誰かのこころに「寄り添う」というのは、とても難しい。

 

こちらが良かれと思ってしたとことが、

相手にとって嬉しいこととは限らない。

 

相手のどこまで踏み込んでよくて、

相手がどこまで踏みこまれると困るのか、

その塩梅はいつも難しい。

 

私はその塩梅がいつもわからなくて、

たくさんの人を傷つけてきた気がします。

 

自分では寄り添えた気になって、

自分ではお手伝いができた気になって

相手より、自分が気分良くなって、自己満足だけだったような。

 

 

ですから、『人生でほんとうに大切なこと』執筆のために、

清水研医師に密着取材できたのは、とてもありがたい機会でも

ありました。

 

精神腫瘍医という仕事は、患者さんやそのご家族の不安な気持ちに

寄り添い続ける仕事でした。

 

寄り添うというのは、安易な励ましの言葉を発することなく、

相手の話に、ときには、言葉にならない心の声に耳を傾けつづけることでした。

 

そしてドクターの診療は、その人がうまく進めなくなっている「つっかえ棒」

のようなものを、対話を通して、患者さん自身に気づいてもらう、

というものでした。

 

「もしかしたら、あなたがうまくすすめないのは、こういう『棒』が

つっかえているからではありませんか」

などと示されると

「あーそうか、私はその『棒』のせいですすめないのだ」と気づき、

じゃあ、その「棒」を具体的にどうしていこうか、という発想に

なっていくのです。

棒を自分で外せると、その人は格段に楽になっていきます。

 

ちなみにその「棒」の正体は、人によって様々です。

「自分をしばっていた『こうあらねば』という思い込み」だったり

「痛みに対する不安」だったり、

「何かを失うことに対する恐怖心」だったりします。

 

人が不安になるのは、その不安の正体が「漠然」としているからであり、

また、「死」が怖いのは、その正体を知ることができないからだ、と

学びました。

 

・・・と、こんな偉そうなことを書きながら、

つい先日も、たいせつな人の気持ちを害してしまったようで

落ち込んでいます。

 

安易な「きっと大丈夫だよ」「治ると信じている」という言葉は、

ほんとうに大変な状況の人には、なんとも上滑りな調子のよいもの

としてしか耳に届きかねないのに、つい言ってしまったのです。

励ましたい、という気持ちはちょっと角度を間違えると、

ときに面倒なことを引き起こします。

 

 

さて、12月10日(日)15時〜 駒込教会で開催の

『人生でほんとうに大切なこと』出版記念講演会には、

国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科長 清水研先生も

ご登壇くださいます。

 

私と同じように、たいせつな人に寄り添いたいのに、

うまくこころ寄り添えていないと感じておられる方、

自分のつっかえ棒をうまく外せない方・・・

なんらかのヒントを得に、ぜひお越しくださいませ。

お待ちしております。

 

【人生でほんとうに大切なこと 

        出版記念講演会 東京】

 

<日時>

12月10日(日)15時〜16時30分

 

<場所>

駒込教会 (定員100名)

住所:東京都豊島区駒込2丁目3−8

(JR駒込駅 北口or地下鉄南北線駒込駅4番出口より徒歩3分)

 

<参加費>

2500円(サイン本付) or 1000円 (本を既にお持ちの方)

 

<出演>

清水 研 (国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科 科長)

千賀 泰幸 (第7話登場 おやじ代表・2015年に肺がん罹患)

稲垣 麻由美 (著者・文筆家)

 

<参加申込>

https://ssl.form-mailer.jp/fms/86359f3e540829

TEL 050-3577-9428 (一凛堂・池田) 

Mail e-kamijo@ichirindou.com