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13話

 

LINEオーディオの前に現れた

浦島Q太郎は

 

まんま尾崎だった。

 

その動きも、髪をかき上げるしぐさも

なんなら、額のわきのとこも

耳までそっくりだった

 

派手シャツにーやん

 

と呼んでただけの海碧には

晴天の霹靂 これ使い方違うかな

 

弾道ミサイルQ!

時事的に不謹慎か

 

とにかく

もうこの

下むくと

への字になる薄い唇といい

 

オザキフリークしかない海碧には

度肝抜かれる

 

本当のQ太郎の姿は

よからぬたくらみを一掃してしまい

 

とても、結婚する相手のフリして

母に会ってくれませんか

 

いや乙姫に会ってもらえませんか

背中にのっけてきます

交通費要らないんで

滞在費も無料です

 

毎日遊んでくらしましょうよ

 

このメス亀が!!

こんな尾崎みたいな浦島太郎を

乙姫のえじきにしてたまるか!

 

この海碧亀が

手に入れてやる!竜宮城も乙姫追い出して、亀城にしてやる!

そんな野心がムクムク

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もっとみたい!

キャーオザキ!

アリーナで観れてるなんてサイコー!

 

海碧亀はキャッキャしてたら

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思わず足もあげちゃう!

一体なんで動画つなげたか忘れそうになったが

 

すかざずQさんは言った

 

ミウさん、イズミピンコみたいやで

でへへ~って半笑い

続いてんで

 

ぎょぎょ!

 

亀の顔になってる!

今まで見たこともない

亀からちょっと化粧して小綺麗気取ってたのに!

 

それにしても

かなりカジュアルに大阪弁でまくしたててくれる

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まさしくこの顔でするよ

思わずどこでもドアを蹴り上げて

大阪と東京でつないでしまったけど

ピンコ亀でするよ

 

今隣同士でご飯食べながら

こんな感じで話してるわけで

 

今の中継技術すごいわあ

 

んでもって

Qさんがこんな歌うアプリもやってるそうで

そこで色々なつながりもできたみたいよ

 

 

 

見れば見るほど

浦島太郎に見えてくる

 

いや尾崎豊ですよ、なんてったって海碧のアイドル

 

何度も画面の顔をタッチしてしまう。

ああ、どんなに動きは見えても

画面は固い、肌じゃない

 

あーあ

 

で、なんで話そうと思ったん?

 

とQさんが言った

 

いや、あの、

 

大阪行くのはまだ10日先だし

行く前の下準備っていうかあ、、、

 

ほら、文章でしかやり取りしてないと

離さないとニュアンスとかわかりにくいし、、

あとね、ちょっと気になることもあって

 

誰かお付き合いとかしてませんか?

そゆこと聞くのもどうかと思うんですけど

もし彼女さんとかいるのに

無理に邪魔するみたいなのもよくないし

まさか結婚してるとかになると

色々面倒になるだろうし(;'∀')

 

ど、どうなのかなーって

会う前に聴いときたいなあって

 

Qさんはじーっとピンコ亀を見ながら

 

ふーん

 

俺、付き合ってはいないけど

マッチングアプリで出会った女の子と

ミウさんと会う日の後にあいますよ

 

ずっと前から約束はしてたし、なかなか会える人やないから

色々今後どうするかも聞かなあかんし

 

海碧としては

ここで割と

ボディにパンチくらってる感あり

 

(そうだよな~こんなイケメンさん&尾崎豊似、それなりに女の子と会うよね)

 

そ、そうなのね

その人とはお付き合いする予定あるんですか?

 

うーん、まだわからへん。

性格美人って感じやし、話もしやすいし、楽やし・・

けど、顔とかは全然タイプとかじゃないです。

 

じゃ、なんで付き合うの?

もう体の関係はあるんですか!

 

(よく海碧も聞くなあ、我ながらツッコミやばいわ)

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サングラスしたわけじゃないけど

ちょっと目が本気、真顔になった感じ、このイメージね

 

どんな人も

真剣に付き合ってみんとわからんし

自分や猫の世話してもらえれば、それでいいと思ってるんで

 

でも、勘違いしないでね!

まだ付き合うわけやないですよ!

