辻村深月の『朝が来る』を読みました。

※以下の感想、けっこう内容ばれます。



今この瞬間にも、望まない妊娠で困っている人がいるんだろう。
たびたびニュースになる、学生の妊娠。
ニュースになるんだから、現実の話で、今もどこかにいるんだろう。
困ってトイレで出産、そしてそのまま放置。

自分の人生にも、全くあり得ない話じゃなかったんだと思う。
どうして、この「ひかり」と「姉」は、同じ親に育てられて、こうも違う人生になったんだろう…

子供が思春期に入った時、このての話は確かにどうやって教えればいいのか分からない。
ストレートに釘をさせばいいのか、触れなければいいのか。
ひかりの家は後者。

ひかりの意思を無視して、絶対にこっちが正しいと勝手に決めてしまった親の気持ちは分かるけど、こういう事にどんどん反発していってしまったのかなと感じた。
中学生には、もう立派な自分の意思がある。
でも本文中には、
「おなかの子の行く末を、彼らが決めてくれるのだという、ほとんど無条件な一抹の安堵を感じている」
っていう文もある。
こういう所は、まだまだ子供だよな。



それともう一つ。

朝斗が幼稚園で友達を押してケガを負わせたかもしれないという部分。

本当はやっていなかったと分かった時の佐都子の気持ち。
「朝斗、いい子だね、あの子は本当にやっていなかった。
噛みしめるように一度思ったら、その他のことはどうでもよくなった。」

これがすごく分かる。

こういう本は、すっかり母親目線で読んでるな。