前編に引き続き、増子次郎 東北電力株式会社 取締役会長のインタビューです。

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仙台支部会メンバーのご活躍状況(第1回/後編)

 

東北電力株式会社 取締役会長 増子次郎 氏(昭和49卒)

※現在、仙台支部会 副会長

 

令和3年9月15日(水)

東北大学 産学連携先端材料研究開発センター 内

聞き手:熊谷枝折 仙台支部会会長

 

【エネルギー政策】

熊谷) 増子さんと言えば「原子力発電」ですが、菅総理が昨年10月の臨時国会で「2050年カーボンニュートラル宣言」を行って以来「電気」にますます注目が集まっています。じゃ、発電は…というと当面は原子力の重要性が自ずと高まらざるを得ないと思います。

 東北電力としてのグリーンな電力とは原子力発電も含み、管内にある壮大な山岳の恵みからの水力発電とでうまく需要と供給をコントロールできれば、当面は賄えるのではないかと思います。

 燃料費調整制度のタイムラグ影響も少なくなり水力発電が難しい他社と特徴を出しながら連携もできるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

 最近、一関地方にはメガソーラーの建設や運用が目立ちます。また、ソーラーパネルのリサイクル工場が完成したと一関市から広報されています。

 それ以外の風力とか、水素とか、今後どのように変わっていくとお考えですか? 個人的なご見解として教えてください。

 

増子) 昨年、菅総理が 「2050年カーボンニュートラル宣言」 を行いましたが、これに加え日本政府からは2030年度に向けて 「2013年度比で温室効果ガスの排出量46%削減」 を目指す新たな目標が示されています。われわれ電力会社には電源の脱炭素化・低炭素化が求められる訳ですが、東北電力グループとしては、2050年カーボンニュートラルに向けて 「東北電力グループ“カーボンニュートラルチャレンジ2050”」 を策定し進めていくこととしていますし、さらに「2030年度におけるCO2削減目標」を設定し取り組むこととしています。

 

 具体的には火力発電所の低・脱炭素化に向けた実証・研究として、LNG(天然ガス)火力発電所での水素・アンモニアの混焼実証、石炭火力発電所での木材を加熱して炭のようにしたブラックペレットと呼ばれているバイオマス燃料を混焼させる実証試験などを進める計画で、火力の脱炭素化に加え、再生可能エネルギーと原子力発電を最大限活用していきたいと考えています。

 

 再生可能エネルギーについてですが、現状の水力発電や地熱発電を有効に利用することに加え、風力が中心になると思いますが200万kWの開発を進める計画です。原子力については、地域の方々からの理解をいただきつつ女川2号機等の再稼働を進めて行きますが、原子力発電は発電の過程でCO2を出さない脱炭素電源であり、安全確保を大前提に有効に活用して行きたいと思っています。

 

 電源の確保では、安全(Safety)を大前提として経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)、エネルギーセキュリティ(安定供給Energy Security)いわゆるS+3Eの観点を重要視していますが、今はカーボンニュートラルということで、環境面だけが強調されがちです。太陽光や風力は気候に左右されますし、こうした電源に頼りすぎると電力系統の安定性にも関わってきます。エネルギー資源の乏しいわが国においては、バランスのとれた電源構成にすることが大事だと思っています。

 

 電源側の話をしましたが、使う側の脱炭素も必要な訳で、これについては電化の推進などによりエネルギーの有効活用、CO2の削減を進めて行きたいと思っています。2050年カーボンニュートラルの達成は技術的課題も多く非常にチャレンジングな目標だと思います。ここでは、電力会社としての取組をお話ししましたが、カーボンニュートラルに向けては皆さん一人ひとりの理解と取組みも必要だと思います。

 

【余暇・趣味】

熊谷) 外部からもみつめられらた、お忙しい毎日だと思いますが、気分転換とか、休日はどのように過ごされています?

 

増子) 気分転換には、スポーツなどで汗を流すことが一番と思っていましたが、膝を痛めまして、もっぱらウォーキングです。天候の様子を見て室内で踏み台昇降をすることもあります。1時間程度ですが、撮り溜めていたテレビ番組を見ながら行っています。また、美術館巡りも好きで、良いものを鑑賞すると心が落ち着きますね。コロナ禍でなかなか行けないのが残念なところです。

 

【高校時代】

熊谷) さて、増子さんは桜町中学校の出身ですが、一高時代はどのような高校生活でしたか?

 

増子) 中学・高校とバスケットボールをしていました。ですから、一高時代は勿論、バスケット漬けでした。2年、3年と県大会で優勝しインターハイに出場しました。通常、県大会はトーナメント制なのですが、われわれの学年の年は決勝リーグ制で、3チーム(盛一、盛工、一関一)が2勝1敗で並び得失点差で辛くも優勝となった次第です。

 

 会場も珍しく釜石でした。通常の盛岡だったら盛岡勢の応援団にやられていたかも知れません。運も味方した優勝でした。インターハイや岩手宮城対抗戦のため夏休みまで練習をしていました。受験勉強はそれ以降だったので、共通一次試験やセンター試験などがあったら間に合っていなかったかも知れませんね。

 

【同窓会活動】

熊谷) 同窓会活動も個人情報の取り扱いやで難しくなっていたところに、コロナでますます厳しくなっています。仙台支部会の副会長としても日ごろからご尽力いただいているところですが、今後の同窓会活動の在り方について、どうお考えですか?

 

増子) おっしゃるように、コロナ禍で直接会って行うような行事は難しい状況です。今年度の総会も書面開催となり、2年連続で集合での開催は中止となっています。楽しみにされていた会員の皆さんは残念に思われていることでしょう。

 

 熊谷会長はじめ役員の皆さんとオンラインで会議を開催し、仙台支部会のあり方について意見交換しているところです。仙台支部会を維持していくためには何らかの交流活動を継続する必要がありますが、先ずは、総会開催の代替策として会報を作成し、名簿には寄せていただいた近況を載せることとしました。これは昨年も行いましたが、残念ながら今年も同様の会報作成となってしまいました。コロナ対策が緩和されれば総会や各種行事を開催したいと考えていますが、オンラインによる講演会などの交流行事開催についても企画しているところです。

 

 また、会員の拡大も課題であると認識しており、宮城県内に進学された新卒生への案内や会員による在県の同級生への勧誘強化策について検討して行きたいと思っています。

 

【後輩へのメッセージ】

熊谷) 一関も町村合併で面積は大きくなりましたが、人口の減少傾向の例外ではありません。一高も中高一貫校となるなど、頑張ってはいますが、高校の定員も1学年200人まで減っていますし、工業高校も水沢との合併計画が進んでいるようです。

 アフターコロナを見据えて、若い方々へのメッセージをお願いします。

 

増子) 先ずは月並みですが、夢を持ってそして実現のために努力してほしいと思います。そして、ふるさとに誇りを持ってもらいたいとも思います。特にわがふるさとのある東北地方は、他地域と比較して人口減少、少子高齢化が加速しており、今後、様々な社会課題が顕在化していくだろうと思います。夢を実現する過程で世の中やふるさとに貢献できると良いですね。皆さんの活躍を期待しています。

 

熊谷) 今日はどうもありがとうございました。一関一高の同窓生も注目していると思いますので、増子さんには健康にしっかり留意され、電力供給の責任を通して、東北の経済や全国を牽引する企業のトップとして、社会貢献するという立場で今後のご活躍を期待しております。

 

東北電力ホームページ

http://www.tohoku-epco.co.jp/

 

2006年頃の母校前の写真