第11話
image
昨夜、彼とは特に遅くまでは
LINEせずに、またベッドにいかずに寝てしまった。
そういうときもあるんだよね。
ライターの仕事があってさ。
一階のリビングは、仕事場でもあり
寝る場所にもなってて
収集がつかない感じ。
 
実は昨夜までに、実話ナックルズの編集さんに
ネタ出ししなきゃいけなくて
 
裏界隈の情報をゲットしてた
 
ネタ元さんはあちこちにいるけど
自分で収集したり取材したり。
よく飲み会に行くのは、そこで思わぬネタが転がってるから
で、海碧が一番パリピだったころ、2019年くらいかな
IT会社で最先端の流行も追ってたし
古い言い方だけどイケイケな遊び人風格で
付き合ってた連中は
それなりに浮草みたいな金持ち気取りの実業家
image
image
ほんの4年前の自分の顔
 
気のせいか
鬼に見える
 
この頃の彼氏は派手な女が大好き
そして、みんなの憧れみたいになってる女子と
付き合えることだけがエクスタシー。
SNSでそれなりに発信して、もてはやされてた時期から
お付き合いがあったけど
高いお店や、高級ホテルでバースデーには高額のプレゼント。
 
文句ない暮らしだったけど
遠距離だったから、年に10日くらいしか会えてなかった。
だから、一緒に暮らしたい願望だけが強くなり
家なんかも探したりした。
でも海碧の仕事は、最先端の今を書く仕事でもあり
情報が飛び交う東京の人脈から
サヨナラすることはできなかった。
 
病気がちだった彼は(という嘘を信じてた)
もうミウさんと一緒にいられる時間は少ない(死が迫ってる)
だから、お別れしよう
 
と言われた。
相手からの強いアプローチだったにも関わらず
だけどその人は言った
 
自分みたいに体の弱い人間、仕事もできないし、
貯金だけで生きてるような者を相手にするな
もっと若くて元気な、ミウと同等に健康な男性を探せ
 
それは
彼の本音だったんだと今も思う
 
本当は、好きでもなかった
好きだと一生けん命言うし
海碧に出会えて、余命が伸びた、奇蹟が起きたと
言ってくれるし、助けたい気持ちが
いつしか愛だと思うようになっただけ
本気で心配はしたけど
毎日くらい電話もしたけど
半年に1度しか会うことがなくなり
ある嘘を指摘しただけで、怒ってブロックされて終わった。
 
嘘みたいな数年間が幕を閉じた。
失ってしまうと、次第にその人への恋慕が
単なる洗脳だったと気づいた
日々のルーチンワークに、その人との語らいがあるだけ
その人もあらゆる嘘をついては、海碧と同じ高さに
いようとしてくれたこともわかった
どんなに後からわかっても
 
単なるSNSで始まった恋愛の終わりは
ブロック
合いかぎも持たされたから、一応行ったけど
部屋はもぬけの殻
いつも飾ってあった海碧の写真はなかった
 
その時に
海碧以外の女性が
今はこの人を支えてたんだなとわかった
 
その前の人も、海碧より6歳も若い彼。
同じようにloveアタックだったけど、
何をしてもキレるようになり、話もしなくなった。
出会ったときは、新入社員でお金がなくて
ごちそうしてあげてた。
あなたがどうしても好きだから付き合いたいと言ってた。
それなら、まあいいですよと付き合ったけど
テニス以外は何も気が合わなかった。
 
その数年後には1000万の年収になったけど
ずっとケチなまんま。
少し過ごしてた家でキレまくってたのを見て、逃げ出した。
それで終わり。
荷物を取りに行ったら、彼より10才若い女性と家から出てきた。
ああ、やっぱりね。
年上女というだけで、海碧自身が
自信を失ってた。
彼よりオバサンになってくんだな、いや
もう、外ではオバサンと呼ばれてるんだろうな、と。
 
同い年ならなんてことない年齢が
この男と付き合うせいで
いっつも身がひけてしまってた。
彼の同級生カップルと会うと
1人だけ世代別な会話になる。
敬語で扱われてしまう。
「やっぱ若い子はいいなあ」
っていう彼の一言が傷つく。
 
年下男とは絶対に付き合いたくない。
無駄にした数年を返してほしい。
あのとき、なんで付き合おうって言ったのよ。
言わなければ
あなたなんかと一緒にいたいとは思わなかった。
 
そう、好きでもなんでもないのに
きっと、その彼の勤める会社が大きかったから
そこしか見てなかった。
先々、年収が1000万超えることも、海碧が元いた会社だったから
わかってた。
 
打算的だったのは、海碧の方だったかもしれない。
 
だけど、あなたが好きです、どうしても一緒にいてほしい
 
っていう言葉に舞い上がってしまったんだろう。
ケチだったし、年収があがっても貯金がないのは
他にも女がいたんだよね。
だって、あちこちご馳走してホテル代も出すわけで
そりゃ、お金がかかるわ。
image

