突然だが、夫は私とフランスで知り合い、付き合うようになってから日本語を習い始めた。
その後すぐに日本へ帰国した私を追うように、ほぼ何も話せないまま初日本上陸を果たした夫であるが、住むようになってからも日本語を習いに学校へ通ったのは半年程度である。
それから数年…
彼は実に日本語が上手になった。
若いって、すごい!である。
これも一緒に働いている従業員が日本人だから、余計に上達も早いのだろう。
…ある日のこと。
「おんぎゃー、おんぎゃー!!」←べべの泣き声
「Mon amour, ギュニュ?」
「ぎゅにゅ???」
「Elle a faim!(べべはお腹が空いてるんだよ!)」
…
「…Ah!! 牛乳って、牛の乳のこと言うんだよっ(笑)」
「Ah!! En français, c'est pareil!!!Du lait, c'est du lait!!(あー!フランス語じゃ(牛乳も母乳も)同じだよ)」
「Ah bon?! Je savais pas!!(えっそうなの?知らなかった~!)」
ここで解説。
フランス語で、一般的にLaitと聞けば、牛乳のことである。
だが、母乳もLaitなのである。
夫はLaitを日本語にそのまま訳したから
根本的に「牛の乳」と書いて「牛乳」ということには気づかず、母乳のこともLaitと言ったのだ。
日本のように、何となくクラス分けをしているのは稀なのだろうか?
日本の感覚だと
おっぱい(=母乳)
ミルク(=人工的な粉ミルク)
もちろん、赤ん坊には関係ないが、牛乳は牛の乳。…である。
ミルクが粉ミルクだという感覚は、全日本人がそう思っているかわからないが、大体こんな感じのクラス分けになるのではないかと思う。
夫に説明はしたものの
どうしてもその感覚が染みついているので未だに
「ギュニュ?」
と言う夫なのであった。
ちなみに、私は牛ではない。
ちなみに、タイトルを変えてみたが、牧場ではなく劇場である。