたメッセージなのではないか、と思っています。

 

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ありがとうございます。

 

精神腫瘍医・清水研先生と様々な立場の患者さんたちの対話を

まとめたこの本が、不安という暗闇の中で、手探りしながら自分

の道を探しておられる方のお役に立てますように。

 

そう願っています。