嫡出性の有無による法定相続分差別(百選第7版27事件)

 

相続制度をどのように定めるかは、立法府の合理的な裁量判断に委ねられている」が、子の裁量権を考慮しても、法定相続分に関する区別に「合理的な根拠が認められない場合には」当該区別は憲法14条1項に反する。

 

「遺留分については、本件規定は明確な法律上の差別」であるとともに、「本件規定の存在自体がその出生時から嫡出でない子に対する差別意識を生じさせかねない事」をも考慮すれば、平成7年決定が考慮事情とした、本件規定が補充的に機能する規定であることは、「その合理性判断において重要性を有しない。」

 

法的安定性の確保について:最後の合憲決定である平成12年9月から本件の相続開始時点である平成13年7月までの間は合憲か違憲かは判断されていないが、本件規定は、遅くとも平成13年7月当時には憲法14条1項に違反していたといえる。しかし、本決定の違憲判断は,Aの相続の開始時から本決定までの間に開始された他の相続につき、本件規定を前提としてされた遺産の分割の審判その他の裁判、遺産の分割の協議その他の合意等により確定的なものとなった法律関係に影響を及ぼすものではないと解するのが相当である。

 

ポイント

★著しく不合理なものかどうかという基準が用いられていない点

★国籍法違憲判決で用いられていた目的手段審査が用いられていない点

 

出題 予備試験択一平成26年