前編(2月2日掲載)から続くインタビューです。

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仙台支部会メンバーのご活躍状況(第4回/後編)

 

加美町振興公社社長

阿部昌孝 氏(昭54普卒)

 

令和4年1月30日(日)

聞き手:仙台支部会 副会長 畠 敏郎

【 加美町 】

畠)さて、今は加美町振興公社ですよね。

 加美町は平成17年の大合併に先駆けて、中新田、小野田、宮崎の3町が平成15年に合併してできました。毎年4月に「火伏せの虎舞」がニュースとして取り上げられることはあっても、鉄道や高速道路からは外れていて、宮城県内では人口減少の危機感をいち早く行動に移した自治体だと思います。公社の果たすべき役割は大変重要だと思いますが?

 

阿部) 加美町振興公社は旧中新田、旧小野田、旧宮崎の観光施設を運営管理している株式会社です。2016年に3つの振興公社が合併し加美町振興公社になったのですが、指定管理として運営管理している施設が12施設あり、その他受託事業として運営管理している事業が4つあります。各施設で働いている従業員がパートも含めて150名います。

 

 ただ、施設のポテンシャルを活かしきれていない、3つの旧町との間に今も見えない壁があり問題点も沢山あります。コロナ禍で旅のスタイルが大きく変化している中、3つの旧町の壁を壊すのではなく、元々違う文化を上手く融合し加美町ブランドとしての施設運営を推進しています。

 

 私が加美町振興公社に来て作成した3か年の中期経営計画の基本方針も「加美町の観光地域づくり推進役組織として構造転換をもたらす変革ドライバー(変革要因)の確立」とさせて頂きました。今までの固定観念に拘らず、社員一人一人も変わり、会社も変わる、そして加美町の観光まちづくりをけん引していく会社として地域の雇用も守る上でも重要だと思っています。

 

【 社長就任 】

畠)その「社長」に就任されることになった経緯は?

 

阿部) 実は、2019年4月に新たに立ち上がったDMO候補法人の一般社団法人十和田奥入瀬観光機構にゼネラルプロデュサーとしてJTBから出向しました。2020年6月に満60才、定年になりそのまま延長して残ることもできたのですが、通常3年位かかるDMO正式法人に全国で一番早く10か月で正式法人登録させたという自負と満足感もあり、雇用延長せずそのまま定年退職をしてしまいした。

 

 今まで各自治体等でアドバイザー的な立場で仕事をしていたのですが、総論が多い取り組みに疲れたとでも言いましょうか、今度は「旅人」として、その後の生活を送るつもりだったのですが、加美町の町長から「振興公社を任せたい」との話があり、加美町を一度案内していただいたときに、町のポテンシャルとこれまで多く経験してきた旅行会社やアドバイザーとしてではなく、観光のフロントでの実務にも興味もあったことや、町長から「あなたが思ったように進めてほしい」という話を頂き2020年12月に代表取締役に就任しました。

 

【 将来展望 】

畠)町長から全幅の信頼をいただいての社長で、プレッシャーも大変だと思いますが、これからの事業をどのように発展させていくのですか?

 

阿部) まずは、民間感覚で会社の構造改革をこの1年進めました。「こころざしの連鎖」として公民連携が出来るように私自身が、社員が本来持っている自主性を、先入観にとらわれない「よそ者」の視点から刺激し、会社の活性化に取り組んでいます。

 

 今、加美町は地方創生テレワーク推進への取り組みで、都市部企業のBCP対策や働き方改革を踏まえ、空き家を活用した暮らしと働き方のローカルシフトの機会をとらえようと「古民家アトリエ」の整備も行っています。その市場と弊社の施設が連携した事業展開も進めています。

 

【 ふるさとへ 】

畠)人口減少は、一関市も同じ状況です。一関は新幹線の駅もある、高速道路のICもある、世界遺産の観光地もある、沿岸部への交通の起点でもある…と、恵まれた要素があると思うのですが、地域おこしについてどのようなことを行っていけばいいでしょうか?

 

阿部) 勿論、ふるさと一関には私が携わってきた市町村以上に期待と思い入れは強くあります。今一関では、世界遺産平泉一関DMO(一般社団法人)のメンバーが地域の活性化に頑張っています。理事のメンバーには私の同級生もおりますが、ほとんどが一関一の後輩達です。

 

 平泉はもとより五感市 …一関のDMOが中心になり秀衡塗や南部鉄器や一関の染め物などの若手伝統工芸作家達が連携して着地型プログラムとして開催しているイベントですが…奥州市などとも連携し、観光面でも沿岸とも連携した取り組みを行っています。

 

 理事のメンバーも一関で家業の取り組みで積極的に新しいことにチャレンジしています。

 理事長の松本君中心に観光庁はじめ東北の各方面から期待されているDMOなので、私もこれからの彼らの取り組みを陰ながら応援していきたいと思います。そうした取り組みで育っていく一関の若い人財を楽しみに思っています。

 

【 休日・趣味 】

畠)さて、結局「旅人」になれず忙しい思いをされているわけですが、休日などはどのように過ごしています?

