夜中に突然彼女のメッセンジャーがオンラインになったと思ったら、何やら様子がおかしい。
自分は彼女本人ではなく、友達であるのだとその人は言った。
その人の話ではいつも私の事を彼女から聞いていたから興味を持ったというのだ。
彼女がコンビニに買出しに出かけてる間にパソコンを触る許可を得たから繋いでみたとのこと。

彼女が私のことをいい人だとしょっちゅう話していたらしい。
わずかな時間話した後に、このままお別れというのは寂しいねという話になり、彼女が思いもよらぬ行動に出たのだ。
もしよかったら電話してといい、そこに携帯の電話番号を書いてよこしたのだ。

『えええ?』

これは一体どういう事だ?私はまた半信半疑になった。
いくら彼女から噂を聞いていたとは言え、話して15分程度の人間に自ら携帯の電話番号を教えてるなんて??
私は疑った。もしかしたら私と彼女との仲を疑った旦那の策略なのかも知れない。。。
もしくは彼女本人なのか?

それでもどうしてもかけたかった。今迄4年間近く彼女のリアルに触れる事は一切なかったから、これが誰であれ唯一のリアルの彼女に通じる道だったからだ。
そして私は電話をかけた。30分程であったが楽しく話ができた。ちゃんと女の子だった。
私はとても感激した。その人が友達であれ彼女であれ、長年の夢が叶ったような気がした。

それから二回ほど電話で話したが、以降は携帯のメールをたまに送るだけにとどまった。
(つづく)
彼女が閉鎖していた自分のサイトを復活させた。
彼女の顔写真が別のバージョンで見れるようになっていた。さらに家の中の写真もあった。
そして例のミュージシャンとは高校のときの同級生であると書いていた。

ホントかよ…(笑

彼女は就職で悩んでいた。パートで働こうとしているのだが、どうしても人間関係がうまくいかずに続かないのだと。
出会った頃の彼女からは想像はつかないが、後半の彼女からすれば人付き合いがうまくいかないと言うのも解る気がした。
その頃の二人は実生活に近い話題ができるようになっていた。
彼女との仲はグッと親密なものになっていっていた。

私が別の女の子の事で悩んでいたときも明け方近くまでつきあってくれて慰めてくれた。そう、二人は親友のような関係になっていたのだ。
ただ私は相変わらず彼女とは一度でも会えればそれでいいと思っていた。勿論下心なしで。
たまに冗談で私が会いたいみたいな風に言っても彼女は軽く流してはくれるようになってはいた。

が、しかし、意味深な発言をするようにもなっていた。
二人は会わない方がいいのだと。その方が私の為なのだと。

事実を知ったら凹むって事か?
それとも別の意味が…?

何かの話の流れで、もし気が向いたら電話かけてきてよと私が言った。あくまでもソフトに。相手の意思に任せるように。
結局かかってはこなかったのだが、この事が以降の不可解な出来事のきっかけになる。

(つづく)
ある時はプログラマーOL、そしてまたある時はミュージシャン、そして今度は総務OL…一体何が本当なのか?

いやどれも本当ではないのかも知れない。
しかし私は以降、その辺りは突っ込む事はなるべくしないように努めた。
私が彼女を追い詰めるから本当のことが言えなくなるのだと。

ある日彼女の挙動がおかしい時があった。
まぁ今までの流れもおかしいのはおかしいのだが…(苦笑)

その話によると、実は彼女は既婚者で旦那とケンカの末、旦那が少し遠距離の実家へ帰ってしまったというのだ。

これが彼女の本当の素性だったのか?
彼女は明らか今、誰かを頼らなければ何をしでかすか判らないような言動であった。
私はずっと彼女の傍にいた。傍と言っても物理的な距離ではないのだが。
旦那が戻らなければ、旦那を殺して自分も死ぬなどとも言っていた。心配で仕方がない。

やがて彼女は思い切って旦那の実家を訪ねると言った。夜までには戻ると言い残して。。。
私は夜まで待った。だが彼女は戻ってこない。
ひたすら待った。それしかできる事はなかった。
だが彼女は結局その夜は戻っては来なかった。