付き合うかもしれないってとこです

 

(お、おんなじや!!付き合う50%もあれば十分

オタク、その女の子が好きじゃないのよ)

 

海碧はよくわからなかった。

好きかどうかわからないのに、付き合おうとすることが。

マッチングアプリで何度か話し、何度かデートした相手と

SEXもせずに

付き合うと決めてしまう意味が。

 

それなりに好きだから進めるわけでしょ。

 

わかりました・・

じゃ、また大阪行くんで、その時楽しみにしてます・・

 

はい!待ってるでーーよろしくお願いします。

 

で通話が終わった。

 

なんだかスッキリしなかった。

 

こっちがスキスキ光線送ってるから

安全パイか、単なる芸能の話の相談相手?

なんとなく後味が悪かった。

 

そうか、謎のマッチングアプリを使いこなせば

彼と同じように

ちょっと楽しく色んな人をつまみながら

余裕がでるのかもしれない!

 

友人にもいつも言われるけど

オザキオザキってそればっかになってると

頭おかしくなるから

 

時々佐藤健とか、ビッグバンとか目移りしたらいいよ

っていう的確なアドバイス

 

そうか、恋は盲目っていうしね。

なんか勘違いしてた!

 

気が付いてたよねみんな!

 

この彼、浦島さんって

亀に興味ないんですよ!

好きなタイプでもなければ

いなければいないで、どうでもいい存在。

いるから助けたけど

海岸で出待ちしてる浦島ファンな亀ってだけで

 

存在価値はゼロに等しいんですよお!

 

だから平気で、昔好きだった人の話や

マッチングで会った女子を誉める話や

今も普通に会ってますけど、となるんですよ

 

それって全部

海碧に

女性としてなーーーーんも感じない

答えなんですよ!

 

そうか・・・そうだよね・・

あんな電車内でひっくり返った女を

ただ助けただけで

恋焦がれられても面倒なだけさ・・

 

久しぶりに

ウミガメの涙が流れました

 

ひきつった笑顔のまま

そのオーディオを終了させたら

深呼吸した

 

また新しいマッチングアプリに

手を染めてしまった。

 

乙姫への獲物を持ってく焦りからじゃなく

 

彼に想いを詰め込むことが

無意味だと思ったから。

 

この人は

他にも好きな女性がいる

まだまだたくさん

出会っていくだろうし

 

まだ海碧が家近いなら、それを奪うこともできるだろうけど

 

大阪と東京は遠い

 

短める手段もない

 

リニアができても

経済的に通い続けることは不可能

 

あーあ

お礼に会いたいとは言ったけど

わざわざ、彼女がいるかもしれない人に

会いに行ってなにが楽しいんだろ

 

もう、キャンセルしようかな

これ以上会わなくても、何も発展しないし

彼にとっては何のメリットもないわけだしさ

大阪に、尾崎に似てる人いまっせーー

って

どっかのラジオで言う程度でいいや

 

シクシク

ウミガメは泣きながら

別の卵をうむことにした

 

1日でこんなに見てくるんだな

 

 

初めて30分でこれ

 

どのアプリか探さないでね

これがアカウントページ

 

もちろん、尾崎豊じゃないと

燃え上がりません的なことは記載してる

 

なんとなく気になって

 

お相手の範囲は

関東圏内にした

 

大阪の人にまでに見られたくない

そんな気分だった

 

やっぱり、結婚とか恋愛とか

近場で見つけるほうがいい

 

きっとQさんも

大阪の範囲内で見つけたお相手だろうし

お互い

同じ方言で話したほうが楽だよね

 

海碧の

あちこち転勤したせいで

わけわからなくなった方言と東京弁じゃ

ついていけないさ

ハハハ

 

LINEが入ってきた

 

一瞬、Qさんかと思って

急いでみたけど

彼からじゃなかった。

 

ジョーさんだ

 

焦げたおかず食べてた

ジョーさんから写真が届いた

相変わらず上機嫌で

 

ミウさん!今度また尾崎豊イベントやりましょーー!次は

誰を呼びます?

 

 

この写真、この女優さんがお面みたいにきれいな化粧してて

トークはあまり前に出ない人だったけど

 

顎が細くてシュッとしてる人だった。

写真となると、さすが、とても写りがいい。

 

Qさんは、顔がシュッとして立ち姿がきれいな人が

タイプだって言ってた。

LINEで、「私は立ち姿キレイですか」

と聞いたら

ちょっと違うかなあ~( ´∀` )だった

 

海碧は筋肉質だし、体格もいいし

華奢にはなれないしなあ

 

けどもういい!

そこ目標にするのやめやめ!

