「わからない」「わかった」
これらの言葉は誤解を招きやすいように思います。
それらの言葉の背景には様々なことが含まれるため、受け取り方によって対処が大きく変わってきます。
「わからない」という言葉を子供や、それを聞いた保護者もよく使います。
しかし、そこには「覚えていない」、「知らない」、「問題の意図を理解できていない」・・・といった原因も含まれています。
それぞれ原因に応じて対処方法も変わるのですが、これらをすべて「わかりやすく教える」という対処では効果は出ません。
同様に「わかった」も曲者です。
過去に忘れたことを思い出させて(その場で教えて)説明をすれば、とりあえず「わかった」ことになります。
しかし、なぜ忘れたのかを考え、それを今後防ぐ対処がなされていなければ結局同じ轍を踏むことになります。
問題の意図を説明して「わかった」としても、一か月後に同じ問題を解かせたときには再び同じ「わからない」に陥ることがあります。忘れているのです。
すると、対策は「どうすれば忘れないでいられるか」となります。
『反復』は手っ取り早い対策にはなりますし、確かに効果はあります。
特に定期テスト対策のような短期的なケースは大いに奏功しますが、定期テストでは高成績であるにも関わらず中学3年の摸試では結果が残せない人がいます。
『学力』にはつながっていないのです。
このように長期記憶に難がある場合、大きく影響を及ぼしているのが『理解の深度』だと思っています。
解答の裏付けを多角的に考えられている場合、しっかりと記憶されているケースが多く見られ、
丸暗記に終始している場合はあっさりと忘れる傾向が見られます。
ここができていると、たとえ忘れていたとしても思い出すのに時間がかかりませんが、
できていないと、事実上「初めまして」となり、とても時間がかかります。
対策として、『多角的な解答用紙』を作成して、意識的に多角的に裏付けを解答させる(=考え、覚えさせる)ことをしますが、やはり本人の意識が重要です。
解答の裏付けを多角的に考えるようになるのには一朝一夕にはいきません。
学習に向き合う姿勢が大きく影響するからです。
ですので、もっとも大切なのは学習に向き合う姿勢をどのように醸成できたかということになります。