 

阿部) 仕事で色々なところに行ったりして多くのことを経験させて頂いたので、休日はほとんど家にいますが、高校時代は軟式野球部だったので、今でもJTBの後輩達と野球をやったりもしています。

 

 JTBに一関一高卒の後輩がいるのですが、大学時代に野球同好会で畠君の息子と一緒だったとのことでその縁で今でも一緒に楽しんでいます。最初に息子と聞いた時は驚きましたが、JTBの後輩達と一緒に、コロナ禍前には大リーグの大谷の応援に元ロッテの投手で大谷が日ハム時代にコーチだった、ジョニー黒木と一緒にロサンゼルスアナハイムに観戦にも行きました。

 2018年、2019年と2回行きましたが、コロナ禍が収束したらまた是非行きたいですね。

 

【 高校時代 】

畠)その節は、愚息が大変お世話になりました。さて、阿部社長は一関中学校の出身ですが、改めて一高時代を振り返ると どんなことを思い出しますか?

 

阿部) 一高時代は同級生に個性的な人が多くいて学問とは別に楽しい思い出が沢山あります。私は高校時代も大学時代も普通に学校に通い就活をして今があるのではなく、様々な個性ある人達と知り合うことでみんなに助けられながら生活してきました。

 

 そのような生活を送れているのも一関一の校風と友人達との高校生活があったからだと思っています。JTBでもダイバーシティーの一環で社内の「異能異才セミナー」があった時JTBの社員は有名大学出身やグローバル事業には帰国子女も多いのですが、なぜか東北からは定年間近の私が選ばれセミナーで自分の歩みの話をしました。

 

 今、多様性の時代です。自分が違和感なく今があるのは一高時代の友人達のお陰だと思っています。その友人達も全国的にも各分野で活躍しています。都立高校の先生をしながら57歳になってロックでメジャーデビューをした友人もいます。みんなが異能異才です。

 

【 同窓会活動への提言 】

畠)同窓会は個人情報の取り扱いや卒業生の考え方も多様化して、会員が減少しており、コロナでますます厳しくなっています。今後の同窓会の存在意義をどう考えますか?

 

阿部) 大学そして社会に出ても高校時代の繋がりが一番思い出深いです。様々な事が多様化している時代だからこそ卒業生も多くいて、多種多様の人材がいる伝統校の同窓会は必要だと思います。

 

 ふるさとだから地元で暮らしている人達に、ただ提言をしたり思い出話をするだけではなく、よそ者の視点で地元の人達と触れ合える、関係人口としての存在の同窓会でも良いと思います。人財が人財を生み、それが一関の活性化にも繋がっていく形になれば良いと思っています。

 

【 後輩へのメッセージ 】

畠)一関一高も中高一貫校となるなど、頑張ってはいますが、高校の定員も1学年200人まで減っています。アフターコロナを見据えて、後輩へのメッセージをお願いします。

 

阿部) 今、私は加美町の中新田高校の学校運営評議員もやっています。宮城県立高校として初めてコミュニティースクールに認定され、今後の学校運営の議論の中で普通科が個性ある学校としてどのように運営していくか重要な課題になっています。

 

 2年後には学区も全国になります。一関一高校は個性的な優秀な人材が多く入学していると思います。ぜひ高校生活で自分の感性を大事に様々のことにチャレンジが出来る基礎作りを頑張ってください。

 

 コロナ禍などにもどんなことがあっても負けずに対応できる人間形成の基礎が作れる学校が、一関一高だと思います。ぜひ高校生活を楽しんでください。

 

畠)ビスコが、世界を駆け巡っていた若い時代を経て、地域振興に行き着いた「一生」がよくわかりました。阿部社長には、これからも加美町の地域振興は基より、これまでの経験を故郷一関の地域振興にも生かしていただきたいと思います。健康に留意され、益々ご活躍されることを祈念しております。

 今日は、どうもありがとうございました。コロナが収まったら、国分町へ繰り出しましょう!

 

 株式会社 加美町振興公社 ホームページ

  https://kami-tabi.com/

 

やくらいウォータープールで社長自ら「カヌー体験」の指導(?)

 

ロサンゼルス・アナハイムスタジアムで ジョニー黒木(中央/元ロッテ)と大谷応援