ゆーちゃんがソファーの肘置きにもたれながら本を読む。
何故か居候くんと同じ姿勢だ。
活字離れと言われる中で、これだけ本を読む子は珍しいと思う。
そういう意味で、うちの居候さんは本が好きだ。


「おっちゃんの本を全部読むことが出来るのでしょうか?」と尋ねる。
岩波文庫などの学術系の文庫だけで300冊を超える。
新書を加えると500冊。
本にもよるけれど、一年に100冊読めば5年、50冊なら10年かかる。
しかし、本によっては専門的な知識がないと読めないものもあるので、50冊読めれば良いのではないかと思う。
「10年かぁ・・・厳しいですね」
「でも、その本だけを読めばの話で、専門書、原典を合わせればもっと時間がかかると思うよ」
居候くんと同じ読み方は無理だと思う。
斜め読みに近い読み方で、一回目は流し、必要ならばじっくり読む。
簡単な文庫なら本屋さんで1時間で読み切り、犯人を教えてくれたこともある。
斜め読みだからといって、雑ではなく、要点を押さえているので、素晴らしい才能だった。


「おっちゃんの本、角が折ったるのがあるんですよね。何かに引っかからはったんでしょうけど、未だ何か分かりません」
それは無理だろうなと思う。
彼の頭の中は複雑で、とんでもないことを講演などに直結させていた。
ゆーちゃんはゆーちゃんの読み方で勉強して欲しい。
一冊の本を読めばそれだけ知識が増える。
すでに、本が揃っているので、居候くんを超えることもあると思う。


今は奥田英朗さんの伊良部シリーズの最新刊が出たので、『イン・ザ・プール』から読んでいる。
ケラケラ笑っているので、楽しいのだろう。
楽しい読書が一番です。