◆市ノ澤翔のプロフィール◆
1982年生まれ、鎌倉市出身。
Monolith Partners代表/株式会社リーベルタッド代表取締役/一般社団法人IAM代表理事
公認会計士資格を持ち世界No.1会計ファームPwCの日本法人で従事。
在職中に株式会社リーベルタッドを創業。
その後独立しMonolith Partnersを創業。中小企業経営者の夢目標を実現を財務面からサポート。
経営改善や資金繰り改善を得意としYouTubeをはじめとした各種SNSでの情報発信も積極的に行う。
【実績】
・JAPANMENSA会員
・公認会計士試験全国公開模試1位獲得
・公認会計士試験1発合格
・MAS監査新規契約獲得数全国1位
最近、特定の業種での倒産が顕著に増加しており、中小企業経営者や個人事業主にとって大きな懸念材料となっています。これまで様々な業種のリスクについて動画で紹介してきましたが、今回取り上げる2つの業種は特に注目に値します。
意外に思われるかもしれませんが、これらの業種は倒産リスクが高いことがあまり知られていないため、多くの方が対策を講じることなく、危機に直面しています。
本質的な理由を理解し、適切な対策を講じることが重要です。未然にリスクを回避し、黒字経営を維持するためには、これらの業種が直面している問題の本質を深く理解し、事前に対策を講じる必要があります。
今回は、現在急増している超危険な業種2つについて詳しく説明し、倒産のリスクから自身の業種を守るための対策についても話を進めていきます。経営者や個人事業主の皆さん、この記事を最後までご覧いただき、共に黒字経営への道を歩んでいきましょう。
倒産急増の超危険な業種
介護事業
皆さんは、介護業界についてどのようにお考えでしょうか。多くの方が「高齢化社会に伴い、今後も需要が増える成長業界」とお考えかもしれませんね。実際、デイサービスなどの施設は増え続け、その成長を実感している方も少なくないでしょう。しかし、この業界が今、思わぬ危機に直面していることをご存じでしょうか。
かつては、広告や営業を行わなくても利用者が自然と増え、施設は常に満員だった介護事業。しかし今、老人向けの介護サービスは、利用者が減少し、経営が厳しくなっています。
介護業界は、施設によって定員が決まっており、収入の上限がある一方で、利益率はそれほど高くありません。以前は安定した業界とされていましたが、現在はその基盤が揺らいでいます。売上は利用者からの収入に加え、政府からの補助金に大きく依存しているため、法律や制度の変更が直接的に影響を及ぼします。利用者の減少により、収入が減少すると、事業を維持することが非常に難しくなるのです。
また、最近では多くの介護事業所が倒産する可能性が指摘されています。これは、単にライバルに利用者を奪われているわけではなく、実際に高齢者の人口自体が減少しているためです。過去10年間で、事業所の数は増加しましたが、今後は倒産ラッシュが起こり、その数が減少していくことが予測されています。
このように、介護事業はかつてのように安定した業界ではなくなりつつあります。事業を継続するためには、新たなビジネスモデルの確立や、収入源の多角化が求められています。中小企業の経営者の皆さんには、この現状を真摯に受け止め、今後の事業計画において十分な対策を講じることが不可欠です。
税理士
近年、税理士業界は大きな転換期を迎えています。一昔前までは、税理士資格を持つことは生涯安泰の保証とされていました。しかし、現代のビジネス環境の変化、特にAIの進化は、この業界にも大きな影響を及ぼしています。
税理士の主な業務は、お客様からの請求書や領収書の処理、会計の記録、税金の申告書の作成などです。しかし、こうした業務がAIや自動化技術の発展により簡素化され、従来の方法では厳しくなってきています。実際、最新の調査によると、開業税理士の売上はかなり低下しており、多くの税理士が経済的に困難な状況にあります。
AIの発達は、会計業務や税務相談などの領域でも感じられています。ChatGPTのような技術は、法的な条文の解釈や正確な情報提供を可能にしており、税務申告書の作成もシステムを使用することで簡単になっています。さらに、記帳作業の自動化が進んでおり、税務相談もやがてAIによって解決される時代が到来するかもしれません。
しかし、このような技術革新に直面しても、税理士業界だけでなく、他の専門職も同じような挑戦に直面しています。例えば、法人設立登記などの手続きも、フリー登記といったシステムを利用すれば、専門家の介入なしで簡単に自分で処理できるようになっています。
このような変化に対して、税理士業界はどのように対応すべきでしょうか。一つの解は、新しい技術を受け入れ、それを活用してサービスの質を向上させることです。特に中小企業経営者の方々は、税理士に求めるのは単なる数字の処理だけではなく、ビジネスの成長に寄与するアドバイスや戦略的なサポートかもしれません。税理士がAI技術を活用しつつ、そのような価値を提供できるようになれば、業界の未来は明るいものになるでしょう。
税理士業界は高齢化も進んでおり、新しい技術に対する抵抗が大きいという課題もあります。しかし、どんな業界でも生き残るためには、変化を受け入れ、新しいことにチャレンジする姿勢が不可欠です。今日からでも、新しい技術に触れ、それをビジネスにどう取り入れるか考え、行動に移していくことが求められています。
究極の倒産防止策
■本質的な価値を作る
本質的価値とは、お客様が自らの意志でお金を支払いたいと思えるような価値のことです。例えば、介護事業では、サービスの多くが国からの補助に依存しています。しかし、国の政策や補助金が変われば、事業の存続自体が危うくなることもあります。本質的な価値を持つ事業は、こうした外部要因に左右されず、お客様自身が価値を認め、支払いをいとわないものです。