と思って、かなり年上の人と付き合ったら

病気だらけだった。

 

真逆になんでもご馳走してくれた。

 

2人は反対に見えて

実は同じ。

海碧を好きから始まり、他にも女がいて

そっちを選んで去っていった。

image

そんなときに

初めて尾崎豊の生誕日に

お墓に行った。

ずっと避けてた場所

けど、どんな苦労も尾崎豊に頼りたくなかったのに

 

この時ばかりは

尾崎に言いたかった

 

もうこんな男たちは嫌だ

 

尾崎だけ愛してる

会えないくらいがちょうどいい

他に目移りしませんから

 

尾崎豊を一生の恋人にするから

海碧を守ってください

 

それが2020年の11月29日。

image

 

そして思わず
遺影にキスをした。
 
会えた人物じゃない、憧れの人を抱え上げてキス
そのときに
自分は自然にこの人に惹かれてキスをした
 
子どもの頃からずっと求めてた男性像がここにあって
どうして
自分から好きになる人を選ばない。
 
それは尾崎豊に似た人しか
もう好きにならないのに、打算で付き合うから
相手は
海碧が本気で自分を好きだと思ってないとばれてしまう
 
だって
1ミリも
尾崎豊に似てないんだもん
 
海碧が好きになるはずがないよね
imageimage
そして、その思いを
コラボしたジャズアルバムの恋愛小説Ⅱに書き下ろした
 
瞬恋
 
という
一瞬で恋に堕ちる主人公は
まさしく海碧のことだった

 

小説をかき上げたのが、そのあとの2021年で、1年経ってから発売したので
2022年10月26日に表に出た作品。
 

尾崎豊の30周年忌yearをやろうと決めて2022年から動いた。

なぜこんなにやろうと思ったのかは、そう心に決めたから。

それだけ。

image

尾崎のカレーも伝授され、あんなにどん底だった

キラーカーンも、また店を復活させた。

 

image

番組まで持つようになった。

尾崎豊温泉も5回もやろうとしてる。

 

尾崎豊よ

海碧が浦島太郎のカメなら

あなたが乙姫だ

 

そんな気がした。

 

乙姫に会ってしまったら

 

裏切って去るなら

この亀も浦島太郎と地上に上がって

死んでしまったかもしれない。

 

浦島太郎が玉手箱さえ開けなかったら

300年後に青年漁師として

若いギャルたちと海水浴してガン黒のにーちゃんとして

モテまくってたかもしれないのに

 

なんで

開けてはいけないといわれた

玉手箱を開けたんだろ

 

やっぱ、300年後と知って、パニックになったんだろうか

 

それとも

それでも、現実世界に戻りたいと思って

自ら選んだのだろうか

 

助けた亀は

竜宮城の恐ろしさを知ってて

浦島太郎を連れ込んだ

というと怖くみえる

 

だけどそれが

貧乏暮らしで病気のお母さんと

正義感は強いけど

村でも孤立した暮らしをしてる彼を

もっとあなたが輝ける場所がありますよ

と導きたくなった

感謝と恩と愛

にも見える

 

きっとあの亀は、メスだったんだ

 

浦島太郎に助けられて

恋しちゃって、

会えるまで海岸で待ってたんだと思う。

 

image

色々思い出して

しんみり考えてたら

 

LINEが入ってきた

 

ミウさん

ギター買ってしまったわ!

これでますます尾崎に似るかな!?

俺、尾崎になれるかな?

いや

俺、尾崎に勝てるかな?

 

そして、声を張り上げて歌う姿の動画が送られてきた

 

この写真!

尾崎の画像検索で出てた人じゃない!

image

image

ポスターに勝手に使ってた

画像の人が

 

浦島Q太郎!!

 

アンタなんでこれ持ってんのよ!

って言いそうになったけど

 

これ俺!って

まさしく言われるやつだわ

 

しかも熊本のジャズライブツアーポスターに

使ったばかりで・・

image

すぐに
喜んでLINEを返した
 
めっちゃくちゃ
似合ってる!ギターも顔も
尾崎そっくり!
 
それに、海碧からしたら
生きてるだけ
Qさんの方が尾崎に全然勝ってるよ!!
 
生きてる
この人は生きている
 
なんかそれだけでジーンときてた。
そして
ライターとしても書き綴る人生、
悩み、思いつめがちな海碧の想いのうるし淵に
 
ポーンと石が放り込まれたように
気分がグーンと上がっていく
 
もしかして、とっても安直かもしれないけど
まだちゃんと会えてないのに
 
あなたしかいない!!
 
と思った
 
行動的な海碧ガメは、海を越えて
大阪の海岸で
浦島Q太郎に会いにいくぞ!!
 
このモタモタ考えてるところが
亀だ!
って友達にも言われたけどね。
 
11話終わり