辛い出来ごとを聞かれて、本当に辛いことなんて話せないことを知った。


39歳の時のこと。


不妊治療のクリニックに通い出してから数ヶ月後、初めての妊娠、胎嚢確認、心音も聞けて、近くの産婦人科で妊婦健診をしたくて通院して内診したら、心拍が停止してた。

 

エコーを動画で撮っても良いと看護師さんに言われ撮ろうとしていたところだった。

 

「心臓が動いていないね」 


全く予想していないことだった。

 

事態を飲み込んで、しばらく涙が止まらなかった。診察が終わったのに待合室に戻れなかった。

 

あの時の医師が冷たくて性格が悪く見えたのが救いだった。もうこんなとこ来るもんか!と思えたから。反して看護師さんたちは本当に優しくしてくれた。

 

産婦人科から徒歩5分の帰り道、世界が終わったと思った。

 

夕方だったのか、昼間だったのかわからない。

 

とにかく目の前が真っ暗だった。

 

 

暗闇から抜け出す方法がわからなかった。

 

翌日すぐ仕事だった。ゆるい職場だから休めたけど、同情されたら泣いてしまいそうで休まなかった。

 

仕事していた方が気が紛れた。

 

 

でも休憩したり、緊張感がほぐれてボーッとする時間があると思い出さずにはいられなかった。

 

本当に辛かった。大袈裟でもなんでもなく人生で一番辛い経験だった。

 

ただし、辛かった経験は克服しなければ辛かった経験談として人に話せない。まだ昇華できていないことは共感してもらえる相手にしか話せない。

 

妊娠していたら今頃こうしてた。10月くらいに産まれる予定だった。とかいろいろ考えて、


本当にくよくよしていた。


次に妊娠しても心から安心することはなかった。完全にトラウマになってしまった。


今でも水子供養してもらったお寺に定期的にお参りしている。あの経験は一生忘れられないだろう。