税理士業界も同様です。税金申告は法律で義務付けられているため、多くの人が税理士に依頼します。しかし、法律が変わり、申告が必要なくなれば、税理士の需要は減少するでしょう。本質的な価値があれば、法律に依存せずに顧客から選ばれるようになります。
では、本質的な価値をどう生み出すか。一つの例として、飲食業を挙げてみましょう。飲食店は、お客様が「おいしい食事をしたい」「楽しい時間を過ごしたい」という欲求を満たすために存在します。これは、法律や強制によるものではなく、純粋にお客様の欲求から来るものです。エンターテインメント業界も同じです。人々は楽しい時間を過ごすために、自らの意志でお金を支払います。
ビジネスが真の意味で顧客からの支持を得るためには、ただ単に商品やサービスを提供するだけでは不十分です。顧客の深いニーズや願望を理解し、それに応える価値を提供することが求められます。顧客が心から望むものを提供することによって、ビジネスは安定した収益基盤を築くことができ、長期的な成功への道を歩むことができるのです。
このように、本質的価値の創造は、倒産防止のためには欠かせない戦略です。そのためには、顧客の真のニーズを深く理解し、それに応えるサービスや商品を提供することが重要です。経営者の皆様は、自社のビジネスにおいて、この本質的価値をどのように創造していくか、常に考え、行動に移していく必要があります。
■時代/変化に対応する
最近の話題になった、将棋界の藤井聡太さんの例を見てみましょう。彼はAIを活用して将棋の技術を磨き、すべてのタイトルを独占しました。最初、AIは人間よりも弱かったのですが、やがて人間を上回るほどに強くなりました。藤井さんはこの変化を受け入れ、AIとの対局を通じて自身の技術を高めたのです。これは、新しい技術や方法を取り入れることが、どれほど重要かを示しています。
中小企業も同様に、時代の流れと技術の進化に適応することが求められます。例えば、デジタル化の波に乗り遅れることなく、オンラインマーケティングやSNSを活用したビジネス展開を考えることが重要です。また、AIや自動化技術を導入することで、効率化を図り、経営の安定につなげることも可能です。
変化を拒絶することは、ビジネスを取り残されるリスクに直結します。常に業界のトレンドを把握し、新しい技術や方法に積極的に挑戦することが、競争力を保つための鍵です。特に中小企業では、リソースが限られているため、変化に対して素早く対応することがさらに重要です。
中小企業経営者の皆さんは、時代の変化を敏感に捉え、その流れに柔軟に適応することで、ビジネスを持続可能なものにすることができます。藤井さんのように、新しい技術や手法を取り入れることで、ビジネスをより強固なものにすることが可能です。時代の変化に合わせてビジネスを進化させることが、究極の倒産防止策と言えるでしょう。
■価格以外で選ばれる理由を作る
貴社の商品やサービスは価格だけで選ばれていませんか?安さだけが売りでは、より安い競合が現れた時に顧客を失うリスクがあります。
税理士のサービスを考えてみましょう。顧客があなたの事務所を選ぶ理由が「安いから」というのは望ましくないですよね。同じことは飲食店にも言えます。味が美味しくなくても、安いからという理由で来店する顧客は、さらに安い店が出ればそちらに流れてしまいます。
価格以外の価値を創出することで、ビジネスは競合から差別化され、顧客に選ばれ続けることが可能になります。たとえば、税理士業界では、顧客に対する丁寧なカウンセリングや、専門的なアドバイス、迅速な対応などが価値になります。飲食業では、料理の質、店の雰囲気、顧客サービスなどが重要です。
本質的な価値を創出し、時代の変化に対応していくことは簡単ではありませんが、成功者になるためには必要なプロセスです。価格以外で選ばれるためには、顧客のニーズを深く理解し、それに応えるための独自のサービスや製品を提供することが重要です。このようにして、他との差別化を図ることが、倒産を防ぐための究極の策と言えるでしょう。
中小企業経営者の皆さんは、価格以外の価値を創造することで、持続可能なビジネスを構築し、市場で選ばれ続ける企業に成長させることができます。価格競争に陥らず、本質的な価値を提供することが、成功への道を切り開く鍵です。
まとめ
本日は、「倒産急増の超危険な2つの業種」というテーマで、どのようにして企業がこの波を乗り切るべきかについて考えてきました。
まず、大切なことは、特定の業種に属していないからと安心しないことです。経済の波は予測不可能であり、どの業種も影響を受ける可能性があります。だからこそ、常にビジネスを見直し、倒産のリスクに備える姿勢が重要です。
今日のキーメッセージは、「利益は企業努力で生み出せ」です。これは、法律や特権に頼るのではなく、自社の努力で顧客から選ばれる理由を作り出すことの重要性を指します。成功する企業は、環境や状況に左右されず、自ら価値を創造し、顧客の信頼を勝ち取ることで、持続可能な成長を達成します。
顧客のニーズを深く理解し、それに応えるサービスや商品を提供することが重要です。これには、市場調査、製品開発、顧客サービスの向上など、多岐にわたる努力が必要です。また、内部管理の強化や、業務の効率化も、利益を生み出し、リスクを最小限に抑えるためには不可欠です。
結論として、どの業種に属しているかに関わらず、経営者は常に市場の変化に注意を払い、企業努力を怠らないことが求められます。企業努力によって「選ばれる理由」を作り出すことが、最終的には最も強固な会社を作る道であると言えるでしょう。
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