元夫に頬を叩かれた事を私は実母に電話をして話しました。

母は父と結婚した時から舅と姑、それにまだ高校生の父の妹との同居生活で、大体のことには動じない強い人でした。

お互いの家族のことで一番喧嘩になるんだから、お布施は要らないし、交通費も出してあげるから、とりあえず帰ってらっしゃい、相手を逆なでするような事は言わないように今後気をつけなさい...そう言われました。

なんだか思っていた反応と違う。


今の若い人に比べたら、なんて私は自分というものが無かったんだろうと、それは今も思っています。

反論も納得もしないまま、常にフワフワした状態で日々を過ごしていました。


酒が入ると人格が変わり、まともな会話が出来なくなり、そのうち酔いつぶれて寝るということがほぼ日常化していきました。物腰の柔らかさはもはや見る影もなく、元夫が右だと云えば右に従わなければ機嫌が悪くなり、酒が入るとネチネチと嫌味を言われるようになりました。

結婚前の元夫の最初の好印象は義母によって作られたものだと知ったのは、これからもう少し後のことになります。


新婚当時に住んでいた家は会社の社宅で、後に転勤になり、結局1年半ほどしか居ませんでしたが、子供がいないと市民権を得ないような環境でした。

マンモス社宅なので、昼間はあちらこちらで子供を遊ばせながら、井戸端会議をしている先輩奥さん方。子供のいない奥さん達は、お子さんのお昼寝の時間になり、みんなが居なくなった頃を見計らって買い物や外出をしていました。転勤族なので、ほとんどの奥さん達は専業主婦でした。

噂話が格好の暇つぶしです。


また、上司や同僚の家族との結び付きが強く、お茶会に誘われると何よりもそれを優先させないといけないような風潮やいわゆる派閥争いもありました。

お茶会での人の噂話は同調しないように、そうなんですか?へえ〜を繰り返し、どっちつかずの立場を貫いていました。

あまり住みやすいとはいえない家での新婚生活。

そんな頃に第一子を妊娠し、「ああ、これで市民権を得られた」と最初に思ったのは今思えばおかしな話です。