忘れよ!浦島Q太郎は

大阪湾で魚釣ってたら、沖に流されて
別の島に漂流し、そこで家を建てるまでがんばったけど
家のことをなんでもやると申し出、出会った優しそうなヒメと結婚し
幸せに暮らしましたとさ!
 
けど、その島にいたヒメは、住む家が欲しかっただけで
本当は家庭的でもなんでもなく、畑の作物も面倒見れず
みんなが飢えてしまい貧乏になっていきました。
それでも理解できずに、生産性のないものに手を出しては
民のお金を使い果たしてしまいました。
あるとき島は、ヒメが呼んだ新型爆弾の工場誘致で
変な計画実験のせいで爆発し、住民もろとも沈んでしまいました。
 
あーやだやだ
海碧ってほんと性格悪いわ
なんで、相手の幸せを祝えないんだろう
 
付けたしとくわ
 
海に沈んでいく浦島Q太郎を
亀は急いで海中にもぐり、背中に乗せて助けました。
 
加えて
 
ヒメは「私を乗せなさいよ!こんな奴、もう役立たずなんだから!
家もぜんぶ沈んだじゃない!」
と海に沈みながら
亀の甲羅をつかみ
Q太郎をどかして乗り込もうとしたので
海碧亀はキレました。
「お前の正体、最初からお見通しなんだよ!この守銭奴が!
消えろ!ブス!顔がブスなやつで性格いいやつ見たことないわ!」
と、モンゴリアんチョップで、海底に沈ませました。
 
「このバカQ太郎。何度女に失敗すりゃわかんだよ!」
と泣きながら、背中に乗せて浜辺へたどり着きました。
亀は、100キロも海を越えたので、息も絶え絶えになり
砂浜にQ太郎を置きました。
 
「なぜ、助けてくれたんだ。俺はお前を裏切ったようなものなのに」
Q太郎はやっと言葉を吐きました。
海碧亀はいいました。
「大事な人なら、身を捨てても飛び込んで助ける。生きていてほしいからね」
Q太郎は息も絶え絶えに言いました。
「あの女は俺を好きだと言ってたはずなのに、、、どうしてこうなったんだ」
海碧亀は
Q太郎の頭をなでながら答えた。
「お前の家と労働力と生み出すカネが好きだったんだよ。お前自体じゃない
だが、お前も相手が島の姫君だから、玉の輿だと思ったんだろ、同じだよ」
 
そういうと、亀はヨタヨタと浜を去っていった。
「もう、かわいそうだからって、手を差し伸べるなよ。勘違いさせんなよ・・」
 
するとQ太郎は全身の力を使って、亀の甲羅に飛び抱きついた。
 
「もう一度、勘違いしろよ!こんな俺なのに、なんでいつまでも好きでいてくれるんだよ!」
 
亀は振り向いて言った。
 
「お前が!尾崎豊に似てるからだよ!死にかけててもアホでも、顔が好きなんだよ!」
 
Q太郎は膝まづき、そのまま浜に倒れ永遠の眠りについた。
 
「オザキの恩返し」
おしまい
 
こんな昔話あるかなあ
 
 

げっマッチングアプリ見たら

また増えてる、閲覧・・

そんで、自分を見た人を一通り見た。

 

どの人も年収1500万とか書いてるけど

そんな業種でそこまで稼げるかよ

適当な嘘だなと思いつつ

 

写真だとどれもピンとこなかった

Qさんの話では、女性たちは会ったほうが全然よかったよ!

との話だったが・・

写真見てもどれも尾崎豊じゃないから

会っても尾崎になるわけじゃないし

またこのアプリも300人やってきた。

 

男性たちの

結婚したい相手の理想像なんかを

読みふけってた

 

みんないうのは

 

笑顔がよくて

支えあえる関係でいたい

 

だった。

 

フンフン!

 

海碧亀にとってみれば

そんなのは、本音じゃない。

 

相手をコントロールしたいか

されたいかじゃないの?

 

とりあえず

食事代はどっちが払う?

っていうのは

 

全額払ってもらいたい

 

をセレクトしておいた。

 

それくらい、女子の特権としていいよね。

 

尾崎豊は

デート代ぜーんぶ払ってたらしくて

それで浮気しまくってた頃は家計が大変だったそう。

 

そういうの

似なくていいかな。

特に浮気症の男は完全NGで。

じゃあ、尾崎豊のこと、本性は好きじゃないかもなあ。

 

 

13話終わり