人間が戦争をする横で寝る間延びしている子猫の欠伸
下の句を丸め抛ると異世界の僕に当たって自我が目覚めた
宗教と政治と雑な主語用いインターネットで野球始める
驟雨から小糠雨へと韻律は変わり閨にて積読を読む
高利貸し甘い言葉に誘われて日に借財は増えI scream
骨灰を酒で呷りてかなしみの五臓六腑に沁み渡れかし
窓外に冬の匂いは凍てついてヒポコンデリーと戯れる朝
こめかみに拳銃を当て途絶するマヤコフスキーがごとき就寝
難解な哲理究める哲人の如き顔して言問橋往く
放心をしながら歩く秋の道 豆腐の角に頭ぶつけた
生活の上澄み掬いその手から零れ落ちゆく言の葉の片
這う這うの体で月夜の散歩道 倒けつ転びつ汀(みぎわ)を歩く
老成をしていた彼がオサナイという名であった時の驚き
気の抜けた麦酒のごとき人生も三十一文字(みそひともじ)にすれば泡立つ
鳥が名を変えてX、Y、Z これが最後のさようならなう
ご講評願いたい。