一凛堂・稲垣麻由美のブログ
先日、中学時代からの親友に誘われて、

クラシックギターのコンサートに行ってきました。


彼女の師匠でもあるそのギターリストの名前は、エルマンノ・ボッティエーリさん。

イタリアのシチリア生まれ。なぜか、小学生のときからご両親に

「僕ね、大きくなったら日本に行くんだ」と話されていたというから驚きです。

しかも、ご本人も周りの親族やご友人も中にも、日本に行ったことのある人などいなかったというのですから、ちょっと不思議なお話。

なぜだか、ご自分でもよくわからないそうです・・・。



10絃のギターを使って奏でるメロディーは、どこか甘くせつなく、なんとも人の体温を感じる、そんな演奏でした。


で、何が一番感動したかというと

実は、もちろん演奏も素敵だったのですが・・・


演奏終了後、友人に紹介されてエルマンノ氏と握手したとき、

彼から発せられた香りに、そう今から20年以上、いや30年前の記憶が一気に蘇ったのです。


というのも、当時小学生だった私は、近所の「土曜学校」というところへ通っていました。

父が仕事ばかりで忙しかったということもあり、母が暇つぶしにでもなれば、と(今、思えば)そこへ遊びに行かせる感覚で通わせていたのでしょう。

我が家はクリスチャンではなく、典型的な、なんとなく仏教徒という家庭でしたので。


でも、私はその週に1度の近所の公民館で開催される土曜学校が大好きでした。

神戸の六甲カトリック教会から派遣されて来る、そのイタリア人の神父さまが大好きだったからです。


その頃、なんとも言えない劣等感や家庭でのごたごたを感じていた私には、その神父さまと手をつなぎ、ときにはお膝の上で聖書を読んで聴かせてくださる時間がとても心安らぐものでした。


その神父様とそのエルマンノ氏。なんと同じ香りがしたのです。

それは、決して香水とは違う、どこか異国の男性の香りでした。


あんなに大好きだったのに、その神父様のことなんて、実は正直、すっかりすっかり忘れていました。

でも、一瞬で記憶が蘇りました。そう、とてもあたたかい感情とともにです。

目の前のエルマンノ氏の素敵な笑顔を前に、なんだかポロポロ。


街ですれ違った人の香水に、ふと、大好きだった誰かのことを想い出したりすることはありますね。


香りの記憶は、とても大切なもの・・・。 キュン。