後日になって彼女と話をする事ができたのだが、何とか旦那とは仲直りができたようだった。
それ以降、彼女との仲が急速に深まった気がした。(つづく)
掲示板の閉鎖以来、彼女との連絡は途絶えた。
私は彼女のことをあきらめようとしていた。
だがどうしてもあきらめきれなかった。
何故あんなことを?彼女は何者なんだ?
その疑問を解きたかった。どうしても知りたかった。
だがなす術はなかった。メールを送ってもナシのつぶてであった。

ある日、私はいつものチャットで一人の女の子と知り合った。
その子とはすぐに仲良くなった。
それからその子とよく遊ぶようになった。
遊んでいくうちにひとつ気になる事がでてきた。

どうも彼女に似ているのだ。
最初はそうでもなかったのだが仲良くなっていくうちに彼女の口調に似てきた。
勿論彼女も最初はそのような口調ではなかったのだが、私と話してる間に変わっていったのだから、その子が同じように似てきても不思議ではない。
だがどうしても彼女とかぶってしまうのだ。
悶々としながら数ヶ月が過ぎた。

ある時、ネットでの失恋で行方不明になっていたかつてのライバルの男がひさしぶりにネットにきた。その子と一緒にいる時に、その男を同じ部屋に呼んだ。
私はあらかじめその男に、どうしても似てるのが気になる旨を話した。どういう結果になるのか?

やはりその子は彼女だった。その男には秘話で自分が彼女であることを打ち明けたようで、その時にはわからなかったのだが一旦落ちて戻ってくるときに彼女のハンドルで戻ってきたのだ。


なんでそんなことを???


半年間また騙され続けてきたのか・・・・・・(つづく)
私はそれから探りを入れようとした。サインを送って欲しいとねだった。
そうすると郵送ではなくEメールでウィンドウズのペイントで手書きのサインが届いた。
ネットでそのミュージシャンのサインの画像を探しまくった。その画像と比べてみた。
ちょっと違う気が・・・・

騙されているのだとしても、このまま騙された振りをしていれば彼女とは繋がっていられる。
だが事実が知りたい。その葛藤に悩む日々が続いた。

ある時彼女からのメールにプライベートの掲示板を作ったので来てくれと書いていた。
そこには彼女の芸能界での友達や、ラジオのスタッフ、高校の同級生らしき人たちの書込みがあった。
私はそれを見て信用した。私もそこの常連となった。
しかし、信用したつもりだったがやはり半信半疑であった。

そのミュージシャンは私と同じ地方の出身であったので、地元ネタでつついてみた。

『高校時代によく行ったお店は?』

その問いの答えはとあるお好み焼き屋の名前だった。
私はその近所に住む会社の人間に聞いてみた。しかしその人の答えではそのようなお好み焼き屋は知らないというものだった。やはり騙されているのか!?
念のため電話帳を調べてみた。すると・・・あったのだ。そのお好み焼き屋は確かに存在した。
遠く離れた彼女が、近所の人間も知らないようなお好み焼き屋を何故知っていたのか?
それでひとまず信用する事にした。

しかしその事を掲示板に書いたところ、予想もしなかった反応が。。。
高校の同級生という人が『そこまでするなんでストーカーみたいで怖い・・』という書込みをしたのだ。
その事がきっかけでまた別の同級生が私のフォローを始めたり、掲示板の雰囲気が悪くなってしまったのだ。
やがて彼女はその事を哀しみ、掲示板を閉鎖することになってしまう。

しまった・・・・・

ただどうしても疑惑は残る。
私はある日、掲示板に書込みしている人たちのIPアドレスを知ってしまう。
私以外全員同じではないか・・・・。


つまり彼女がすべて一人で自作自演していたのだ!!


その掲示板は何も知らない人が見たら信じてしまうくらいネタの内容的にもキャラ分けもよくできていた。
なぜこんな事を??

これで彼女の正体がまた闇の中に。
それは彼女のメールから半年が過ぎようとしていた頃だった。(つづく)